誰も知らない

 是枝裕和監督の映画「誰も知らない」の冒頭、スーツケースの中から子どもが出てくるシーンから、画面に釘付けになる。アパートに引っ越すにあたり、家族の人数をごまかすために、スーツケースの中に子どもを入れて運んだのだ。それでも子どもたちは明るく屈託がない。団欒も束の間、新しい恋人ができた母親は、四人の子どもたちをアパートに置き去りにする。
 子どもたちが自然な演技であり、それゆえにずっと印象に残る。とりわけ、柳楽優弥演じる長男の、四人の兄弟姉妹が生きていくための振るまいが健気で、胸を締めつける。
 児童虐待の報道が後をたたない昨今、この映画を思い出す機会が多い。淡々とした映像であったが、いつまでも刺激をし続ける。
 カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞、フランダース国際映画祭 グランプリ受賞作品。

誰も知らない
是枝裕和 柳楽優弥 北浦愛
B0002PPXQY

「ホルス」の映像表現

 「太陽の王子ホルスの大冒険」の様々なシーンについて、この作品が初の長編演出となった高畑勲が解説した本。どのような意図で演出をし、どんな表現技法が使われたかが詳細に記されている。この作品の各シーンがいかに思い入れを込めて作られているかが如実に伝わってくる。そして、当時の技術でいかに試行錯誤がなされ、その蓄積が他のアニメーションに生かされたかが語られている。表現技法のテキストともなりうる、アニメに対する深い洞察が記された貴重な本。

「ホルス」の映像表現
高畑 勲
4196695140

太陽の王子 ホルスの大冒険

 宮崎駿、高畑勲、大塚康生、1968年に公開された「太陽の王子 ホルスの大冒険」は、今日の日本のアニメ文化隆盛を築いた人々が、若き力を結集した作品。
 アイヌ文化をモチーフとし、北欧を舞台として悪魔と人間との葛藤を描いた作品。その芸術性の高さは、今なお輝きを放つ。
 「ホルス」で試行錯誤され、生み出された表現技術や演出技法は、「未来少年コナン」「アルプスの少女ハイジ」「ルパン三世」など日本アニメの至宝ともいえる作品群に連なる。また、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」などのジブリ映画のルーツとなっている。日本のアニメーションを語る上で必見の名作。

太陽の王子 ホルスの大冒険
大方斐紗子 市原悦子 平幹二郎
B000066AET

北北西に進路を取れ

 ケーリー・グラント主演のサスペンス。ヒッチコックの巧みなプロットと映像技法が冴える名作。

北北西に進路を取れ
アルフレッド・ヒッチコック ケーリー・グラント エバ・マリー・セイント
B0009Q0JR4

知りすぎていた男

 「交渉人 真下正義」を見て、ヒッチコック監督の「知りすぎていた男」を思い出した。君塚良一が脚本を手がける作品は、多分に映画へのオマージュとなっている。管制室と犯人とのやりとりは「新幹線大爆破」を彷彿させるし、犯人の出すヒントにも、「愛と悲しみのボレロ」など多くの作品が登場する。無名時代のスピルバーグが演出した「激突」を思わせる点もある。
 「知りすぎていた男」は、巻き込まれ型サスペンスの傑作で、ドリス・デイが歌う主題歌「ケ・セラ・セラ」はアカデミー賞主題歌賞を受賞した。

知りすぎていた男
ヒッチコック
ジェームス・スチュアート ドリス・デイ
B00024Z3ZQ
交渉人 真下正義
ユースケ・サンタマリア
B000B5M7T6

ポセイドン・アドベンチャー

 岩手県出身の友人と話していて、懐かしい映画が話題になった。
 『子どもの時に映画館で見た、「ポセイドン・アドベンチャー」は、今でも鮮明に印象に残っているね。実家の前が海だったから、巨大な津波が船を襲うシーンは人ごとではなく、ホント身震いがきたよ。』
 大津波で真っ逆さまになった船内から脱出する人々を描く1972年の映画「ポセイドン・アドベンチャー」は、その濃密な人間ドラマゆえに、名作の地位を不動のものとしている。パニック映画は、極限状況で人々が見せる赤裸々な姿や彼らがとる行動を描くことに意味がある。それをはき違えて、単なるアクションに終始する作品のいかに多いことか。
 余韻の残るこの映画の緊迫感は、一級の人間描写に支えられている。 

ポセイドン・アドベンチャー [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
ロナルド・ニーム ジーン・ハックマン アーネスト・ボーグナイン

ポセイドン・アドベンチャー 2005

 パニック映画の名作「ポセイドン・アドベンチャー」のリメイクで、2005年にTV番組用に制作されたドラマ。録画をしておいたので、つい見てしまった。パニック映画の金字塔といわれる1972年の映画と比較するのは酷であろうが、TVのドラマとしてはよく出来ていると感じた。

ポセイドン・アドベンチャー [DVD]

映画 人間の証明

 佐藤純弥監督の「人間の証明」は、「犬神家の一族」に続く角川映画の第2弾として制作された。巨額の制作費、宣伝費をつぎこみ、主題歌は大ヒットした。映画はよくできているが、小説のほうが心を動かされた。

人間の証明
佐藤純彌 松田優作 岡田茉莉子
B000IU3A04

新幹線大爆破

 佐藤純弥監督の代表作といえば、「新幹線大爆破」。時速が下がると爆破する仕掛けがなされた新幹線をめぐり、犯人役の高倉健、管制官の宇津井健、運転手の千葉真一など、オールスターキャストで制作されたパニック巨編。
 社会に虐げられた犯人たちの描写など、社会派ドラマとしても秀逸。それ以上に犯人と国鉄、警察との息づまる駆け引きがいい。
 ドラマにのめり込んでも、つっこみどころを探しても、どちらでも楽しめる傑作。 

新幹線大爆破
佐藤純弥 高倉健 千葉真一
B000066AEH

君よ憤怒の河を渉れ

 街中で子どもがポニーに乗ったことから、邦画「君よ憤怒の河を渉れ」を思い出した。高倉健主演、佐藤純弥監督の1976年の作品。
 無実の罪を着せされた検事が、逃亡しながらも自らの潔白を証明するために活躍するアクション大作。中国では大ヒットしたようだ。
 追う刑事に原田芳雄、ロマンスの相手に中野良子。個性的な俳優陣と、ギトギトした演出から、この時代の雰囲気を色濃く感じる。

君よ憤怒の河を渉れ
西村寿行 佐藤純彌 高倉健
B00005S7AS

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