太陽の黙示録(3)
大震災後の日本を描く、かわぐちかいじ渾身の力作「太陽の黙示録」第10巻を読む。うすうす感じていたのだが、この巻を読んで遅まきながら、やっとハッキリわかった。この作品は、「三国志」をベースにしているのだ。
南北に分かれた日本の、北のエリアをクーデターで乗っ取る董藤卓也という人物が出てくる。これは、三国志で漢王朝を手中に収める董卓のことであり、董藤の部下で自衛隊を指揮する勝呂奉一は三国志の猛将、呂布奉先がモデルとなっているのは明らか。
このわざとらしい人名から、いままでの主な登場人物の名前が、三国志からとられていることにやっと気づいたのだった。主人公の柳舷一郎は劉備玄徳、彼を支える羽田と張は関羽と張飛、ライバル宗方操は曹操、その部下夏木惇史は夏候惇など。女性ファンの多い趙雲子龍は、やはり美男子である雲井竜児。
それにしても、日本版三国志を実現するために、大震災で国土の4分の1を沈め、琵琶湖を中心に南北に分断してしまうとは。その後を徹底したリアリティで描く力量はすごい。
さて、これからは諸葛孔明に相当する人物の登場も楽しみだ。
太陽の黙示録 10
かわぐち かいじ
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