ヴェデルニコフ リスト、ラヴェル&フランク

 ヴェデルニコフのピアノによるリストの「ローレライ」「メフィスト・ワルツ第1幕」「エステ荘の噴水」、ラヴェルの「水の戯れ」「クープランの墓」、フランクの「前奏曲、フーガと変奏曲 ロ短調」が収められたCDを聴く。
 水面に無数の水滴が落ち、波紋が広がり重なり合うような、自然な響き。完璧なタッチできらめきに溢れた音楽が広がる。
 リストは歯切れのよさが光る。ラヴェルの「水の戯れ」は、ピアノが奏でられていることすら忘れさせてくれた。「クープランの墓」は輝きに満ちた絶品。フランクは、惻々と胸に迫る名演。

ロシア・ピアニズム名盤選26 ヴェデルニコフ/リスト、ラヴェル&フランク
ベデルニコフ ベデルニコフ(アナトリー) フランク

ヴェデルニコフ テンペスト

 ヴェデルニコフの弾く、ベートーヴェンの「自作の主題による32の変奏曲 ハ短調」は、そのピアノの素晴らしさがストレートに伝わってくる。どんなに速くとも乱れることなく、完璧なコントロールと多彩な技巧で自在に音楽を紡いでゆく。推進力と強固な意志、内なる情熱、ベートーヴェンの魅力があますところなく表現されている。
 「月光」の透徹した深み、「テンペスト」のスケールの大きさ、真の芸術に触れたと実感できるアルバムであった。

ロシア・ピアニズム名盤選-3 ベートーヴェン:月光/テンペスト、他
ヴェデルニコフ(アナトリー) ベートーヴェン

ヴェデルニコフ ハンマークラヴィーア

 1993年、日本での公演が予定されていながら、その直前に亡くなったロシアのピアニスト、アナトリー・ヴェデルニコフ。政府により永らく旧ソ連以外での活動が認められていなかったが、ゴルバチョフのペレストロイカにより、他国での活動が許され、広く知られるようになった。
 しかし、ヴェデルニコフは1935年、若干15歳のとき、東京に来てコンサートを行っている。その後、ロシアに戻ったときから悲劇が始まった。両親はスパイ容疑を受けて逮捕され、父親は銃殺される。母親は強制収容所に送られる。ヴェデルニコフ自身も活動を制限され、抑圧の中で自己を磨いていく。
 ヴェデルニコフの弾くベートーヴェンの真摯な演奏は、技巧を越えて訴える力を持っている。

ロシア・ピアニズム名盤選-2 ベートーヴェン:ハンマークラヴィーア/ピアノ・ソナタ第1番
ヴェデルニコフ(アナトリー) ベートーヴェン

ヴェデルニコフ バッハ

 ヴェデルニコフの、奇をてらわず真摯に弾くバッハは、しみじみと良い。
 「イギリス組曲第6番」に現れる、瞑想的な美しさと可憐な響きにはどちらにも惹かれる。
 ヴェデルニコフ自身が編曲した「7つのコラール前奏曲」は、慈しみをもって弾いていることが伝わってくる名演。
 「イタリア協奏曲」では、一転、明るく快活なピアノに魅了される。これほどバッハを聴く喜びを味わったのは、パブロ・カザルス指揮、マールボロ音楽祭管弦楽団によるブランデンブルグ協奏曲以来だ。
 磨きぬかれた技と、確固とした精神により表現された、比類無きバッハ。

歌姫~バラード・ベスト~

「M」プリンセス プリンセス、「瑠璃色の地球」松田聖子、「時代」薬師丸ひろ子、「恋におちて-Fall in love-」小林明子、「Believe」岡村孝子、「シルエット・ロマンス」大橋純子、「聖母たちのララバイ」岩崎宏美、「ラヴ・イズ・オーヴァー」欧陽菲菲、「フィーリング」ハイ・ファイ・セット、「かもめはかもめ」研ナオコ、「君と歩いた青春」太田裕美 など、女性ヴォーカルのラヴ・ソングを集めた2枚組CD。
 時代を超えて歌い継がれる名曲、繊細な歌唱に心癒やされる。

マーラー交響曲第7番

 「夜の歌」とよばれる、マーラー交響曲第7番は、ベルリオーズの「幻想交響曲」よりも幻想的な雰囲気に満ちている。5楽章構成で、真ん中の「影のように」と記された奇妙なスケルツォをはさみ、第2楽章と第4楽章に「夜曲」が配置されている。この2つの夜曲の独特な雰囲気には、なんとも言えない魅力がある。
 第2楽章は、夜のとばりが降り、暗くなった森に鳥たちがさえずり、動物たちが行動をはじめるような情景がうかぶ。シンガポールに行ったときのナイト・サファリを思い出した。
 第4楽章は、月夜のもとで奏でられる愛のセレナーデ。ギター、マンドリンも加わり、様々な管弦楽法に彩られながらも、かわいらしい情緒をもった曲である。この楽章だけ聴くのもいいのではと思う。
 終楽章は、音と音とのぶつかり合いで、最初にこの楽章を聴いたときには、なんだこりゃと思った。ジャングルでゴリラたちが暴れるような、めまぐるしく出し物が変わるサーカスのような、キングコングがやってくるかのような、ウッハ、ウハウハウッハッハーなやぶれかぶれの感じがたまらない。

 マイケル・ティルソン・トーマス指揮、ロンドン交響楽団による演奏は、このあまりに多くの要素が詰め込まれた交響曲を、自在なテンポと完璧なコントロールではっきりと形を示してくれる。そのため、安心してこの多様な音響の世界に浸ることができた。

 それにしても、マーラーの音楽は、本当にいろいろな楽しみ方ができるものだ。

マーラー:交響曲第7番
ロンドン交響楽団 トーマス(マイケル・ティルソン)

トルコ行進曲~アファナシエフ・プレイズ・モーツァルト

 アファナシエフによるモーツァルト ピアノソナタ第9番、第10番、第11番のCD。悠然としたテンポでありながら、決然とした推進力を持っている。一音一音が研ぎ澄まされた演奏。

トルコ行進曲~アファナシエフ・プレイズ・モーツァルト
ヴァレリー・アファナシエフ

ベートーヴェンピアノ協奏曲第3番

 「アファナシエフ・プレイズ・エンペラー!」のCDは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番の演奏も収められている。第3番は、その曲調が様々な思索を巡らすアファナシエフの演奏スタイルに合っているようで、変化に富んだ楽しめる演奏だった。

プレイズ・エンペラー!
アファナシエフ(ヴァレリー) スダーン(ユベール)

アファナシエフ プレイズ・エンペラー

 アファナシエフのピアノによる、ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番のCDを聴く。ユベール・スダーン指揮、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団演奏。
 まさしく、エンペラーと呼ぶにふさわしい絢爛豪華な曲だが、この演奏は、ちょっと様相が違った。第1楽章で最初の和音が鳴ったときは、おおっベートーヴェン!ピアノの音も良い!と期待した。しばらくはゴキゲンで聴けたのだが、しばらくしてテンポがどうもいつもと違う感じ。早くなったり遅くなったりと、ブレがあるのだ。かといって、それが不快というのではなく、ピアノは強靱なタッチで一音一音が明瞭、何か強力な意思を感じる。
 第2楽章はいよいよ思索的になり、クリアでよく響くピアノなのだが、どこか孤独な雰囲気を漂わせている。
 第3楽章のピアノの奔放さは、奏者と作曲家との間の談論風発なのだろうか。少なくとも、聴衆との対話ではないと感じた。
 孤高の芸術家と絢爛たる協奏曲との組合せは、聴いている自分のアンビバレンスを映すようであり、不思議な後味を残す演奏だった。

プレイズ・エンペラー!
アファナシエフ(ヴァレリー) スダーン(ユベール)

HOTEI ALL TIME SUPER BEST

 布袋寅泰の才能にあらためてしびれる。

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