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太陽の王子 ホルスの大冒険

 宮崎駿、高畑勲、大塚康生、1968年に公開された「太陽の王子 ホルスの大冒険」は、今日の日本のアニメ文化隆盛を築いた人々が、若き力を結集した作品。
 アイヌ文化をモチーフとし、北欧を舞台として悪魔と人間との葛藤を描いた作品。その芸術性の高さは、今なお輝きを放つ。
 「ホルス」で試行錯誤され、生み出された表現技術や演出技法は、「未来少年コナン」「アルプスの少女ハイジ」「ルパン三世」など日本アニメの至宝ともいえる作品群に連なる。また、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」などのジブリ映画のルーツとなっている。日本のアニメーションを語る上で必見の名作。

太陽の王子 ホルスの大冒険
大方斐紗子 市原悦子 平幹二郎
B000066AET

ドヴォルザーク 交響曲第9番

 先日あげた、マーツァル指揮のCDには、ドヴォルザーク交響曲第5番の他に、交響曲第9番のCDが含まれる。この演奏が、実によい。郷土が生んだ敬愛する作曲家の名曲を演奏するチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の喜びが自然と伝わってくる。
 2004年2月、プラハ「芸術家の家」ドヴォルザーク・ホールで収録された演奏。2003年秋のシーズンから、チェコ人指揮者マーツァルを主席指揮者に迎えたばかりであり、チェコ・フィルの意気軒昂な風が感じられる。人を得て、時と場所を得た名演。

ドヴォルザーク 交響曲第5番

 マーツァル指揮、チェコフィルハーモニー管弦楽団演奏のドヴォルザークの交響曲第5番を聴く。のだめカンタービレの第4巻にでてくる曲。コンサートでもあまり演奏される機会がないようだ。自分もこのCDで初めて聴いたが、穏やかな中に、美しい旋律が次々と現れる心地よい曲だ。
 第1楽章には「パストラーレ・オルゲルプンクト」という指示が何度かなされている。のどかな曲調が多いドヴォルザークの曲の中でも、とりわけ田園的な雰囲気をもった交響曲。
 マーツァルによるチェコフィルの演奏は、ボヘミアの香りをたっぷり含んだこの曲を、明るい音調で生き生きと歌い上げている。

ドヴォルザーク:交響曲第5番&第9番
マーツァル(ズデニェク) チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
B00023PJPQ

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番

 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、ピアノの名曲中の名曲。次々と溢れる甘美な旋律、ピアノとオーケストラの絶妙のやりとり、雄大で隙のない構成、どの楽章も魅力に満ちあふれている。

 ツィマーマンのピアノは、一音一音が美しくきらめく。インタビューの中で、「ラフマニノフの協奏曲は、演奏するものではなく、”生きる”ものです。」と語っている。
 全力でぶつかる激情的な部分もあるが、その熱情をあえて押さえることで、深みが生まれている。ことに第2楽章はそれにより、聴き手の心の琴線にふれる。その熱情は徐々に発露され、クライマックスに向かう。初恋のようなナイーブさとよろこびの情感。
 小澤征爾指揮ボストン交響楽団の繊細で端正な演奏は、ピアノの詩情を引き立てている。

ラフマニノフ
ツィマーマン(クリスティアン) ボストン交響楽団 小澤征爾
B00013TCA0

ドラマ のだめカンタービレ 4

 ドラマ「のだめカンタービレ」の第4話は、原作第3巻のSオケの初コンサートまでを軸に、人気のある第2巻のコタツのエピソードを交えて描かれていた。原作では、Sオケが演奏するのはベートーベンの交響曲第3番《英雄》であったが、ドラマではオープニングのテーマ曲であるベートーヴェンの交響曲第7番が用いられた。
 原作の「プリごろ太」もきちんとアニメとして作られ、スタッフの意気込みを感じる。のだめがピアノで弾く7番が素晴らしい。そして、クライマックスのコンサートも、表題のない交響曲第7番でみごとに盛り上がる。
 音楽の素晴らしさをストレートに伝える心が、このドラマを支えている。

 原作の第4巻は、今回のドラマとは関連がないが、長野での音楽祭のエピソードなど後の伏線を予感させる。番外編のピアノの先生の話も好掌編。

のだめカンタービレ (4)
二ノ宮 知子
4063404110

算数ドリル

 息子が小学4年生の算数文章題ドリルを終える。2桁・3桁の割り算、大きな数と概数、面積、三角形や円の作図、小数の加減、分数の基礎という内容。
 比較的問題数が少ないドリルであったので、ほぼ一ヶ月で終えることができた。今日は残った20ページを1日でこなした。全体の分量こそ多くないものの、1冊終えることには成就感があり、次の動機付けとなる。そのため、ドリルはあまりみっちりと詰まっていないほうが良いと感じる。
 次の小学5年生文章題は、小学校算数の天王山、「割合と百分率」を含む。

新課程 学力ドリル
算数文章題 小学4年生

岡 篤
4883133311

新課程 学力ドリル
算数文章題 小学5年生

桝谷 雄三
488313332X

福沢諭吉

 「おもえば、福沢諭吉こそ、民主主義の光をかかげた、明治の大きなともしびでありました。」

 息子の音読で、いつも感心するのは、伝記を書く人の文章のうまさだ。子ども向けであるから、できるだけやさしい言葉でわかりやすく書くことはもちろん、興味を惹きつつもその人のテーマをくっきりと浮き上がらせる内容にしなければならない。
 本書では、勉強嫌い、いたずら好きだった諭吉の子ども時代から始め、好奇心の豊かさからおこる様々なエピソードを盛り込み、物事の本質をすくい取っていく諭吉の姿を興味深く描いている。
 音読を聴いて心地よいリズムを感じた。心を動かす点で、「ペンは剣よりも強し」を体現した書。

福沢諭吉―ペンは剣よりも強し
高山 毅
406147510X

倉渕

 文化の日は、晴れる日が多い。この日も天気は上々であり、倉渕の釣り堀に行く。
 平成18年1月23日に、倉渕村が合併し高崎市倉渕町となった。高崎市とはいえ、市街地からは、50Kmほど離れた場所にある。
Kurabuchi01  釣り堀「カネト水産」は、幹線道路からさらに1kmほど奥に入った山懐に抱かれた場所で、清流に緑が映える。
 釣ったニジマスを塩焼きにして昼食をとる。身がしまって美味である。
 その後、はまゆう山荘に行き、温泉に入る。

Kurabuchi03  はまゆう山荘は、横須賀市が市制施行80周年記念事業の一つとして建設した保養施設。横須賀市と倉渕村は、昭和56年に友好都市としての提携を結んでいたが、そのつながりは幕末の偉才・小栗上野介にまでさかのぼる。
 当時、勘定奉行としていた小栗上野介は横須賀の今日の発展の基礎となった横須賀製鉄所の建設を進めた人だが、彼の領地が権田村(現在の倉渕町権田)であったことがきっかけとなっている。
 倉渕村権田は、小栗上野介が非業の生涯を閉じた最後の地でもある。彼の墓所は権田の東善寺にあり、斬首された川のほとりには「偉人小栗上野介罪なくして此処に斬られる」と刻まれた碑が建てられている。
 はまゆう山荘は平成17年10月より 横須賀市より倉渕村へ移譲され、現在高崎市の所管となっている。(はまゆう山荘のサイトより)

Kurabuchi03  はまゆう山荘では、眼前に紅葉に彩られた山が迫る。
 秋の風情を満喫した1日であった。

ベートーヴェン 交響曲第2番

 ベートーヴェンの交響曲第2番は、比較的演奏される機会は少ないが、なかなか良い曲だ。みずみずしい魅力に溢れている。

ベートーヴェン:交響曲第2番
カラヤン(ヘルベルト・フォン) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ベートーヴェン
B00005FIQF

不撓不屈

 大蔵省、国税庁、検察当局を相手にして闘った税理士、飯塚毅の熱き生涯を描く、高杉良の実名小説「不撓不屈」。
 昭和37年、飯塚税理士は、中小企業のためにとった税務手法を否定され、当局を相手に訴訟を起こすが、それを契機として、飯塚会計事務所とその顧客に対して徹底した調査が入り、度重なる圧力が加わる。ついには、飯塚会計事務所の職員が税理士法違反の疑いで逮捕されるまでに至る。世に言う、「飯塚事件」である。
 常人であれば、当局の所業にとうに屈しているが、飯塚は、厳正な信念と禅で培われた精神力により、最後まで国家権力に抗する。

 本書は、緻密な取材に基づいた迫真の経済小説であると同時に、家族や恩師、同胞がいかに飯塚を支えたかを描き、奥行きのある作品となっている。

 「自利とは利他を言う」
 この人生哲学に立脚した率直で毅然とした生き様に感服するとともに、周囲の人々の飯塚に対する信頼と愛情の厚さが、名状しがたい感動となって迫ってきた。

不撓不屈〈上〉
高杉 良
4101303223
不撓不屈〈下〉
高杉 良
4101303231

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