パストラーレのひととき

　第二次大戦中、エーゲ海の島にある難攻不落の要塞に備えられた巨砲の破壊に挑む男たちを描く映画「ナバロンの要塞」。
　畳みかけるアクションシーンと人間ドラマが見事に交錯した脚本が素晴らしい。グレゴリー・ペック、デヴィッド・ニーヴン、アンソニー・クインら名優の競演も見応えがある。
　時を越えて輝きを放つ一級の冒険映画。
　

ナバロンの要塞　コレクターズ・エディション [DVD]

　立川談志２９歳の口演「宿屋の富」「らくだ」のＣＤを聴く。「ひとり会」第１回、第２回からの録音。
　「宿屋の富」は、テンポ良く畳みかけていき、突っ走るような若さを感じる。
　「らくだ」は、歯切れ良く話を運び、くず屋が飲んで変わっていく場面の盛り上げも堂に入っている。初々しさの中に才気の片鱗が感じられる。

ひとり会(1)
立川談志

　佐渡裕が、名門パリ管弦楽団を指揮してベルリオーズの「幻想交響曲」を指揮した2002年のライヴ録音。
　推進力や熱意は伝わるのだが、録音のせいなのか、いまひとつ高揚感や充実感が残らないのはなぜだろうか。

ベルリオーズ:幻想交響曲
佐渡裕

　ＮＨＫ大河ドラマ「平清盛」第２７回は、「宿命の対決」。平治の乱の戦が、実質的にこの回で描かれる。
　「墨攻」「英雄」など、中国を舞台にした映画の戦の様に、弓矢が無数に飛んでくるシーンは個人的に好きなので、今回の川を挟んで弓矢が源氏を襲うシーンには大河ドラマで久しぶりに戦闘シーンのカタルシスを感じた。
　しかし、一転、源義朝と平清盛が棟梁二人だけで馬を駆けるファンタジックなシーンには、ちょっと突き放された感じがした。最期までリアリティをもって描いて欲しかったのだが、スタッフは二人だけの絵にしたかったのだろう。少年漫画雑誌的な演出がお好きなようですね。

ＮＨＫ大河ドラマ「平清盛」

平 清盛 後編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版

　山下達郎の「煙が目にしみる」、竹内まりやが歌う「いそしぎ」、さだまさしの「愛について」、少年隊「LADY」、葉加瀬太郎が奏でる「自由の大地」など、服部克久が編曲・作曲した代表作を収録したコンピレーション・アルバム。
　服部克久が手がけるゴージャスな音楽には、どれも心浮き立たせる華やぎがある。
　「日本海夕日コンサート」のDVDが併録されている。

服部克久の世界~works
服部克久 大黒摩季 山下達郎 竹内まりや さだまさし THE ALFEE

　「雨にぬれても」「アルフィー」「遙かなる影」「ニューヨークシティ・セレナーデ」など、バート・バカラックが残した名曲を、平賀マリカが歌うＣＤ。
　バート・バカラックの曲は、メロディーが美しいが、音域が広く変拍子も多く、歌うのが難しい曲のようだ。それゆえ、独特の魅力を放っている。
　平賀マリカの張りのある歌声とマンハッタン・ジャズ・クインテットのスリリングな演奏がうまく和し、充実したアルバムになっている。

クロース・トゥ・バカラック
マンハッタン・ジャズ・クインテット 平賀マリカ

　ビールのＣＭに使われた曲を集めたＣＤ。「ゲバゲバ９０分」（キリン：のどごし<生>）、「ビタースイート・サンバ」（サントリー：金麦）、「ヴォラーレ」（キリン：麒麟淡麗<生>）、「スケーターズ・ワルツ」（アサヒ：本生）、「大脱走のマーチ」（サッポロ：北海道生搾り）、「第三の男」（サッポロ：ヱビスビール）…
　曲名をいくつか並べただけで、爽やかさ、のどごしの良さ、ふくよかな香り、泡のはじける音がよみがえってくる。

ビールを飲みたいっ!~最新ベスト・オブ・ビールCM
CMソング Yves Duteil 他

　新井満の「絵本・千の風になって」を原作としたドラマＣＤ。大地に生きる人々の愛の物語が、豪華声優陣によって紡がれる。

サウンドシアター ドラマCD 千の風になって~ウパシとレイラの物語~
新井満 ドラマ 森川智之 ヒロカズ 朴ロ美 石田彰 保志総一朗 皆川純子 中田譲治 宝亀克寿

　テナー・サックスの名手、ハリー・アレンが、「美しすぎるあなた」「飾りのついた四輪馬車」「シー・ワズ・トゥー・グッド・トゥ・ミー」などミュージカルや映画のナンバーを奏でるジャズ・アルバム。
　ジョン・ピザレリ・トリオとの相性もぴったりで、スィンギーな魅力溢れる１枚。 

プレイズ・ザ・ヒッツ・オブ・ステージ&スクリーン
ロジャース・リチャード ハリー・アレン

　十代目桂文治の「猫と金魚」「お血脈」を収めたＣＤ。鷹揚な雰囲気を漂わしながら、気っぷの良い江戸情緒に誘う話芸には独特の魅力がある。

「なごやか寄席」シリーズ 十代目 桂文治 猫と金魚・お血脈
桂文治(十代目)