火の鳥2772 愛のコスモゾーン
手塚治虫が原案、構成、総監督をつとめたアニメーション「火の鳥」。オリジナルの脚本で、ヒゲオヤジ、ブラックジャックなどのキャラクターも活躍する。しかし、内容はなかなか重い。
ロックが車を運転するシーンでの斬新なカメラワークなど、「ジャンピング」に通じる実験的な試みが多くなされているのも特徴。
文芸座オールナイトでの挨拶で、手塚治虫はこの作品について失敗だったとハッキリ言っていた。強い自負心の裏返しかもしれない。しかし、宇宙船で動物のキャラクターを出したのは、良かったのではないかと言っていた。確かに、軽いキャラクターがいないと底なしに重くなってしまう話ではある。だが、動物のキャラクターが活躍しすぎると、「ワンダー3」や「ブレーメン4」と同じ路線になってしまい、「火の鳥」の雰囲気が壊れてしまう。漫画があまりに偉大なため、アニメーションにするには原作者自身もかなり苦労したのではないか
「漫画は本妻、アニメーションは愛人」と手塚治虫は言っている。愛人とは、得てして御し難いという意味も含まれているのだろうか。
火の鳥2772 愛のコスモゾーン
手塚治虫 杉山卓 塩沢兼人
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