ドラマ のだめカンタービレ 6
ドラマ「のだめカンタービレ」の第6話は、Sオケの解散・メンバーの卒業と、新たなオーケストラの結成につながる節目の回。
2台のピアノで弾くラフマニノフの演奏が見せ所・聴かせどろこで、楽しめた。
のだめカンタービレ (6)
二ノ宮 知子
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ドラマ「のだめカンタービレ」の第6話は、Sオケの解散・メンバーの卒業と、新たなオーケストラの結成につながる節目の回。
2台のピアノで弾くラフマニノフの演奏が見せ所・聴かせどろこで、楽しめた。
のだめカンタービレ (6)
二ノ宮 知子
「宮廷女官チャングムの誓い」の最終回が、NHK総合テレビで11月18日に放映され、長いドラマの幕を閉じた。BS放送では昨年10月末まで放映されたが、総合テレビで最終回を見た人も多いだろう。全54回の長さだが、どの回も実に良くできている。これほどの密度を持ったドラマは初めてだ。
主役のイ・ヨンエを始め、俳優陣の凛とした演技に魅せられたが、なんといってもキム・ヨンヒョンによる脚本が他のドラマの群を抜いて素晴らしい。チャングムをめぐる人々との交流や確執で波乱に満ちた物語を作っているが、宮廷料理や医術の心を毎回見事にドラマに盛り込み、深みのある作品となっている。
昨年11月18日のブログにも記したが、品性のある一級のドラマとして長く愛される作品となるだろう。
宮廷女官チャングムの誓い DVD-BOX I キム・ヨンヒョン イ・ヨンエ チ・ジニ |
DVD-BOX VI キム・ヨンヒョン イ・ヨンエ チ・ジニ |
上記の演題で、柳田邦男氏の講演会が11月18日に群馬県総合教育センターで催された。主催は群馬県読み聞かせグループ連絡協議会。約300名の聴衆が会場のホールを埋め尽くした。
「マッハの恐怖」などで航空機事故に挑み、「ガン回廊の朝」、「「死の医学」への序章」などで、癌や末期医療を取り上げた柳田邦男氏である。鋭く問題提起をする著述から、講演の内容はかなり硬派な話であろうと想像していた。しかし、その予想は喜ばしい形で裏切られた。
「絵本「もこもこもこ」を広げ、『もこ、もこもこ』とおじいちゃんがいっていると、孫が『おじいちゃん、何それ』と寄ってきたりして、いいですよね。」
と柔和な表情で語りかける。
「書斎の三分の一が絵本で埋まっています。」という氏は、このところ日本人の心の問題を多く扱い、絵本について精力的に取り組んでいる。
今回の講演は、スライドを用いて絵本の紹介をしながら、その背後にあるものや、育てるべきものを静かに語りかける内容であった。
美しい自然と、少女の情感を詩的に歌い上げた「月夜のみみずく」は、工藤直子氏の日本語訳も素晴らしい。 柳田氏は、朗読をしながらこの本のよさをじっくりと語った。 |
「そらとぶアヒル」などの作者、内田麟太郎氏が絵本「おかあさんになるってどんなこと」に込めた思いが語られた。実母との死別、虐待の経験など、いたく感動的な話であった。 |
幼い弟が病気で死にむかおうとしたとき、それをまだ幼い兄や姉に伝えなければならない場面で、医師は絵本「わすれられないおくりもの」を取り出し、静かに朗読した。 |
柳田邦男氏が翻訳した、「ぼくはだれもいない世界の果てで」は、ひとりでいること、考えることの大切さを自然への愛おしさを込めて表わしている。 |
モンゴルの民話「スーホの白い馬」を元にした劇を、障害者の学級の子どもたちがぜひやりたいと言い、影絵の芝居とした。主役を演じたやっちゃんは、たどたどしい台詞で熱演し、いままでいじめていた健常者の生徒の涙をさそい、「ごめんね」という言葉とともに交流が始まった。 やっちゃんは、その後、火事によって死んでしまう。担任をした先生は、モンゴルに行きたいというやっちゃんの思いに答えるため、遺灰を持ってモンゴルに渡る。話を聞いた現地の人々は、馬頭琴を実際に奏してくれる。これをきっかけに、やっちゃんのいた福山で、障害児たちのためにモンゴルの人々による馬頭琴のコンサートが行われた。 |
柳田邦男氏が、最後の一文に頭を貫かれ、翻訳して日本に送り出した「エリカ 奇跡のいのち」。 第二次大戦中、ナチスによってダッハウの強制収容所に送られる貨物列車の中で、母は抱いている赤ん坊を小窓から外に投げ出した。奇跡的に生き延びた少女とその思い。 |
このように、柳田氏は、絵本に込められた数々の思いやそれにまつわるエピソードを語っていった。その他に、次のような本が紹介された。並べると、あらためてメッセージ性の豊かさを感じる。
きりのなかのはりねずみ ユーリー ノルシュテイン |
だくちる だくちる―はじめてのうた 阪田 寛夫 V.ベレストフ |
あの森へ クレア・A. ニヴォラ 柳田 邦男 |
ごんぎつね 新美 南吉 黒井 健 |
だいじょうぶだよ、ゾウさん ローレンス ブルギニョン |
でも すきだよ おばあちゃん S. ローソン C. マガール 柳田 邦男 |
「高度経済成長期のツケがまわってきたのか、躾などあたりまえのことが受け容れられない時代になっています。子育ては分析的にはいかないし、教育の問題はすぐに解決するものではないでしょう。ひとつ言えるのは、大人が心を耕さなければならないということです。」
柳田氏の一言一言は、日本におけるノン・フィクションの分野を確立し、ジャーナリズムの精神を貫いた体験に裏打ちされ、実に説得力があった。
「失望はしても、絶望はしない」
氏は絵本を通し、柔和な表情の奥にある鋭い眼差しでメッセージを送り続けている。
講演の後に、ステージ上でサイン会が行われた。ホールの最後尾に達する長い列ができたにもかかわらず、氏はサインを求めるひとり一人の名前とメッセージを見事な筆跡で丁寧に記していた。その愚直なまでの真摯な姿に頭が下がった。
ジャクリーヌ・デュプレのチェロ、バルビローリ指揮、ロンドン交響楽によるエルガーのチェロ協奏曲は、情感あふれる演奏。哀感と詩情のある名曲を、つややかな音色で生き生きと歌い上げる。
併録されているディーリアスのチェロ協奏曲も、ノーブルでモダン。
エルガー&ディーリアス:チェロ協奏曲集
バルビローリ(ジョン) サージェント(マルコム) デュ・プレ(ジャクリーヌ)
チョン・ミュンフン指揮、ウィーンフィル演奏のドヴォルザーク弦楽セレナード、管楽セレナードのCDを聴く。 ドヴォルザークが若き日に成した、美しい旋律に満ちた曲をウィーンフィルが香り立つ音色で奏でる。
潤いを与えてくれる演奏。
ドヴォルザーク:弦楽セレナード、管楽セレナード
チョン・ミュンフン ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ブラームス後期のピアノ小品と間奏曲、および奇想曲とラプソディーを、巨匠バックハウスが弾く。抒情を含んだ曲ではあるが、バックハウスはことさらロマンティシズムを強調するわけでもなく、真摯に曲と向き合い、淡々と奏でる。しかし、そこから紡がれる音楽は、この上ない深みをたたえている。
晩秋に静かに耳を傾けるにふさわしい。
ブラームス・リサイタル
バックハウス(ウィルヘルム)
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に初めてふれたのは、アシュケージのピアノによるCDであった。アンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団による1970年の演奏。アシュケナージの美しいピアノの音色とロマンティックな曲想に魅了され、何度も聴いた。
併録されている「パガニーニの主題による狂詩曲」も、プレヴィンのリズム感が生き、魅力的な演奏。第18変奏のアンダンテ・カンタービレは心に沁みる。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
アシュケナージ(ウラディーミル) ロンドン交響楽団
ドラマ「のだめカンタービレ」の第5話では、学園祭のコンサートが描かれていた。原作第5巻の名場面であるが、Sオケのラプソディ・イン・ブルーは、派手なステージとアレンジで、盛り上がるシーンとなった。なぜマングースの着ぐるみなのかは、原作でもドラマでも明かにされていないが、マスコット・キャラクターとして愛され、商業的な効果は抜群。マングースのボールペン付きのコミック最新刊も限定販売されるという。
千秋がラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を弾く場面も、スタッフの思い入れが感じられるシーンであった。
今回、シュトレーゼマンと音大理事長との若き日のロマンスなど、陰影の濃い映像が多かった。ブラームス交響曲第3番第3楽章など翳りと深みのある曲が用いられ、物語に奥行きを与えた。ますます選曲に磨きがかかり、数々の楽曲を聴くだけでも楽しめるドラマになっている。
のだめカンタービレ (5)
二ノ宮 知子
2006年のアメリカ中間選挙では、民主党が上下院とも議席の過半数を獲得した。中間選挙が終わると、すぐに2年後の大統領選挙に向けた動きが始まる。
かわぐちかいじの「イーグル」は、アメリカ大統領選挙の内幕を描いた漫画。日系三世のケネス・ヤマオカが、アメリカ大統領選挙への立候補を表明し、選挙戦を戦う様が、父子の葛藤などをからめてダイナミックに表現される。その虚々実々の駆け引きは圧巻で、作者の手腕には脱帽した。
銃規制、戦争、労働争議、人種差別など、アメリカの抱える問題を浮き彫りにしながら、それと向き合う大統領候補の姿を通し、理想のリーダー像を活写する。骨太のテーマにそった見事なストーリー展開であり、その面白さは群を抜く。
イーグル 1
かわぐち かいじ
「太陽の王子ホルスの大冒険」の様々なシーンについて、この作品が初の長編演出となった高畑勲が解説した本。どのような意図で演出をし、どんな表現技法が使われたかが詳細に記されている。この作品の各シーンがいかに思い入れを込めて作られているかが如実に伝わってくる。そして、当時の技術でいかに試行錯誤がなされ、その蓄積が他のアニメーションに生かされたかが語られている。表現技法のテキストともなりうる、アニメに対する深い洞察が記された貴重な本。
「ホルス」の映像表現
高畑 勲
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