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小澤征爾 ベートーヴェン交響曲第7番

 「あの人が振るだけでオケが鳴り出す」

 1992年1月18日、群馬音楽センターで小澤征爾が群馬交響楽団を指揮をしたベートーヴェンの交響曲第7番は、いまでも鮮烈に印象に残っている。
 普段の群響とは、明らかに違う音が聞こえたのだ。なんという張りのあるつややかな弦の音色、輝かしい金管の響き、木管の彩り。ことに、主旋律が楽器から他の楽器に引き継がれる部分は鮮やかで、この曲の素晴らしさを教えられた。
 第1楽章の華やかさ、第2楽章の抒情、第3楽章のリズムのよさ、第4楽章の推進力、小澤征爾がリードする群響の熱のこもった演奏には、最初から最後まで魅了された。

 演奏後の会場割れんばかりの拍手の中、小澤征爾が客席の一角に向かって指さし、自らも拍手をした。その先には、車椅子に乗った丸山勝廣氏の姿があった。丸山氏は、群響を生み、育て、地方文化に計り知れぬ貢献をした人。小澤征爾も、若き日に丸山氏の招きで何度も群響移動音楽教室の指揮をし、経験を積んだ。
 その丸山氏は、小澤征爾指揮による群響定期公演の1ヶ月後、2月28日に世を去る。
 丸山勝廣氏の楽団葬が行われた群馬音楽センターで小澤征爾は再び指揮をし、この上なく美しい音楽を氏に捧げた。

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