ゲームの王国 上
小川哲の小説「ゲームの王国」上巻では、ポル・ポト政権下の文字通り死と隣り合わせの過酷な社会を生きる人々が描かれる。幾多の人物が綾なす鮮烈なストーリー展開にはこの上なく引き込まれる。
峻烈な才気がほとばしり、作品世界に没入させてくれる小説。
ゲームの王国 上
小川 哲
小川哲の小説「ゲームの王国」上巻では、ポル・ポト政権下の文字通り死と隣り合わせの過酷な社会を生きる人々が描かれる。幾多の人物が綾なす鮮烈なストーリー展開にはこの上なく引き込まれる。
峻烈な才気がほとばしり、作品世界に没入させてくれる小説。
ゲームの王国 上
小川 哲
佃製作所は、トランスミッション開発に関わることになるが、特許侵害の壁が立ちふさがる。
クロスライセンス契約、リバースエンジニアリングなど経済や技術の動向に触れつつ、多彩な人間関係を描いていく多層的な構造をもち、その濃密さからは知的な刺激が得られる。
困難に立ち向かう佃製作所。その大本には物作りの矜持と信念があり、それが明日への勇気を与えてくれる。
「永遠の0」「海賊とよばれた男」などのベストセラー作家、百田尚樹による「鋼のメンタル」。「打たれ強さの鍛え方」「挫折との付き合い方」「心の立て直し方」などについて語る。
自らの経験に基づき、ざっくりと割り切った物言いをしている。なかば思いつきのような雑談集であるが、それゆえ気楽に読める。寝る前にちょっと読むのにちょうど良い。
開き直りのメンタルも大事と気付かせてくれるお手軽エッセイ。
鋼のメンタル (新潮新書)
百田 尚樹
池井戸潤の小説「下町ロケット」を原作とするドラマ。2015年に放送されたドラマの続編。阿部寛演じる佃航平を社長とする佃製作所は、主力のロケット製造部品から、農機具のトランスミッション開発へと目を向けていく。
個性的な面々がこれでもかと登場し、ドラマを盛りあげている。特に、佃が関わることになるギアゴーストの技術責任者をイモトアヤコが演じ、味わいを出している。
濃密なストーリーとユニークな俳優陣により、今後の展開に期待を抱かせてくれる。
食をモチーフにした原宏一の小説「握る男」。両国の鮨店で抜群の「握り」の才をもつ少年は、やがて外食チェーンの経営に乗り出す。
一介の鮨職人から手段を選ばず登りつめていく様は鮮烈で、ぐいぐいと引き込まれていく。
食品業界を舞台に飛躍を遂げていく男と翻弄される周囲の人々を描き、余韻を残す筆者渾身の作品。
握る男 (角川文庫)
原 宏一
幻冬舎を立ち上げた名編集長、見城徹の読書論。 自らの生い立ちに影響を受けた本をからませて綴っている。
角川春樹との邂逅と、その後の猛烈な仕事ぶりの記述が印象に残る。 石原慎太郎に本を書いてもらおうと、その著書「太陽の季節」と「処刑の部屋」を一字一句暗記し、本人の前で暗唱し、仕事との関係が始まったなど、小説家とのエピソードはたいへん興味深い。
編集者としての猛烈な生き様と、本に対するリスペクトが交錯する熱き書。
読書という荒野
見城 徹
高畑勲監督による長編アニメ「かぐや姫の物語」。かぐや姫の心情に焦点をあてて描かれる「竹取物語」。
あわあわとした絵柄で、和の情緒が広がる。日本の美を繊細に表現した、高畑アニメの到達点。
白坂道子が朗読する「竹取物語」のCD。古文の雅な音律で聞くと、この物語の魅力が一層浮き上がる。
ことに、5人の公達がかぐや姫に求婚し、それぞれ宝を手に入れようとするくだりは、各人の性格が浮き彫りになり、なおかつ落ちもありたいへん興味深い。
繊細な心理描写、変化に富んだ冒険譚、SF的スペクタクルと実に多様な要素を含む物語であり、当時これほどのエンターテイメントが生み出されたことに驚きを禁じ得ない。
長岡輝子が東北弁で朗読する宮沢賢治作品のCD。「永訣の朝」「注文の多い料理店」「どんぐりと山猫」「雨ニモマケズ」を収録。
「永訣の朝」は、素朴な語りであるだけに、かえって胸にしみる。「注文の多い料理店」はおかしみの中からぞぞっとする怖さが立ち上る。「どんぐりと山猫」は自然描写や登場人物の心理が絶妙の息遣いで伝わってくる。
宮沢賢治作品の魅力が凝縮された1枚。
19世紀イギリスの田舎町に、2人の若者が工場を建て運営にあたる。その形態は、やがて地域に大きな波紋を巻き起こしていく。
相対剰余価値、絶対剰余価値、労働者の疎外、搾取など、マルクスの「資本論」の内容を漫画によるストーリーで伝えていく。短時間で読めるが、エッセンスがつまっており、充実した時を与えてくれる。
漫画というメディアの力をあらためて感じさせてくれる本。
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