マーラー交響曲第7番

 「夜の歌」とよばれる、マーラー交響曲第7番は、ベルリオーズの「幻想交響曲」よりも幻想的な雰囲気に満ちている。5楽章構成で、真ん中の「影のように」と記された奇妙なスケルツォをはさみ、第2楽章と第4楽章に「夜曲」が配置されている。この2つの夜曲の独特な雰囲気には、なんとも言えない魅力がある。
 第2楽章は、夜のとばりが降り、暗くなった森に鳥たちがさえずり、動物たちが行動をはじめるような情景がうかぶ。シンガポールに行ったときのナイト・サファリを思い出した。
 第4楽章は、月夜のもとで奏でられる愛のセレナーデ。ギター、マンドリンも加わり、様々な管弦楽法に彩られながらも、かわいらしい情緒をもった曲である。この楽章だけ聴くのもいいのではと思う。
 終楽章は、音と音とのぶつかり合いで、最初にこの楽章を聴いたときには、なんだこりゃと思った。ジャングルでゴリラたちが暴れるような、めまぐるしく出し物が変わるサーカスのような、キングコングがやってくるかのような、ウッハ、ウハウハウッハッハーなやぶれかぶれの感じがたまらない。

 マイケル・ティルソン・トーマス指揮、ロンドン交響楽団による演奏は、このあまりに多くの要素が詰め込まれた交響曲を、自在なテンポと完璧なコントロールではっきりと形を示してくれる。そのため、安心してこの多様な音響の世界に浸ることができた。

 それにしても、マーラーの音楽は、本当にいろいろな楽しみ方ができるものだ。

マーラー:交響曲第7番
ロンドン交響楽団 トーマス(マイケル・ティルソン)

トルコ行進曲~アファナシエフ・プレイズ・モーツァルト

 アファナシエフによるモーツァルト ピアノソナタ第9番、第10番、第11番のCD。悠然としたテンポでありながら、決然とした推進力を持っている。一音一音が研ぎ澄まされた演奏。

トルコ行進曲~アファナシエフ・プレイズ・モーツァルト
ヴァレリー・アファナシエフ

ベートーヴェンピアノ協奏曲第3番

 「アファナシエフ・プレイズ・エンペラー!」のCDは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番の演奏も収められている。第3番は、その曲調が様々な思索を巡らすアファナシエフの演奏スタイルに合っているようで、変化に富んだ楽しめる演奏だった。

プレイズ・エンペラー!
アファナシエフ(ヴァレリー) スダーン(ユベール)

アファナシエフ プレイズ・エンペラー

 アファナシエフのピアノによる、ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番のCDを聴く。ユベール・スダーン指揮、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団演奏。
 まさしく、エンペラーと呼ぶにふさわしい絢爛豪華な曲だが、この演奏は、ちょっと様相が違った。第1楽章で最初の和音が鳴ったときは、おおっベートーヴェン!ピアノの音も良い!と期待した。しばらくはゴキゲンで聴けたのだが、しばらくしてテンポがどうもいつもと違う感じ。早くなったり遅くなったりと、ブレがあるのだ。かといって、それが不快というのではなく、ピアノは強靱なタッチで一音一音が明瞭、何か強力な意思を感じる。
 第2楽章はいよいよ思索的になり、クリアでよく響くピアノなのだが、どこか孤独な雰囲気を漂わせている。
 第3楽章のピアノの奔放さは、奏者と作曲家との間の談論風発なのだろうか。少なくとも、聴衆との対話ではないと感じた。
 孤高の芸術家と絢爛たる協奏曲との組合せは、聴いている自分のアンビバレンスを映すようであり、不思議な後味を残す演奏だった。

プレイズ・エンペラー!
アファナシエフ(ヴァレリー) スダーン(ユベール)

HOTEI ALL TIME SUPER BEST

 布袋寅泰の才能にあらためてしびれる。

ALL TIME SUPER BEST

てつどうの歌 ~鉄道唱歌/銀河鉄道999~

 「鉄道唱歌」「汽車ぽっぽ」「僕は特急の機関士で」「修学旅行」「寝台列車」「新幹線でゴー!ゴ・ゴー!」など、鉄道に関わる歌を集めたCD。
 ゴダイゴの銀河鉄道999(THE GALAXY EXPRESS 999)が最後に収められているが、この歌の前向きさは、列車の高揚感と無縁でないことを改めて感じさせてくれた。

ディズニー・ジャパニーズ・アーティスト・ベスト

「Sugar Rush」AKB48、「小さな世界」倖田來未&Heartsdales、「シー・オブ・ドリームス」MISIA、「好きにならずにいられない」三浦大知、「星に願いを」矢沢永吉など、日本人アーティストが歌うディズニーの曲を集めたCD。
 どの曲もクオリティが高く、独特の感興がある。

岩崎宏美 Dear Friends

 「恋におちて」「時代」「あなたの心に」「ブルー」「夢」「止まった時計」「誰もいない海」「見上げてごらん夜の星を」など、岩崎宏美が、関わった人々の楽曲を感謝と敬意をこめて歌うカヴァー集。
 抜群の表現力で温かく包み込まれるように歌われる名曲の数々で、この上ない心地よさを与えてくれるアルバム。

Dear Friends
湯川れい子 岩崎宏美 塩谷哲 北山修 古川昌義 中島みゆき 西脇辰弥 中山千夏 佐藤竹善 BEGIN 渡辺真知子

タツノコGoGo ギャグ&ファンタジー編

 「ハクション大魔王」「みなしごハッチ」「いなかっぺ大将」など、タツノコプロのアニメ作品でのオープニングとエンディングを収録した2枚組CD。
 「みなしごハッチ」の路線は、「樫の木モック」「けろっこデメタン」などの哀感溢れる作品に引き継がれていく。
 「ハクション大魔王」のナンセンス・ギャグは、時代を先取りしていた。今なお新鮮な魅力を放つ「アクビ娘」を歌う堀江美都子は当時若干12歳であった。
 「タイムボカン」シリーズでは、「ヤッターマン」「逆転イッパツマン」も収録されている。「ヤッターマン」のエンディング「天才ドロンボー」は、悪役三人トリオが歌うダークな前向きさが印象に残る曲。
 とりわけ「てんとう虫の歌」は、貧しくても助け合って生きていく小学生以下のこどもたちの話であり、音楽の素晴らしさもあってひときわ輝いている。
 アニメ音楽の魅力が凝縮された、聴き手の心のひだに優しくふれるアルバム。

タツノコプロ55周年記念 ベストソングコレクション タツノコGoGo ギャグ&ファンタジー編

伊藤ゆかり メモリーズ・オブ・ミー

 「小指の想い出」「恋のしずく」「天使の誘惑」「ブルーライト・ヨコハマ」「白い色は恋人の色」など、1960年代から70年代のスタンダード・ポップスを伊藤ゆかりが歌うアルバム。
 バックのジャジーな演奏が素晴らしく、円熟の歌唱とあいまって豊かな世界をつくりだしている。

メモリーズ・オブ・ミー

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