天北原野
日本最北端の都市、稚内。ここへ向かう海岸べりに、真っ直ぐな道がある。右手は広大な原野であり、遠くに起伏が見える。その広さゆえになだらかな丘に見えるが、大雪山系につながる存外高い地である。左手には深い碧色をたたえたオホーツク海が広がり、なかほどに利尻富士が優美な姿を現している。道は地平線に向かって無限に伸びてゆくかのようであり、大いなる自然を感じる。このあたり一帯を含む北海道の最北部は、天北地方ともよばれる。
三浦綾子の小説「天北原野」は、北海道と樺太を舞台に、運命に翻弄される人々の姿を描いた作品で、北国の風物の描写と巧みな筋運びが融和した珠玉の名作。
天北原野 (上巻) 三浦 綾子 |
天北原野 (下巻) 三浦 綾子 |
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