そして誰もいなくなった
クリスティーのミステリーで、ベスト・ワンは自分にとっては、「そして誰もいなくなった」である。ページをめくりしばらくすると、もうその世界からは離れられない。一気に読まずにはいられない求心力を持っている。
孤島に集められた10人が、マザー・グースの童謡になぞらえて一人一人殺されていく。その着想もすごいが、筋運びの巧みさがあまりに見事。
最後の一人が亡くなったときの戦慄はいまなお忘れ得ない。
映像化は様々されているが、どれもいまひとつ。それは、この最後の瞬間の感覚があまりに強烈すぎ、どれも原作を素直になぞる映像としていないためであろう。
クローズド・サークル・ミステリーの嚆矢にして最高傑作。
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