スーパーカミオカンデ
岐阜県飛騨市神岡町にあるスーパーカミオカンデに行く。東京大学宇宙線研究所の観測施設であり、宇宙からの素粒子を24時間体制でとらえている。
長野自動車道の松本インターを降り、いくつものダムが見える道を経て、幾多のトンネルを抜けて長野と岐阜の県境にある安房峠に出る。安房峠の有料道路は高速道路並の素晴しいトンネルで、あっという間に岐阜県に出る。周りには雪が残っていた。
神岡町の道の駅「スカイドーム神岡」には、光電子増倍管や、カミオカンデのレプリカが展示されている。飛騨のおみやげを売っているが、カミオカンデせんべいやニュートリノ饅頭は売っていなかった。
国道41号線から脇道に入り、しばらく進むと、工事現場のような場所が入り口であった。神岡鉱山と書いてあるのみで、ここが東大の研究施設入り口とはまったく分からない。子どもたちは探検気分で懐中電灯を振り回して喜んでいた。この坑の奥、山の地下1000mの場所にスーパーカミオカンデがある。
東大の先生が、専用車両(錆びたバン)で坑内から迎えにきてくれる。入り口から1.7km奥に、車に乗っていく。スーパーカミオカンデのビデオを見た後、エレクトロニクスハットと呼ばれるスーパーカミオカンデの上部に行く。ドーム状になっており、天井はアルミ等のシールドで覆われ、ラドンなどの放射線が入らないようになっている。周りには様々な機器が配置され、足下には無数のコードが這っている。この下には、5万トンの純水をたたえた直径39.3m、高さ41.4mの巨大な水槽があり、11129本の光電子増倍管が宇宙からの素粒子を絶えず検出している。
エレクトロニクスハットを出て隣の部屋に行くと、光電子増倍管のモニター画面が映し出されていた。モニターは素粒子を感知して絶えず模様を変えていた。
基礎研究の重要さは、現在身の回りにあるエレクトロニクスを考えれば納得できる。300年前、電子を研究しているといっても一般にはほとんど相手にされなかっただろうが、今の我々に電気製品のない暮らしは考えにくい。
そいうった実利的なことを抜きにしても、宇宙の真理を解明する試み、純粋に知的な営みが静かになされていることに感銘をおぼえる。
坑から出た後、富山に向かい、1時間ほどでホテルに着く。窓から見える立山連峰の勇姿が美しい。「富山」の名にふさわしい景色だ。
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