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ボリショイサーカス

Bolshoi  ボリショイ・サーカスを家族で見に行く。どの出し物も質が高く、楽しめた。タイミングを着実にとらえる生演奏も、サーカスを盛り上げた。ジャグラー、輪のバランス、フラフープなどは特に芸術性の高い出来映え。
 イヌ、ネコ、トラなど動物の曲芸も多い。人にあまりなつかないと思われるネコが、逆立ちをしたり綱渡りをしたりして驚く。
 最後に熊の綱渡りがあったが、熊がはしごをあまりに器用に登るので、人が入ったぬいぐるみかと思うほどであった。熊は綱を渡る時に一度失敗し、逆さになってぶら下がって戻ったが、後ろにいた芸人はそれで引き下がることを許さずに、「もう一度行けよ」という感じで足で押して、再度綱を渡らせた。熊はなんとかもう一方の端までたどりついたが、到着する直前におもらしをしてしまった。よっぽど怖かったのだろう。動物の芸にも決して妥協しない、徹底したプロ意識を感じるステージであった。

ボリショイサーカス

破戒裁判

 推理小説界の巨匠、高木彬光が亡くなってから11年が経つ。氏の代表作のひとつ「破戒裁判」は、最初から最後まで、ほとんど法廷を舞台として描かれる。その迫真の展開と論理の鮮やかさは見事であり、日本における法廷ミステリーの最高傑作と言えるのではないか。

破戒裁判
高木 彬光
4334740820

グレン・グールド イマージュ

 孤高のピアニスト、グレン・グールドの弾くピアノ曲集。1枚目にバッハ、2枚目にバッハ以外の曲が収められている。また、グールドのポートレイトと様々な活動を示す写真・イラストが付けられている。
 グールドの世界を堪能できる、エレガントなアルバム。

イマージュ
グールド(グレン) バッハ
B00005G7W3

奇子

 家の秘密を守るため、蔵に閉じこめられたまま成長する少女、奇子(あやこ)。厳格な家父長制を敷く旧家の人々を通し、戦後史の裏面を描いた手塚治虫の異色作。
 重厚なストーリーと実験精神あふれる巧みな表現は、手塚治虫の社会派漫画の到達点と思える。

奇子(あやこ) (1)
手塚 治虫
4061087975
奇子(あやこ) (2)
手塚 治虫
4061087983
奇子(あやこ) (3)
手塚 治虫
4061087991

ワンピース(31)

 長編コミック、ワンピース「空島編」のベースとなっている、「うそつきノーランド」の話は、尾田栄一郎の物語作家としての力量を感じた。第25巻で民話「うそつきノーランド」が提示され、第31巻で基になる400年前の出来事が語られる。巧みな伏線の妙を味わえる、見事な作品。

ONE PIECE(巻25)
尾田 栄一郎
4088733134
ONE PIECE(巻31)
尾田 栄一郎
408873551X

カイジ

 ギャンブル漫画の傑作。多額の借金を背負い、ギリギリの状況でギャンブルに挑む人々の心理描写がすごい。また、誰でも知っているジャンケンを、巧みな駆け引きが要求される「限定ジャンケン」という勝負にした設定が秀逸。

カイジ―賭博黙示録 (1)
福本 伸行
4063366081

赤い風車

 「ムーラン・ルージュ」のポスターなどで有名な画家ロートレックを描いた映画「赤い風車」。酒場の踊り子たちをその場でスケッチするシーンは、躍動感にあふれ、たいへん魅せられた。
 フォセ・ファーラーは、子どもの背丈ほどしかないロートレックを、膝を折り靴をしばりつけて演じた。
 パリに生きる画家を陰影に富んだ美しい映像で描く名作。

ムーラン・ルージュ 赤い風車
ピエール・ラミュール ジョン・ヒューストン アンソニー・ヴェイラー
B000666Y6C

ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲

 ルイサダのショパンピアノ協奏曲第1番のCDに併録されているドヴォルザークのピアノ五重奏曲も、実に素晴らしい。豊かな旋律とリズムにあふれる、隠れた名曲である。
 特に、第2楽章はひときわ美しい旋律を持ち、変化の妙も心地よく、心底魅了される。

ショパン ピアノ協奏曲第1番 ピアノ六重奏版

 ロマンの香りあふれる1枚に出会った。ジャン=マルク・ルイサダのピアノ、ターリヒ四重奏団による、ショパンのピアノ協奏曲第1番[ピアノ六重奏版]のCDだ。ルイサダの繊細なピアノが、名門ターリヒ四重奏団の演奏と和し、ショパンの美質を最大限に表現している。
 華麗で哀愁を帯びたメロディ、リリシズムに満ちた音楽に時の経つのを忘れて聴き入った。

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲
ルイサダ(ジャン=マルク) ターリヒ四重奏団 ベルリオーズ(ベンジャミン)
B00005EGRN

野口英世

 長男に音読させている伝記のシリーズ、講談社火の鳥伝記文庫の第1巻が、野口英世。人気の高さがうかがえる。
 幼い頃の手のやけど、母の愛、たゆまぬ勉強と研究、支える人々との出会い、世界で認められる業績、悲劇的な最期、まさに伝記とするにふさわしい生涯である。
 この伝記は子ども向けではあるが、単に野口英世の生い立ちや功績を追うのみではなく、弱い面にもふれている。人に頼ることの多い生活、度重なる借金などについて記されている。だが、それによってこの偉人の業績が薄れるわけではない。完全ではないからこそ、そのひたむきさにより敬意がもてる。
 長男は読み終わった後、付記されている年表を見て、
「ベルが電話機を発明した年に野口英世は生まれたんだね。」
と言っていた。歴史の横糸を心の中に紡ぐ上でも、伝記は役に立つ。

野口英世―見えない人類の敵にいどむ
滑川 道夫
4061475010

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