記憶にございません!
正月、家族で三谷幸喜の映画「記憶にございません!」を視聴する。頭に石があたり記憶を失った総理大臣を中井貴一が演じている。
政治がどうのではなく、リクツ抜きに気楽に見られる喜劇である。三谷組の個性的な面々が出演し、ヴァラエティに富んだ群像劇になっている。とりわけ、秘書をつとめる小池栄子が実にいい味を出していた。
年始め、ちょっと気持ちをリセットできた映画であった。
正月、家族で三谷幸喜の映画「記憶にございません!」を視聴する。頭に石があたり記憶を失った総理大臣を中井貴一が演じている。
政治がどうのではなく、リクツ抜きに気楽に見られる喜劇である。三谷組の個性的な面々が出演し、ヴァラエティに富んだ群像劇になっている。とりわけ、秘書をつとめる小池栄子が実にいい味を出していた。
年始め、ちょっと気持ちをリセットできた映画であった。
津軽弁など、ことばをネタにした伊奈かっぺいのトークライブ。デビュー40周年記念として発売されたCD。
良い意味で力の抜けた、リラックスして聴ける話芸にふれることは、現代では貴重な時間かもしれない。
黒柳徹子と渥美清は、「泣いてたまるか」第3話「ビフテキ子守唄」で共演している。
「泣いてたまるか」は、渥美清が様々なシチュエーションを演じる人情劇。毎回脚本家や監督が異なり、バラエティに富んだシリーズであった。山田洋次が脚本を担当した回もあり、後の「フーテンの寅さん」につながってゆく。
「ビフテキ子守唄」では、渥美清がタクシーの運転手を演じる。1960年代当時の日本の様子が伝わり興味深い。
黒柳徹子を描くNHK土曜ドラマ「トットてれび」の第1回が放送される。昭和28年にNHKでテレビが放送されることになり、徹子はオーディションを受験する。失敗をしつつも合格を得てテレビにエキストラとして出演するが、その天真爛漫な振る舞いは、主役より目立ってしまう。
満島ひかりの溌剌として早口でありながら、どこかのんびりした雰囲気を残す演技が素晴らしい。テレビ放送草創期の熱気を伝える撮影シーンに、スタッフの意気込みを感じる。
野坂昭如の「火垂るの墓」を橋爪功が朗読したCD。昭和20年、戦争中に亡くなる兄と妹の物語。
橋爪功の自然な語りで、情景がうかびあがる。
悲惨な中に抒情をたたえた文学を、至芸の語りで鮮やかに表現したアルバム。
新美南吉の童話「ごん狐」「牛をつないだ椿の木」「でんでんむしのかなしみ」を、岸田今日子が朗読したCD。「ごん狐」はあまりに有名であるが、岸田今日子の朗読で味わいが深まる。
「牛をつないだ椿の木」は、当時の情景を偲ばせる。献身の美徳を実直に綴った作品。「でんでんむしのかなしみ」は短い中に思いが凝縮された掌編。
素朴な中に抒情をたたえた作品集。
「答えはすべて稽古場にある」
高校演劇部の生徒たちを描く平田オリザの小説「幕が上がる」を原作とする映画。ももいろクローバーZのメンバーが主だった役を演じる。
演劇にかける女子高生の姿にどんどん引き込まれる。役を演じる彼女たちの前向きさが、ひしひしと伝わってくる。原作者の平田オリザも演技指導に関わっており、実際に彼女たちが成長するドキュメンタリーの趣きもある。
高校時代は、迷いも悩みも、すべて将来の糧となっていく。そのことを衒わずに表現する脚本が素晴らしい。高校の豊かさと実りがリアルで知的に映像化されている。
高校生のひたむきさが爽やかな感動を与えてくれる真っ直ぐな青春映画。
恩田陸の小説「チョコレートコスモス」は、演劇に関わる人々を描いた作品。
強烈に面白い。演じる人々の心理描写が実に見事。ときおり鳥肌が立つほど、煌めく場面がある。
500ページ以上ある本であるが、本を読んでいることすら忘れてしまうほど、魅力にあふれている。
舞台の上の小宇宙を圧巻の筆力で活写する傑作ロマン。
谷崎潤一郎の小説「少年」を、朴璐美が朗読したCDを聴く。良家の子どもの家に遊びに行くようになった少年は、次第に嗜虐的な悪戯の世界に引き込まれていく。
登場人物それぞれを、瞬時に語り分ける朴璐美の表現が見事。小説の妖しい魅力が存分に発揮されており、蠱惑的な谷崎文学に引きずり込まれる。文章、声優どちらも達人の冴えを堪能できる作品。
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