誰も知らない

 是枝裕和監督の映画「誰も知らない」の冒頭、スーツケースの中から子どもが出てくるシーンから、画面に釘付けになる。アパートに引っ越すにあたり、家族の人数をごまかすために、スーツケースの中に子どもを入れて運んだのだ。それでも子どもたちは明るく屈託がない。団欒も束の間、新しい恋人ができた母親は、四人の子どもたちをアパートに置き去りにする。
 子どもたちが自然な演技であり、それゆえにずっと印象に残る。とりわけ、柳楽優弥演じる長男の、四人の兄弟姉妹が生きていくための振るまいが健気で、胸を締めつける。
 児童虐待の報道が後をたたない昨今、この映画を思い出す機会が多い。淡々とした映像であったが、いつまでも刺激をし続ける。
 カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞、フランダース国際映画祭 グランプリ受賞作品。

誰も知らない

高崎高校 第67回 翠巒祭

 群馬県立高崎高等学校の第67回翠巒祭が、2019年6月1日、2日に行われた。
 校門に据え付けられたアーチは、カンボジアのアンコールワットをモチーフとしている。

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 校舎入口の装飾は、美術班が手がけている。昨年度、次男が携わっていたが、今年も大学の休みの日に手伝いに行き、シャツやズボンを絵の具まみれにして帰ってきていた。

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 内部の装飾も、例年以上に完成度が高くなっている。

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 校舎出口の装飾は、飛翔感があり楽しい。

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 出口内部の壁画風装飾は昨年度を踏襲していて嬉しいと次男が言っていた。

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 校舎一面をおおう壁画は、ドイツの「ベルリン大聖堂」をモチーフとしている。
 生徒全員が関わって作り上げたモザイク作品。

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 中庭では最初に和太鼓部の演奏が行われた。
 観音山を背景に、若き漢たちが乱舞し熱気があふれていた。

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 数学部では、割り箸などを組み合わせた道をビー玉がころがる長大なルートが作られていた。
 吹奏楽部の木管四重奏によって栗コーダーカルテットよろしく、ピタゴラスイッチの音楽が奏でられ、楽しい雰囲気を醸していた。

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 鉄道研究部では、2017年に開館した高崎アリーナも作成され、凝った展示となっていた。

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SSHの展示会場の黒板。

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 喫茶店の窓にあしらわれた切り絵。

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 マンドリン部は、今年も群馬大会で優勝し、全国大会に出場する。
 力強さのみでなく、繊細な表情がより豊になったようだ。

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 フォトモザイクは、ゴッホの自画像。写真5000枚で構成されている。

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 校舎入口前の情景。巨大壁画を背景に、模擬店や音楽演奏など、まさしくフェスティバルの趣き。

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 「バラの香におう 学舎にて友よ」
 草野心平作詞、芥川也寸志作曲の校歌の一節。今年も変わらずバラが咲き誇っていた。

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 創立122周年を迎える伝統校の文化祭は活気に溢れ、将来への希望を感じさせてくれる。

高崎高校 第67回 翠巒祭

青の帰り道

 藤井道人監督の映画「青の帰り道」は、7人の若者たちが高校卒業後に悩みや葛藤をかかえながら生きる姿を描く、王道を行く青春映画。
 不幸な事件により制作が一旦頓挫した映画である。2017年8月に再び撮影が開始され、その現場を見る機会があった。スタッフの熱気と思い入れが感じられる現場であった。高校生を演じる皆さんが笑顔と共に輝いて見えた姿が印象に残っている。
 撮影が行われた前橋市の映画館で先行上映が行われ、家族で見に行く。藤井道人監督の美意識に溢れた映画であった。
 高校生の次男が、「今の時期に見てよかったと思える映画だった」と言っていた。青春映画に対する最高の褒め言葉ではないだろうか。

「青の帰り道」公式サイト

青の帰り道(レンタル版)

高崎高校 第66回 翠巒祭

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 緑萌える6月2日・3日の2日間、群馬県立高崎高等学校の文化祭「翠巒祭」が行われた。2018年、第66回となる今年のテーマは、”Super Crew”。スパークルと読み、パワーを発揮すると共に「おもてなし」の心を忘れないという意味が込められているとのこと。
 今回、次男が描いた孔雀を主題にした絵が、ポスターとパンフレットの表紙に採用された。「狂気的なまでに奇抜な潜在力」を構図と色合いに表現したとのこと。

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 アーチはロシアのサンクトペテルブルグにある「スモーリヌイ聖堂」を模したもの。初日の朝にはまだ制作が行われていたが、12時には無事に来場者を迎え入れることができたようだ。

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 2日目の9時のオープニング15分前に来場したが、すでに多くの人がアーチの前に行列を作っていた。開場と共に吹奏楽のファンファーレが鳴り、祝祭的な雰囲気を醸していた。

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 アーチの青と白のコントラストが爽やかに映える。内部の装飾も洗練されており、日常と非日常を区切る役割を果たしていた。

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 校舎入り口・出口の装飾は、次男がチーフを努める美術課が制作した。夢のある伸びやかな絵が校舎内へと誘う。

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 校舎からの出口の絵は、次男自らが手がけたもので、門に合わせて弁髪のファンキーな高高生を配した。門の両側には、サンスクリット語を模して Takasaki High School の頭文字”THS”と"suiran"の文字が見える。

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 壁の絵も次男が手がけた作品。黄色地に赤く書かれた絵は、人類の栄枯盛衰を表現しているとのこと。よく見るとラスコーの壁画やスカイツリーらしき文様も書かれている。

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 校内に入ると、国籍不明の門が迎える。

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 中庭では、和太鼓部の演奏が始まっていた。勇壮な動きとリズムはいつもながら切れがいい。

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 校舎一面に掲げられた壁画は、ロシアの「聖ワシリイ大聖堂」をモチーフとしたもの。全校生徒の手によるモザイク画であり、コントラスト鮮やかな色合いが初夏を思わせる陽光を受けてひときわ映えている。

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 喫茶室も装飾が凝っており、人魚のいる海をチョーク画と模型で表現していた。窓に貼られた切り絵も校舎の緑と共に和みの空間を演出する。

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 校庭の模擬店もたいへん盛っていた。日差しも照りつけ、飲み物の売店には長蛇の列ができていた。次男は非番であったが、仕事を求めてゴミの当番にあたり、にこやかに対応
していた。

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 午前11時半から翠巒会館でマンドリン部のコンサート。2月の県大会で2位となったため、7月末に大阪で行われる全国大会に出場する。大会での演奏曲である久保田孝作曲「舞踊風組曲第3番」は、県大会のときよりも練度が増していた。

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 体育館で吹奏楽部の華やかな演奏を聴く。

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 校舎に戻ると、中庭でマンドリン部のアンサンブル演奏が行われていた。開放的な中、リラックスした演奏で楽しませてもらった。

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 長男、次男と子どもが在籍する6年間、続けて翠巒祭を訪れた。いずれも文化・芸術の香りと高校生の熱気にあふれた素晴らしい文化祭であった。
 平成最後の翠巒祭は、次男も多くの役割を担い、青春のひとときを燃焼させた。この体験は、自信となり将来の糧となることであろう。今後、「狂気的なまでに奇抜な潜在力」が学習にも発揮され、必ずや自らの進路を切り開くことと信じている。

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 「バラの香におう 学び舎にて 友よ」

 大輪のバラの花は高高生の活動を見守り、年を経ても変わらぬ彩りを添えている。清新溌剌とした若者が飛躍を遂げる学舎であり続けてほしい。

高崎高校 翠巒祭 2018 
 

春にして君を離れ

 娘の病気見舞いを終えバグダッドからイギリスに帰る途中、主人公は周囲の人間関係に様々な疑問を抱き始める。
 ミステリーの女王、アガサ・クリスティが、揺れ動く女性の心を繊細に描く。派手な事件は起こらないが、それゆえに力量が遺憾なく発揮されている。心理サスペンスの傑作。

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

めぐり逢う朝

 「めぐり逢う朝」はアラン・コルノー監督によるフランス映画。ヴィオールの名手と芸術に関する、ワンシーン・ワンシーンが絵のような作品。
 自分にとっては生涯の契機となる象徴的な映画。

めぐり逢う朝  HDニューマスター版 [DVD]

第48回群馬県高等学校ギター・マンドリンコンクール

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 2018年2月11日に行われた群馬県高等学校ギター・マンドリンコンクールを聴きに大泉町文化むらに行く。県内7校が参加し、全国大会出場を競った。
 どれもレベルが高い演奏であったが、前橋女子高校が交響組曲「日本スケッチ」第4楽章で最優秀賞に輝いた。抒情的な部分がよく表現され、最後は炎のような演奏で締めくくり納得の1位であった。
 第2位は久保田孝作曲の舞踏風組曲第3番を演奏した高崎高校。厳しい練習の積み重ねで実力を高めていることがうかがえた。力強い演奏で、トリを飾るにふさわしい音楽であった。
 館林女子高校と高崎女子高校が共に久保田田孝作曲の舞踏風組曲第2番を演奏。結果的には館林女子高校が3位となったが、個人的には高崎女子高校の演奏が気に入っていた。天女の羽衣がふわりとかかるような繊細な表現もあり、微妙なニュアンスが良く表出されていた。館林女子高校の演奏はやや荒削りで必死な感じが伝わってきたのだが、それを洗練した形にしたのが高崎女子高校の演奏という印象を受けた。しかし、審査員の評価では高崎女子高校が館林女子高校を越えなかったのは、久保田孝の曲の特質や実相に館林女子高校の演奏がより迫っていたからであろうか。
 結果発表までの間に Marionetto による賛助演奏が行われた。湯淺隆、吉田剛士両氏によるアコースティック・ユニット。ポルトガルギターを弦楽器と打楽器両方の役割をもたせて自在に奏する様がかっこよかった。ギリシャの小さい弦楽器で演奏する「日曜はダメよ」が高校生にもたいへんうけていた。やはりプロの演奏は素晴らしい。高校生にも良い刺激になったことであろう。
 帰り道の車の中で、長男が会場で買ったMarionetto のCDを聴く。群馬の山並みをオレンジ色に染める夕景に音楽がよく合っていた。

ぽるとがる幻想
マリオネット
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椿山課長の七日間

 突然死した課長が、家族に別れを告げるために一週間だけ現世に舞い戻る顛末を描く、浅田次郎の小説「椿山課長の七日間」。
 現世に戻るまでのお役所的な手続きが妙にリアル。至るところに笑いを散りばめながら、巧みなストーリーテリングで一気に読ませる。
 悲喜こもごもを「死後の世界」を通して凝縮し、心をゆさぶる浅田節の真骨頂。

椿山課長の七日間 (朝日文庫)
浅田 次郎
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高崎高校 クリスマス・コンサート

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 年賀状の背景写真を撮るため、朝7時前に観音山に登る。
 今年は長男、次男共に自らのことで忙しく、家族そろっての県外旅行もなかった。そのため、年賀状は今年10月、駅前にオープンしたファッションビル オーパで撮った兄弟の写真とし、背景は高崎の風景にすることにした。
 朝日を浴びてほのかに朱く染まる高崎の街には、1日が動き出す高揚感があった。

Xmas02 午後、高崎高校で行われるクリスマス・コンサートに出かける。翠巒会館の舞台に飾られた手づくりの幕が楽しい雰囲気を引き立たせる。作成総指揮を委ねられた次男は直前まで時間に追われる日々であったようだ。
 最初に、次男が所属するマンドリン部の演奏。思い思いのクリスマス小道具を身にまといながら、「RAIN」「天体観測」「粉雪」など部員がアレンジした楽曲を披露した。コンクールで演奏する「舞踏風組曲第3番」は、今後の成長に期待したい。前回、県コンクールで最優秀賞をとり全国大会に出場した部であったが、その成績を維持するためには、かなりのハードルを乗り越える気迫が求められるであろう。

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 合唱部は少人数ながら、一生懸命取り組んでいた。アンサンブルを生かした合唱で、クリスマスらしい雰囲気を醸していた。最後のほうでは、恋ダンスで会場を沸かせていた。顧問のピアノも美しく、拝聴させていただいた。

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 吹奏楽部は、ジャズ班のセンスある「Four」に始まり、多彩な楽器が奏でる華やかな演奏を楽しませてもらった。

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 和太鼓部は、いつもながら迫力のある演武で、3曲どれも気迫がこもっていた。「羊伝説」は、何度聴いても圧巻。その猛るような演奏は、高崎高校を象徴する若き息吹が怒涛のごとく湧き上がっていた。

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 最後は、マンドリン部と吹奏楽部のコラボによるクリスマス・ソング・メドレー。参加した長男は、この演奏が一番楽しかったと言っていた。精鋭たちによる息の合ったプレイで、ラストにふさわしく余韻が残る演奏であった。楽しいひとときを過ごすことができ、感謝をしている。

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 閉館まぎわの市立図書館に行く。立体駐車場からの景色は、高崎市西方の夕暮れ。浅間のシルエットと共に、美しい街を見守る山々が静かに稜線を浮き上がらせていた。 

シング

 「シング」は、3Dコンピュータ・グラフィックスによるアニメーション映画。2016年、イルミネーション・エンターテインメント製作、ガース・ジェニングス監督作品。
 コアラが経営する劇場は資金難に陥り、歌のオーディションを行うことでテコ入れを図ろうとするが…。
 個性豊かな動物たちが歌い、踊り、名曲の数々を披露する。サンフランシスコをモデルにした都市の風景も見事で、音楽・CG共に高いクオリティが楽しめる。
 家族で見られハッピーな気分になれる極上のエンターテイメント・ムービー。

SING/シング【通常版】(吹替版)

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