« エリカ 奇跡のいのち | メイン | ドラマ のだめカンタービレ 9 »

博士の愛した数式

 80分しか記憶がもたない博士と、世話をする家政婦、その息子の交流を描く小川洋子の小説「博士の愛した数式」。博士が示す数の持つ美しい性質を軸に、静かな筆致で三人のやりとりが綴られる。
 記憶を失う運命を背負いながらも、数論に向き合い、子どもに愛情を注ぐ博士の純粋さに、清廉な暖かみを感じる。
 推理小説などに、数学の問題や数式が現れることがあるが、とってつけたような形になることが多い。しかし、この小説では完全数やオイラーの公式などが必然であるかのように登場し、文学との整合性を欠くどころか、味わいのある文脈の中に取り込まれている。
 人々のやさしさと数式との幸せな出会いにふれ、読後も清々しさが残った。

博士の愛した数式
小川 洋子
4101215235

コメント

コメントを投稿

アクセスランキング

Ajax Amazon

  • Amazon.co.jpアソシエイト
  • UserLocal
  • Ajax Amazon
    with Ajax Amazon