未来の二つの顔
人工知能を扱ったJ・P・ホーガンのSF小説を、星野之宣が漫画化した作品。緻密な絵でダイナミックにストーリーが展開され、その画力とイメージの豊かさには圧倒される。
人工知能の実験場として用いられるスペース・コロニー「ヤヌス」は、ローマ神話に登場する二つの顔を持つ神の名からとられている。人工知能に託す人類の未来は、明暗いずれもありうることを象徴している。
現在、大量のデータ処理は、いまや当たり前のように行われている。例えばスマートフォンの音声認識に見られるように、その処理能力と実用化は飛躍的に進んでいる。コンピュータは社会の隅々まで普及し、社会システムそのものに関わってきており、1979年に出版された「未来の二つの顔」のテーマは、もはや現実に対峙しなければらならい問題となっている。
ヤヌスは、過去と未来の間に立つ神とも言われている。"Janus"は、英語の1月"January"の語源でもある。
多様な技術が進展するであろう2013年、その技術は、顔を明るく照らすものになっていくのであろうか。
未来の二つの顔 (講談社漫画文庫)
星野 之宣 P・ジェイムス・ホーガン
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