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風林火山 最終回

 NHK大河ドラマ「風林火山」が2007年12月16日の放送で最終回を迎える。
 見始めた当初は、天下統一を果たせなかった武田信玄の部下、山本勘助が主人公とは、なんと地味な設定なのだろうと思った。これで1年間話がもつのかと思ったが、骨太の人間ドラマに、次第に引き込まれていった。
 特に、第4回 「復讐の鬼」での、武田晴信と勘助の出会いの緊迫感は素晴しく、ここからのドラマの盛り上がりを大いに期待させられた。
 「墨攻」を思わせる第8回 「奇襲!海ノ口」の知的でダイナミックな戦闘には心躍る思いであった。
 続く第9回 「勘助討たれる」で、晴信が父信虎に、孫子の言葉を用いて自らの行動を語るくだりは、この作品の中でも愁眉の名場面。晴信の器量を家臣団に示す重要なシーンを、仲代達矢を前に市川亀治郎が凛とした気迫で演じきった。
 第11回 「信虎追放」は、節目となる回だが、勘助を微妙な役回りにして丁寧に区切りをつけた。
 そして迎える第12回 「勘助仕官」。井上靖の原作はここから話が始まる。やはり、原作者に敬意を表してか、この回にかけるスタッフの意気込みは相当なものを感じた。陰影の深い映像で表現された、勘助の鬼気迫る様が凄まじかった。
 第15回 「諏訪攻め」で柴本幸演じる由布姫と勘助との最初の対面が始まり、以降物語の縦糸となっていく。
 第18回 「生か死か」は、由布姫と武田家中を巡る葛藤の回だが、ひとつの演劇を見るような、見事なまとまりを持っていた。個人的には、この回のような緻密な脚本が好きだ。
 そして、第21回 「消えた姫」 のお堂の中での勘助と由布姫との名シーン。このシーンには、後に登場する緒形拳も感銘を受けたようだ。
 第24回 「越後の龍」で、ガクト演じるビジュアル系謙信が登場する。市川亀治郎とのコントラストが鮮やか。
 第28回 「両雄死す」では、村上義清との上田原の戦で、武田の名将、板垣信方(千葉真一)と甘利虎泰(竜雷太)が戦死する。この二人の存在がいかに大きかったか、後のドラマがやや盛り上がりに欠けることから知ることになる。後は、勘助と上杉謙信(ガクト)、宇佐美定満(緒形拳)との三者を軸として話が進むが、板垣、甘利亡き武田には、いまひとつピリッとした雰囲気に欠け、やや消化試合の感が否めなかった。それでも、毎回見ずにはいられない雰囲気を持っていた。最後の武田信玄、山本勘助の風格は実に立派。

 この地味な主人公で、これだけ骨太のドラマとなったのは、一に大森寿美男の脚本、二に山本勘助役の内野聖陽の演技力だと思う。「クライマーズ・ハイ」で、その実力を見せつけられた大森寿美男の脚本は、特に前半、期待を裏切らない出来映えであった。
 一年間、熱いドラマを楽しませていただいたスタッフには感謝したい。

NHK大河ドラマ「風林火山」

NHK大河ドラマ 風林火山 完全版 第壱集
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