小川未明童話選集 2

小川未明の童話を加藤登紀子が朗読したCD。「金の輪」「野薔薇」「はてしなき世界」「月夜と眼鏡」「小さい針の音」の5編を収録。
 どの話も、素朴に、素直に、人として大事なことを静かに語りかけてくる。

児童文学朗読CD集 小川未明童話選集(2)
加藤登紀子(朗読)
B000BGIEF6

幕が上がる

「答えはすべて稽古場にある」

 高校演劇部の生徒たちを描く平田オリザの小説「幕が上がる」を原作とする映画。ももいろクローバーZのメンバーが主だった役を演じる。
 演劇にかける女子高生の姿にどんどん引き込まれる。役を演じる彼女たちの前向きさが、ひしひしと伝わってくる。原作者の平田オリザも演技指導に関わっており、実際に彼女たちが成長するドキュメンタリーの趣きもある。
 高校時代は、迷いも悩みも、すべて将来の糧となっていく。そのことを衒わずに表現する脚本が素晴らしい。高校の豊かさと実りがリアルで知的に映像化されている。
 高校生のひたむきさが爽やかな感動を与えてくれる真っ直ぐな青春映画。

幕が上がる [ ももいろクローバーZ ]

幕が上がる (講談社文庫) [ 平田 オリザ ]

かがみの孤城

 学校に行けなくなった中学生こころは、自室にこもる毎日が続いていた。ある日、鏡が光り中に引き込まれると、そこには似た境遇をもつ七人の中学生たちがいた。
 辻村深月の「かがみの孤城」は、学校にうまく向き合えない子どもたちの心情を丁寧に描いた小説。ファンタジーの体裁をとっているが、その設定が惹き付ける力をもち、最後まで一気に読ませる。様々なことがらが最後に収束していく様は圧巻で、良質のミステリーに接した読後感があった。

かがみの孤城[ 辻村 深月 ]

宇宙戦艦ヤマト2199 17

 宇宙戦艦ヤマト2199 第17話は、「記憶の森から」。亜空間ゲートを再起動させるために、古代たちはシステム衛星に乗り込む。
 ガミラス側の暗部と次のステップに進むヤマトを同時に描く。「罪と罰」「中原中也詩集」と、文学的な彩りを散りばめながら綴られる。

宇宙戦艦ヤマト2199 5 [Blu-ray]
宇宙戦艦ヤマト2199 5 [Blu-ray]

小川未明童話選集 1

 小川未明の童話を加藤登紀子が朗読したCD。「赤い船」「月とあざらし」「殿様の茶碗」「赤い蠟燭と人魚」の4編を収録。
 深い抒情をたたえた清冽な物語は、いつまでも余韻を残す。ことに「赤い蠟燭と人魚」は文明論の趣きがあり、生涯忘れ得ぬ感慨がある。

児童文学朗読CD集 小川未明童話選集(1)
加藤登紀子(朗読)
B000BGIEEW

握り寿司の名人

 北大路魯山人の「握り寿司の名人」の朗読CDを聴く。芸術家である美食の達人が寿司について蘊蓄を語る。寿司のネタやシャリ、はたまたノリにまで言及し、店の善し悪しを好き放題に話す。
 聴いているうちに無性に寿司が食べたくなる。

朗読CD 朗読街道(115)握り寿司の名人・フランス料理について・料理と食器・だしの取り方 北大路魯山人
不破絵里奈
B00A655NJM

バララッシュ 1

 福島聡氏に、取材協力のお礼として「バララッシュ」の第1巻を寄贈いただく。見てまわられた場所が、見事に漫画の背景として表現され、その画力にあらためて感嘆する。
 1987年、アニメをこよなく愛する高校生山口は、抜群の絵の才能をもつ宇部と出会う。「風の谷のナウシカ」「機動戦士ガンダム」「王立宇宙軍オネアミスの翼」「うる星やつら2」など、映画・テレビアニメを共に鑑賞し、やがて二人はアニメ制作のプロの道を歩み始める。
 アニメの傑作が次々と誕生した1980年代を舞台に、夢に向かって進む男たちを描く王道の青春漫画。

バララッシュ 1巻 (ハルタコミックス) [ 福島 聡 ]

お伽草紙

 太宰治の「お伽草紙」は、「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」の4編によって構成された短編小説。戦時下、防空壕などで書き綴られた作品で、独特のアイロニーとユーモアに彩られている。

お伽草紙 (新潮文庫)
太宰 治
4101006075

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 著者は、2011年より人工知能が大学入試問題に挑戦するプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」を立ち上げる。通称「東ロボ」君は、膨大なデータと自然言語処理のプロセスを駆使して、偏差値を上げていく。しかし、そこには「読解力」と「常識」の壁がたちはだかった。
 人工知能の可能性と限界を、入試問題を解かせる過程で明らかにしていく。その経緯もたいへん興味深いが、プロジェクトが導いた現代の教育への提言は切実である。
 AIと共存しなければならない今後の社会における教育に多くの示唆を与える、明快で刺激的な書。

【2019年ビジネス書大賞 大賞】AI vs. 教科書が読めない子どもたち

七つの会議

 会社で働く人々の人間模様を描いた池井戸潤の小説「七つの会議」。各章ではそれぞれの部署で開かれる会議を中心に据えまとまりをもったエピソードになっている。それらが章が進むにつれて束ねられ、会社組織に関わる大きな流れに発展していく。
 銀行を舞台とした連作短編「シャイロックの子供たち」と似た構成であるが、本作は物語としてより練度が増している感がある。
 様々な角度で企業と社員をフレーミングし、そのありようをスリリングに綴る迫真の小説。

七つの会議 (集英社文庫)

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