劇場版 名探偵ホームズ

 コナン・ドイルのシャーロック・ホームズをモチーフにし、キャラクターを犬にして描いた宮崎駿監督のアニメ。「青い紅玉」「海底の財宝」の2作品が映画「風の谷のナウシカ」と1984年に同時上演された。
 当時のロンドンの街並などの描写が素晴しい。美術監督山本二三がこだわりを見せ、煉瓦の一つひとつやホームズの部屋の内装などが丁寧に描かれている。
 宮崎駿らしい密度が濃く楽しい冒険活劇。

劇場版 名探偵ホームズ [DVD]

キングダム

 春秋戦国時代を舞台とした原泰久の漫画を原作とする映画「キングダム」。戦災孤児である信と、弟に王宮を追われた政との出会いから始まる物語。
 原作が素晴らしいだけに、これを実写化して大丈夫かと思っていた。「模倣犯」など、原作をグダグダにした映画は少なくない。
 しかし、スタッフの熱意と俳優の力量で、この映画はなかなかの力作になっていた。スタッフの原作へのリスペクトが感じられ、心地良く見ることができた。カットされるのではと思っていたムタとのシーンもあり、2時間びっちり詰まった物語になっていた。
 原作の魅力をきちんと伝える、スケールの大きな歴史アクション。

キングダム(映画)

飢餓海峡

 青函連絡船の転覆事故を背景にした強盗殺人犯とそれを追う刑事の姿を通し、戦後日本を描いた内田吐夢監督による映画「飢餓海峡」。16ミリフィルムで撮影され、独特の映像表現は見るものの心理に訴える。
 三國連太郎、伴淳三郎、左幸子の味わい深い演技は、重厚なストーリーと共に印象に残る。人間の業を描いた名作。

飢餓海峡 [DVD]

スターリンの葬送狂騒曲

 スターリン死後の権力闘争を描いた映画「スターリンの葬送狂騒曲」。イギリス・フランス合作による2017年公開作品。
 俳優は皆大まじめに演じているが、コメディである。恐怖がユーモアになる点がこわい。

スターリンの葬送狂騒曲(字幕版)

この世界の片隅に

 太平洋戦争前後の広島・呉を舞台とし、市井の人々の姿を描く「この世界の片隅に」。こうの史代による漫画を原作とし、片渕須直がアニメーション映画化した。
 主人公すずは、広島から呉に嫁ぎ、戦時下の困窮する暮らしの中でも工夫を凝らし生活に潤いをうみだす。
 一貫して日常的な視点で人々が描かれ、ほのぼのとした絵柄で温かみを感じる。それゆえに戦争の悲惨さが際立つ。
 諄々と心に染みる至高のアニメーション。

この世界の片隅に

麒麟がくる 16

 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第十六回は、「大きな国」。斎藤道三と長男高政との対立は深まり、美濃の国を二分する戦になろうとしていた。明智光秀は美濃より織田信長に嫁いだ帰蝶のもとを訪れ、戦の回避を探るが、すげなく追い返される。一方、高政は光秀に国替えをほのめかす。
 本能寺の変においても、光秀の国替えが遠因のひとつとなっていた。信長・秀吉・家康の三傑の若き姿を見せつつ、光秀の苦悩多き立場をじわじわと描く。麒麟はどうくるのか。
 多くの伏線がからみあったこの大河を、ぜひきっちりと最後まで作り上げてほしいと切に願う。

麒麟がくる 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

カラマーゾフの兄弟 (まんが学術文庫)

 ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を漫画化した作品。1860年代、農奴解放令が出されて間もないロシアを舞台に、地主フョードルの家族をめぐる物語。純真な心根をもち、神に仕える三男アリョーシャ、冷徹なインテリの次男イワン、奔放で一本気な元軍人の長男ミーチャの三兄弟を軸に、様々な人物がからむ群像劇。その言動の内に、人々の生きる意味や神の存在が問いかけられる。 
 長大な原作は、大学のときに読みかなりの期間、おそらく2ヶ月以上がかかった。しかし、漫画ではほんのわずかな時間で読めてしまう。しかし、読後感はそれほど変わらないように感じた。エッセンスがうまく詰め込まれているからであろう。
 新進気鋭の漫画家、岩下博美が、原作をじっくりと読み込み、物語を焦点化し、見事な画力で絵にしている。怒濤の展開が当時の空気感を伴って劇画化され、極めて密度の濃い作品となっている。
 カラマーゾフの世界を圧巻の迫力で活写する力作。

カラマーゾフの兄弟 (まんが学術文庫)
岩下博美

罪と罰 (まんが学術文庫)

 ドストエフスキー『罪と罰』を原作とする漫画。1865年、帝政ロシアの首都で暮らす学生、ラスコーリニコフは、自らの理論に基づき、老婆を襲い金品を奪うことを決意する。
 岩下博美氏は、原作を咀嚼し、物語のエッセンスを趣のある絵柄で描いている。登場人物の個性も良く表出され、人間関係や心理がスリリングな展開をもって迫ってくる。背景となるサンクトペテルブルクの描写も良く、当時の雰囲気を彷彿とさせる。
 原作の本質に肉薄した力作。

罪と罰 (まんが学術文庫)
岩下博美

プラグマティズム (まんが学術文庫)

 アメリカを支える思想のひとつ、プラグマティズムを、開拓時代の西部を舞台としたストーリーで描く漫画。主人公の行動や、周囲に語る言葉から、実践に基づく行動哲学を実に分かりやすく伝えている。
 ガンマンたちの乱舞する西部劇として、一級のエンターテイメントに仕上げた教養コミック。

プラグマティズム (まんが学術文庫)
岩下博美

麒麟がくる 15

 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第十五回は、「道三、わが父に非ず」。斎藤道三は仏門に入り、家督を高政に譲る。しかし、高政は道三の他の子や、道三と織田信長との関係に疑念を抱く。一方、信長の側は守護代の暗殺を成功させ、清洲を手中に収める。
 美濃・尾張・今川のせめぎ合いを、登場人物どおしの関わりを通して描いた濃密な45分。熟達した脚本と高いレベルの演出で見る者を虜にする。

麒麟がくる 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

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