不撓不屈
大蔵省、国税庁、検察当局を相手にして闘った税理士、飯塚毅の熱き生涯を描く、高杉良の実名小説「不撓不屈」。
昭和37年、飯塚税理士は、中小企業のためにとった税務手法を否定され、当局を相手に訴訟を起こすが、それを契機として、飯塚会計事務所とその顧客に対して徹底した調査が入り、度重なる圧力が加わる。ついには、飯塚会計事務所の職員が税理士法違反の疑いで逮捕されるまでに至る。世に言う、「飯塚事件」である。
常人であれば、当局の所業にとうに屈しているが、飯塚は、厳正な信念と禅で培われた精神力により、最後まで国家権力に抗する。
本書は、緻密な取材に基づいた迫真の経済小説であると同時に、家族や恩師、同胞がいかに飯塚を支えたかを描き、奥行きのある作品となっている。
「自利とは利他を言う」
この人生哲学に立脚した率直で毅然とした生き様に感服するとともに、周囲の人々の飯塚に対する信頼と愛情の厚さが、名状しがたい感動となって迫ってきた。
不撓不屈〈上〉 高杉 良 |
不撓不屈〈下〉 高杉 良 |
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