ナポレオン 火の鳥伝記文庫
ナポレオンの生涯を、息子による伝記の音読でたどる。
「わたしの辞書に不可能という言葉はない。」という台詞で象徴される、独裁者というイメージが強いが、フランス革命後の混乱を収拾した努力と勇敢さが基盤にあることがじっくりと描かれている。
政治や文化に対しても大きな功績を残している。エジプト遠征の折には多くの学者や技師、画家を引き連れて古代文明の調査に寄与した。また、「ナポレオン法典」により、民衆の側に立った社会改革のしくみを取り入れた法律を整備し、教育制度を整え、度量衡の単位を統一し、国道や運河の建設で交通の便を良くするなど、社会的な貢献も大きい。
いまなお世界中にその名を知られているのは、戦争の功罪という面だけでは語れない様々な要素を後世に残しているからだということが分かった。リーダーの条件を、子どもと共に語り合うきっかけとなる本であった。
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