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相手に「伝わる」話し方

 「週刊こどもニュース」のお父さん役として、子どもでも分かるようニュースを解説することに苦心した池上彰が、自らの体験をもとに綴った話し方の書。
 NHKに記者として採用され、警察まわりをする中で身につけたコミュニケーションの方法、記者リポートでの失敗、「ニュースセンター845」のキャスターとして報道について考えたこと、そして、「週刊こどもニュース」で工夫した表現などが語られている。生身の体験から出てくる言葉は、説得力がある。
 何より、具体的ですらすら読めるのに、内容が豊富であり、しっかりとメッセージが伝わってくる。この書自体が、「伝え方」のお手本である。

 さて、このブログを始めてちょうど2年がたった。1日ひとつのペースで何かを伝える試みは、まだ続いている。更新は一週間に7つ分という形になる場合が多いが、ともあれ2年で 365×2=730 の文章をアップした。いまだに拙い内容だが、続けることで見えてくるものもあると信じ、伝えることの模索をしていきたい。

相手に「伝わる」話し方―ぼくはこんなことを考えながら話してきた
池上 彰
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驚異の小宇宙 人体 Vol.6「生命を守る~ミクロの戦士たち~」

 「免疫のビデオを見ようよ」と子どもが言う。なぜ免疫?話を聞いてみると、ニンテンドーDSでバイ菌どうしが戦うゲームをやって、体の中でバイ菌を攻撃する仕組み「免疫」に興味をもったらしい。やはりゲームからか。
 ともあれ、図書館で「驚異の小宇宙 人体」第6巻を借りて見る。1989年のNHKスペシャルで放映されたものである。
 実写とCGを交え、マクロファージやT細胞が連携して、細菌を攻撃する仕組みが分かりやすく解説されている。

 しかし、免疫のテーマは、単に異物の排除にとどまらない。免疫とは、自己と非自己を分ける営みである。もしも、免疫の機能が不全となり、自己を非自己と判断すれば、免疫細胞は自らの体を攻撃し始める。
 また、非自己を判断するT細胞を育てる「胸腺」という器官は、十代前半で最大となり、その後は急速に縮小する。それゆえ、歳をとるに従い、自己を判断する基準が弱まってくる。老化は、免疫機能の低下によって引き起こされる現象でもある。免疫は、世代交代を進めるために自らを攻撃し、死滅させていくためのプログラムでもあるようだ。
 「自己」と「非自己」、「寛容」と「拒絶」。免疫のシステムは、生命現象と社会現象とのアナロジーを提示している。

NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.6「生命を守る~ミクロの戦士たち~」
久石譲 タモリ 小出五郎
B00008PTCA

富士急ハイランド

Fujiq01  家族で富士急ハイランドに行く。絶叫系と子ども向けのアトラクションが、バランス良く配置されている遊園地。
 絶叫系では、「ええじゃないか」「ドドンパ」「FUJIYAMA」の三大コースターがその代表。
 「ええじゃないか」は、コースターのレールから座席がはみ出し、足をぶらぶらさせたまま運ばれる。76mの高さから、いきなり後ろ向きに89度の角度で急降下し、その後、前後左右に何度も急回転する。方向感覚がなくなり、もう勝手にしてという感じ。
Fujiq02  「ドドンパ」は、空気圧縮装置により、スタートからわずか1.8秒で時速172kmに達する驚異的なジェット・コースター。発射後すぐに地面と垂直に駆け上がり、垂直に降下する。
 「FUJIYAMA」は、全長2045mを誇る迫力満点のコースター。高い位置から見える樹海が見事で、晴れ晴れとした気分になった。この景色を見られただけでも乗った甲斐があった。曇っていたので富士山の勇姿が望めなかったが、晴天であれば、さらに眺望が美しかっただろう。79mの高さから時速130kmで急降下する。その後もコースレイアウトが素晴しく、最後までスリルに満ち、とても楽しめた。
 子どもたちは、トーマス・ランドやハム太郎の乗り物などで楽しんでいた。絶叫系に乗らないのであれば、キッズ・ライド・パスがお得。キッズ・ライド・パスで乗車可能な中でも、「ロッキー・スライダー」は迫力のアトラクション。インターネット上でメール・マガジンの会員に登録すると、大人向けのキッズ・ライド・パス優待券など、フリーパスの割引券が入手できる。
 なお、観覧車は、通常4人乗りだが、2人乗りの透明なゴンドラがある。床・壁・天井・シートの全てが透明なこのゴンドラは、一見見晴らしがよさそうだが、カップルが記念として引掻いた落書きで、見通しが悪かった。
 「人力コースター2025年完成」「299万円ハンバーガー」など、パロディの看板が至るところに掲示してある。たかが遊園地、されど遊園地。テーマ・パークが林立し、全国で廃止される遊園地が多い中、遊び心満載の、遊園地の王道を行く富士急ハイランドには、エンターテイメントの神髄を感じた。

富士急ハイランド

基礎がため100%中1数学(関数・図形編)

 「くもんの中学基礎がため100%中1数学 (関数・図形編)」は、同じシリーズの「計算編」とセットになっている中学1年数学のドリル。「比例・反比例」「図形の性質」「立体図形の体積・表面積」 などが扱われる。
 中1ギャップの最たるものは、「数学」であると言われる。まず、「正・負の数」でマイナスを含む加減乗除が登場する。次に、文字式が登場し、それに分数・小数が混じって扱われ、さらに当然のごとく習ったばかりのマイナスを含む文字計算となる。続いて一次方程式が登場する。次々と、小学生のときにはなかった抽象的な概念が現れる。それも、小学校での小数・分数の計算が完璧に理解されていることを前提としている。そのため、この時点で小数の計算や分数の通分に習熟していなければならない。
 文章題も、文字式に落とし込む感覚を身につけなければならず、食塩水の問題など、割合の概念がきちんと捉えられていないと難しい。

 それら、多くの新出事項を経た後に登場するのが、二変数の関係を扱った「比例・反比例」である。今までのように、答えがいくつと出るのではなく、「関係」を捉える内容である。その感覚がうまくつかめず、難しい印象を持つと、高校まで尾をひく。特に丁寧な指導が必要な箇所である。
 その後も「x=8,y=4 のとき、y=a x の比例定数 a の値はいくつか。」のように様々な問題のヴァリエーションが現れる。一次方程式に習熟していることも求められるのである。
 「関数」と聞くだけで、「難しい」「分からない」と拒絶反応を示す高校生が多い。その原因は、正負の計算、文字式の計算、一次方程式、文章問題と新しい概念や解法が矢継ぎ早に出てきた後の、「比例・反比例」の場面で苦手意識を持ってしまうことにあるのではないか。

 その他、作図、扇形の面積、円錐の表面積など、難関がいくつかある。それらは、前の事項を踏まえて解く内容であり、その繋がりこそが数学の醍醐味であるが、習熟が図られていないとただただ面倒な内容と感じてしまうであろう。
 三角形の3つの内角の二等分線は一点で交わり、それが外接円の中心となるなどの事実を作図で確認し、興味が持てれば、後の図形の学習にはずみがつく。数学が好きになるか嫌いになるか、中学1年の数学は、教える側の力量が大きく問われる。

 このように、中学1年の数学は、たいへんに中身が濃く、かつ、ほとんどがその後に直接繋がる内容である。そのため、家庭学習で定着をはかる努力が欠かせない。
 ドリル「基礎がため100%中1数学 (関数・図形編)」は、内容豊富なこの箇所の数学について、段階を踏んで問題が配置されている。スモール・ステップの問題を解いていくことにより、どこが分かりづらかったのかを確認することにも役立つであろう。

くもんの中学基礎がため100%中1数学―新学習指導要領対応版 (関数・図形編)
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エンヤ ウォーターマーク

 アイルランド出身のアーティスト、エンヤの初期のアルバム。遙かに広がる草原や海原の上をたゆたう風のような、透明で浮遊感のある音楽。

ウォーターマーク
エンヤ
B000006YIF

大脱走

 第二次世界大戦下、ドイツの空軍捕虜収容所からの連合軍将兵の集団脱走を描いた映画「大脱走」。スティーブ・マックイーン、ジェームズ・ガーナー、チャールズ・ブロンソン、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・コバーンなど、名優をずらりとそろえ、それぞれの個性がうまく引き出されている。冒頭の護送されてくる場面と、後半の脱出時の風景が美しく、収容所の暗い色調と対比をなし見事な映像効果。
 サスペンスとユーモアの絶妙なバランスのとれた脚本が素晴しい。エルマー・バーンスタインの名曲と共に、印象に強く残る戦争映画の大傑作。

大脱走
スティーブ・マックイーン ジェームズ・ガーナー チャールズ・ブロンソン
B000NIVISM

黛敏郎 涅槃交響曲

 鐘の音と読経をモチーフに組み立てられた荘重なシンフォニイ。仏教世界の神秘を感じる、稀有の音楽。

黛敏郎:涅槃交響曲
岩城宏之 東京都交響楽団 東京混声合唱団
B000066ILB

アルゲリッチ チャイコフスキー・ピアノ協奏曲第1番

 マルタ・アルゲリッチのピアノ、クラウディオ・アバド指揮、ベルリンフィルによるチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番のCDを聴く。1994年のライヴ・レコーディング。
 アルゲリッチの情熱的なピアノは華があるが、やや乱暴な印象も受けた。

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
アルゲリッチ(マルタ) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 アバド(クラウディオ)
B00006BGSH

中坊公平・私の事件簿

 「森永ヒ素ミルク中毒事件」「豊田商事事件」など、社会を揺るがした事件の顧問弁護士となり、住専不良債権の整理回収機構社長を務めた中坊公平。彼が担当した事件の中から、節目となった14のケースを取り上げ、「事件の概要」と「教訓と思い出」を語った書。
 あるときは使命感に燃え、あるときは義憤にかられ、熱意と誠意をもってそれぞれの事件に取り組んできたことが伝わってくる。

 「事件を繙(ひもと)く本質は法律にあるのではなく現場にあります。現場の中に小宇宙があり、現場に神宿る-私はそんなふうに考え、今日に至るまで「現場主義」を貫いています。」

 現場に何度も足を運び、そこから本質をつかみ取り、粘りとひたむきさで問題の打開を図ろうとする姿が具体的に記されている。淡々とした記述だが、どの言葉も現実に立脚した深みと力がある。
 特に、「森永ヒ素ミルク中毒事件」の冒頭陳述には心を揺さぶられた。
 真摯に社会問題に向かう弁護士という仕事の尊さと難しさを感じさせられた書であった。 

中坊公平・私の事件簿
中坊 公平
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風林火山 29

 「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」

 上田原の合戦で、甘利虎泰(竜雷太)、板垣信方(千葉真一) の両雄を失った武田晴信は、自らを責め、悲嘆にくれる。武田の敗戦により、各地で武田に反旗を翻す動きが広がる。それら反武田の勢力を結集した小笠原長時、高遠頼継らと、武田軍は塩尻峠で対峙する。
 生前の板垣信方の頼みにより、晴信が揮毫した諏訪大明神の旗の基に諏訪衆が帰参し、塩尻での合戦は勝利を収め、武田は領地と自信を取り戻す。
 板垣が死してなお、その遺志が武田を再生させるという美談。三国志の、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」を思い起こさせる回であった。

NHK大河ドラマ「風林火山」

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