おおかみこどもの雨と雪
身寄りの無い女子学生花は、大学で男性と知り合い恋をする。相手がオオカミであると知りつつ二人の子をなす。男性を失った後、花は田舎の古民家で二人の子どもを育てるが…。
花のけなげな姿に心うたれる。自然描写があまりに美しく、この作品を何度も見たいと思わせてくれる。
細田守監督畢生の、魂のこもったアニメーション。
身寄りの無い女子学生花は、大学で男性と知り合い恋をする。相手がオオカミであると知りつつ二人の子をなす。男性を失った後、花は田舎の古民家で二人の子どもを育てるが…。
花のけなげな姿に心うたれる。自然描写があまりに美しく、この作品を何度も見たいと思わせてくれる。
細田守監督畢生の、魂のこもったアニメーション。
ネット上の仮想世界から引き起こされた混乱に、大家族が立ち向かう映画。細田守監督が、上田にある奥さんの親類の絆に感銘を受け、日本の原風景を描くことに力点が置かれている。そのため、バーチャルの緻密な描写と、家族の細やかな情感の描写がコントラストをなし、独特の感興がある。
雲や風景など自然の描写に対する監督のこだわりが良い方に作用し、爽やかな作品に仕上がっている。
筒井康隆の原作、細田守監督によるアニメーション「時をかける少女」。躍動感溢れる学園SF。山本二三美術監督が手がける背景が素晴しい。雲や標識の表現など、細田監督独特のこだわりが随所に見られる。
夏を駆け抜ける、爽やかな青春アニメ。
時をかける少女
筒井康隆 細田守
ジェイコブ・コーラーによるピアノ・アルバム。「ラ・ラ・ランド」「ムーン・リヴァー」「花」など、自由闊達なアレンジで楽しませてくれる。
「富士五湖」のようなオリジナルも日本への愛情を感じる良い曲。
「ルパン三世のテーマ」「リベルタンゴ」など技巧を駆使したスリリングな演奏も素晴らしい。
ピアノの魅力を存分に伝えるヴァラエティに富んだアルバム。
「となりのトトロ」「崖の上のポニョ」「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」など、ジブリ映画の曲をアレンジしたアルバム。
南国テイストのやや脱力した雰囲気のアレンジであり、リラックスして聴ける。
医療システムなどが人工知能に依存する社会を舞台にした映画「AI崩壊」。大沢たかお主演、入江悠監督の2020年公開作品。
人工知能が発達した社会はよく描けている。しかし、後半は「逃亡者」や「君よ憤怒の河を渉れ」などの昔のサスペンス映画を思わせる展開。
意外とお気楽に見られる映画。
ロアルド・ダールの児童文学を原作とする映画「ファンタスティック Mr.FOX」。キツネの父親と農場主との対決を軸に、多くの動物たちとの交流を描く。
ロアルド・ダールのスパイスが効いたユーモアと、ストップモーション・アニメーションの独特な動きが奏功し、たいへん楽しめる作品になっている。
それぞれのキャラクターの個性が生き、群像劇としても秀逸。それにしても、これだけ多数のキャラクターを操るストップモーション・アニメには、気が遠くなるような手間がかかっているのではないか。
独特の世界に引き込まれる快作。
山に囲まれた群馬で生まれ育った身にとって、海はあこがれの対象である。北海道へ旅するときも、新潟まで北上し、そこからフェリーに乗って小樽まで行くというルートをとっている。これが一番料金も安く、車も運べ、そしてなにより海を満喫できる。フェリーが港を離れ、白い波を広げながら沖に出ていく。その波の先ある新潟の街を見ながらワインを飲むのは最高に気持ち良い。船の旅は海の広がりにも似た開放感を与えてくれ、また船内に入ると、陸から切り離されたことによる独特の情緒を感じることができる。
ジェームズ・キャメロン監督の映画「タイタニック」で一番感動したのも、海に浮かぶタイタニック号の勇姿なのだ。映画の最初の方で、ディカプリオ演じる若い画家とその友人が船首のデッキで、タイタニックによる船出の喜びと自分たちの未来に向けての期待を手を広げて表すシーンがある。そこからカメラは上がっていき、タイタニックを映す俯瞰になり、甲板をずーっと移動して船尾からタイタニックを捉えるショットになる。実写では難しい映像で、コンピュータ・グラフィックスも使われているのだろうが、作り物とはとても思えないみごとなシーンであった。夕暮れ時の海も、夜のタイタニックのシルエットも本当に美しく、その航海にあこがれてしまう。そして船内に入れば、極めて精巧に再現されたタイタニックの豪華な内装が目を引く。ヒーローとヒロインの階級の差によって1等船室と3等船室の差をまざまざと見せていく演出もうまいなあと思った。この前半の描写が美しく見事だからこそ、後半の惨劇がより身に迫ってくるのだろう。
氷山にあたってから沈むまでは、思ったより時間があった。そこでじっくりと描かれる様々な人間模様は、船という閉ざされた空間により、際だった密度を持っていた。その中でも心を打たれたのは、最後まで自らの職務を全うしようとする人々の姿だ。パニックに陥る人々を制止して女子供を救命ボートに乗せようとする船員、最後まで演奏を続けるクァルテットのメンバー、船と運命を共にする船長や設計者。
この映画では、水が主役でもあった。冒頭で沈むタイタニックを描く海中の映像も見事であり、損傷した船を襲う海水の迫力も、エイリアン以上の恐怖を与えてくれる。ジェームズ・キャメロン監督は、ジュニア・カレッジで海洋生物学を専攻していたとのこと。「沈黙の世界」などで知られる海洋探検家のジャック・イヴ・クストーにも影響を受けたようだ。また、キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」にSF映画を作るきっかけを与えられた。大学では物理学を専攻しており、それら理系のセンスも、この映画のリアルさに貢献しているのかも知れない。
主役のディカプリオは、繊細さと明るさを持った画家の卵という役柄が、ほんとうに輝くようにあてはまっていた。ケイト・ウィンスレットは、上流家庭のお嬢様なのに、情熱的な踊りを披露したりすぐに脱いでしまったりと、ずいぶんと活動的で強い役柄で、まあ、これくらいのアクがないとこの巨大な映画の中ではうもれてしまうのかなと思う。二人の恋愛にはいまひとつ感情移入できなかったが、それは自らのトシのせいだろう。それにしてもヒロインの婚約者を演じるビリー・ゼーンといったら、いきなりピストルをぶっぱなしてディカプリオを追い回したり後からもネチネチとつけまわして、そのしつこさは、まるで「ターミネーター」のようであった。
史実に基づいた重みをもっているからこそ、この映画が圧倒的な迫力を持っているのだろう。「インディペンデンス・デイ」などのフィクションが、あまりにも軽く感じられる。どうせ多額のお金をつかうならば、このような歴史を緻密に再現したドラマをもっと作って欲しいように思う。
アメリカの西部開拓時代、熊に襲われながらも、奇跡的に生還をはたしたヒュー・グラスを描いた映画「レヴェナント」。
重傷を負い置き去りにされたグラスは、付き添わずに逃げた人物に復讐を誓う。
厳寒の地における美しい映像と苛烈な展開で見るものを惹きつける。レオナルド・ディカプリオの迫真の演技に圧倒されるサヴァイヴァル映画。
FBI長官、エドガー・フーヴァーの生涯に基づいた映画。クリント・イーストウッド監督による、2011年の作品。レオナルド・ディカプリオの演技が見事。
アメリカの現代史をなぞりながら、フーヴァーのキャラクターとFBIの組織が構築される過程を多面的に描いている。
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