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はやぶさ、そうまでして君は

 7年の歳月をかけ、60億kmの距離を経て地球に小惑星のサンプルを持ち帰った「はやぶさ」。そのプロジェクトの実際を、リーダーであった川口淳一郎が記した書。
 はやぶさが次々と困難に直面し、何度も生還不可能と思われた事態に陥ったあらましは知っていたが、プロジェクトマネージャー自らの語りは臨場感を持って迫ってくる。
 また、はやぶさは幾多の危機に直面しても、数十億km彼方からのわずかな電波を頼りに、使命を遂げようと立ち直る。リチウムイオン電池の放電で、もはやこれまでかと思われた時も、プログラムに命令が組み込まれていないにもかかわらず、補充電が行われていた。それについて、
 「なぜ、そんなことが起こったのか。答えは当時もいまも、わかりません。一つだけ確かなのは、やはり「はやぶさ」には、人知を超えた特別な何かがある、ということです。」
 人知を尽くし、何があっても帰還させようという執念があったから、機械もそれに応えたのではないか。科学は人の思いと無縁ではないとつくづく感じる。また、機械であるにもかかわらず、はやぶさを自らの子どものように愛おしく思う著者の気持ちにも同感できる。
 
 絶体絶命の危機を乗り切り、自らは大気圏に燃え尽きながら地球にイトカワのサンプルを放つはやぶさ。その奇跡の生還は日本人に大きな勇気を与えた。次世代への夢と希望をつなぐミッションの完遂は計り知れない重みをもつ。 

はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話
川口 淳一郎
4796678913

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