キャリア教育
「人生80年をどう生きるかを考えさせる教育」
平成7年に、仙台にある宮城野高校へ視察に行った。普通科、総合学科、美術科を併設した新設校であり、「教育改革のパイロット的役割を果たす学校」として高邁な理念を持った学校であった。当時の矢吹教頭から受けた説明の中で聞いた「人生80年をどう生きるかを考えさせる教育に、最高のサービスで答える」という言葉が、今でも印象に残っている。これは、自分が総合学科の設立に携わる際の礎となった言葉でもある。
現在、キャリア教育について盛んに言われるようになっている。単なる出口中心の進路指導ではなく、小中高等学校の各発達段階を通して職業観・勤労観を育てる教育である。
しかし、「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」を表面的に捉えていたのでは、キャリア教育の本質を見失うおそれがある。就職のみでなく、「人生80年をどう生きるか」という長期の視野に立った教育としなければならない。
キャリア教育は、「生き方在り方」を問うことが根底にある。そして、小学校から中学校、学校から社会などの「接続」を考慮した教育という視点が重要であると感じる。
キャリア教育のキーワードは「生き方在り方」と「接続」ととらえている。
さて、キャリア教育を理論的にもしっかりと述べている本として、三村隆男氏の「キャリア教育入門」がある。氏は上越教育大学の助教授であるが、高等学校で24年間勤め、進路指導に携わってこられたようだ。実践と研究に基づいたこの著作は、今後の進路指導においてひとつの拠り所となりうる本であろう。
キャリア教育入門―その理論と実践のために
三村 隆男
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