砂の女
砂丘の底にある一軒家に絡め取られた男の物語。ただひたすら、砂をかき出す男と女。極限まで簡素になった人間の姿が、緻密な描写で迫ってくる文学作品。
砂の女
安部 公房
NHK大河ドラマ「風林火山」第20回は、武田晴信が山本勘助を軍師として認める回。最後に、北信濃の雄、村上義清(永島敏行)が登場し、物語は次のうねりを見せ始める。
ジャズの演奏にチャレンジする高校生を描く、爽やかな青春映画。上野樹里、貫地谷しほり、本仮屋ユイカなど、矢口史靖監督の役者を選ぶ眼の確かさが光る。理屈抜きに楽しめる快作。
スウィングガールズ
上野樹里 矢口史靖 貫地谷しほり
中年のピアニストと病魔に冒された少女との恋を描くイタリア映画。小学生の頃、「カサンドラ・クロス」を見に言ったとき、同時上映されていたのが「ラスト・コンサート」だった。その優しく切ない旋律は、今でも耳に残っている。
ラストコンサート
リチャード・ジョンソン ルイジ・コッツィ パメラ・ヴィロレージ
細菌兵器に感染した男が乗り込んだ大陸横断鉄道を舞台にした1970年代のサスペンス映画。バート・ランカスター、ソフィア・ローレン、リチャード・ハリス、マーティン・シーンなど国際的なスターが共演した。
オープニングのカメラワークが素晴しく、最初から最後まで引き込まれる。人間関係の交錯する展開も見事。様々なパニック映画の原点とも言える。
カサンドラ・クロス
バート・ランカスター ジョルジュ・パン・コスマトス ソフィア・ローレン
TBSで1999年と2000に放送された「ヒトの旅、ヒトへの旅-世紀末・人類最先端スペシャル」は、20世紀がどのような時代であったかをふりかえり、21世紀がどのような時代になろうとしているかを展望する大型番組であった。立花隆は、この番組のために、現代の科学技術の最先端を様々な角度から取材した。本書は、それらをもとに考察されたものであり、バイオ関連の話題がたいへん多い。
また、「ツングースカ大爆発」の謎に関する記述は興味深い。
最終章の「21世紀 若者たちへのメッセージ」では、日本の教育に対して切実な警鐘を鳴らしている。
21世紀 知の挑戦
立花 隆
ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団によるシューベルト交響曲「ザ・グレート」の演奏を聴く。ワルターの明朗で暖かみをたたえた演奏は、この曲の美質をよく表わしている。たいへん心地よく音楽に浸ることができた。
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
ワルター(ブルーノ) コロンビア交響楽団
NHK大河ドラマ風林火山の第18回・第19回は、諏訪の由布姫が、武田晴信の側室になるまでを描く。由布姫を訪れる武田家の人々を軸にした第18回の演劇的な脚本は見事だった。
この2回では、山本勘助は終始狂言回し的な役どころであった。女性心理に翻弄される勘助であったが、その苦労が後の軍師としての器量に厚みを添えることになるのだろうか。
謎の東洋人「リヴィエラ」をめぐっての諜報戦が圧倒的にリアルに描かれる。IRAテロリストとピアニストとの交流という不思議な旋律を持ちながら、主旋律は極めて硬質な響きを保っている。ブラームスのピアノ協奏曲第2番が象徴的な曲となっている。冒険小説の格調高い名作。
リヴィエラを撃て〈上〉 高村 薫 |
リヴィエラを撃て〈下〉 高村 薫 |
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