最大多数の最大幸福

 ベンサムの「道徳および立法の諸原理序説」を基に、「最大多数の最大幸福」に象徴される思想を表現した漫画。
 19世紀ロンドンを舞台に、切り裂きジャック事件と功利主義を結びつけるなど、大技で挑んだコミック。

最大多数の最大幸福 道徳および立法の諸原理序説より (まんが学術文庫)

三略 (まんが学術文庫)

 中国の兵法書「三略」の内容をレコード会社に出向した社長を中心に表現した漫画。これも池井戸潤の小説や弘兼憲史の「島耕作」シリーズみたいであるが、「六韜」よりも説得力が感じられた。脚本のリアリティの差であろう。
 古典の力を借りた再生というテーマは、現代社会のニーズに合致している。

三略 (まんが学術文庫)

六韜(まんが学術文庫)

 中国の兵法書「六韜」の言葉を、現代の銀行を舞台に実践した様を描いた漫画。主人公は、謀略を用いて行内を変えようとする。
 手段を選ばず突き進む主人公の姿が力強い。しかし、池井戸潤の小説やドラマのようになってしまい、さらりと読めるが肝心の古典の深みはあまり伝わってこなかった。登場人物が皆あまりに刹那的すぎる。
 学術書の漫画化の難しさを感じさせてくれた書。 

六韜 (まんが学術文庫)

資本論 (まんが学術文庫)

 19世紀イギリスの田舎町に、2人の若者が工場を建て運営にあたる。その形態は、やがて地域に大きな波紋を巻き起こしていく。
 相対剰余価値、絶対剰余価値、労働者の疎外、搾取など、マルクスの「資本論」の内容を漫画によるストーリーで伝えていく。短時間で読めるが、エッセンスがつまっており、充実した時を与えてくれる。
 漫画というメディアの力をあらためて感じさせてくれる本。

資本論 (まんが学術文庫)

恋愛と贅沢と資本主義 (まんが学術文庫)

ゾンバルトの「恋愛と贅沢と資本主義」を、漫画で示した書。フランス革命前後の人々の暮らしから、資本主義発展の源泉を極めて分かりやすく表現している。
 漫画の表現力を如実に伝える啓蒙文庫。

恋愛と贅沢と資本主義 (まんが学術文庫)

政談 (まんが学術文庫)

 近未来の日本、ロックバンドのヴォーカリスト、マコトは、バイトをしながらプロのミュージッシャンを夢見て練習に励んでいた。そんなある日、政府は、すべての政策を人工知能に委ねる決定をした。コンピュータ「SORAI」は、「国民の住居は会社・業種ごとにまとめ国が定める」「他県への引っ越しを禁ずる」など、斬新な政策を次々に実行していく。その結果、フリーターであるマコトから彼女やバンド仲間が離れていくことになる。マコトがとった行動は…。
 江戸時代の学者、荻生徂徠による意見書「政談」を基にしたコミック。教養漫画というと、文字がやたらと多く絵はおまけ的なものが多かったが、この作品はストーリーで名著の内容を体現しており、自然に読める点が素晴らしい。古典の思想とSF的な設定が見事なまでにかみ合っている。
 名著へと誘う画期的なコミック。中高生にも一読を勧めたい。

政談 (まんが学術文庫)

歎異抄 (まんが学術文庫)

 「善人なおもて往生をとぐ。いわんや悪人をや」
 親鸞の弟子、唯円を主人公にすえ、「歎異抄」の教えを具体的にストーリーで伝えるまんが学術文庫の一冊。
 いわゆる悪人正機を主軸に、親鸞の教えを漫画で分かりやすく表現している。当時の人々の暮らしに密着した絵は、説得力をもって迫ってくる。

歎異抄 (まんが学術文庫)

男はつらいよ 寅次郎心の旅路

 渥美清主演の「男はつらいよ」シリーズ第41作「寅次郎心の旅路」では、フーテンの寅さんがヨーロッパに行ってしまう。
 マドンナはシリーズ出場三作目となる竹下景子。
 寅さんは、ウィーンでもマイペース。そこに良さがある。

男はつらいよ 寅次郎心の旅路 HDリマスター版(第41作)

泣いてたまるか ビフテキ子守唄

 黒柳徹子と渥美清は、「泣いてたまるか」第3話「ビフテキ子守唄」で共演している。
 「泣いてたまるか」は、渥美清が様々なシチュエーションを演じる人情劇。毎回脚本家や監督が異なり、バラエティに富んだシリーズであった。山田洋次が脚本を担当した回もあり、後の「フーテンの寅さん」につながってゆく。
 「ビフテキ子守唄」では、渥美清がタクシーの運転手を演じる。1960年代当時の日本の様子が伝わり興味深い。

渥美清の泣いてたまるか 第2巻 [DVD]

道は開ける

 「悩み」を克服する方法を具体的に述べたロング・セラー。たいへん分かりやすく書かれているが、背景には豊富な経験と人脈があり、哲学や科学の知見に裏打ちされている。
 その説得力のある文章にふれるだけでも価値があるだろう。悩みを抱く人だけでなく、より良く生きることを見据えたい人にもすすめられる名著。
 最近落ち込むことがあり、久しぶりにひもといたが、やはり心を癒してくれた。何度読み返しても得るところがある真の名著と実感する。

道は開ける 文庫版
ディール・カーネギー

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