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坂の上の雲 13

 NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」の最終回が放送される。冒頭20分の海戦シーンは、緊迫感に溢れ、圧巻。陸軍の奮戦ぶりを3回に渡って描いたにしては、比較的あっさりとした印象。もっと描きたいことはあったのだろうが、時間的に厳しかったのであろう。
 海戦後のシーンは、各人のその後を風呂敷をたたむように丁寧に描かれ、心にしみいる静けさがあった。好古の晩年のメークは、あまりに力が入っていて恐れ入った。さらりと終わりを迎えたが、視るものに余韻を残す、作り手のゆるぎない自信を感じさせるラストであった。

 原作をよくここまで映像にしたと、あらためて感じる。役者の入魂の演技や、ディテールにまでこだわった作り込み、圧倒される戦闘シーン、各人の存在感や苦悩を浮き彫りにしつつ、多くの立場に配慮した台詞の練り込みよう。それら全てに、このドラマにかけるスタッフの気概と意気込みを感じさせられた。
 忘れ得ないのは第6話、正岡子規晩年のシーンである。子規庵の場面は何度みても自然に涙が出てしまう。子規のドラマがあったからこそ、戦闘の覚悟や苦悩がより浮き上がってくる。この深みは、他の戦争映画では表出しえないであろう。
 まさに、「日本映像界の悲願」が成し遂げられた。この壮大な物語は、日本のドラマの記念碑として残り続けるだろう。

NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲

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司馬遼太郎
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