流
東山彰良の小説「流」は、台湾を舞台に、主人公が家族や周囲の人々との交流、対立を繰り返す中で自らのルーツを追い求める物語。
1975年、台湾総統蒋介石の逝去の年、17歳の主人公は祖父の死に向き合うことになる。混沌とした台湾の社会情勢と歴史の中で、様々な事件を体験しながら主人公は熱い青春を駆け抜ける。
ミステリーの要素も含みつつ、勢いと情感のある展開で読み手を惹き付ける。2015年直木賞受賞作品。
流
東山 彰良
東山彰良の小説「流」は、台湾を舞台に、主人公が家族や周囲の人々との交流、対立を繰り返す中で自らのルーツを追い求める物語。
1975年、台湾総統蒋介石の逝去の年、17歳の主人公は祖父の死に向き合うことになる。混沌とした台湾の社会情勢と歴史の中で、様々な事件を体験しながら主人公は熱い青春を駆け抜ける。
ミステリーの要素も含みつつ、勢いと情感のある展開で読み手を惹き付ける。2015年直木賞受賞作品。
流
東山 彰良
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第4回は、「女子にこそあれ次郎法師」。本領安堵のため出家することになった井伊家領主の娘、おとわを描く。
子役が4回も活躍する大河ドラマも珍しい。新井美羽さんが剃髪を実際に行って頑張った。一休さんが始まるかのような雰囲気。
ほのぼの路線であまり考えずに見られるが、大河なので、そろそろダイナミックな歴史のうねりも感じたいところ。
宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」は、飛行機の設計に情熱を傾ける堀越二郎と、薄幸な少女との出会いを描いた作品。
飛行機の設計に関わる部分の緻密な描写が凄い。関東大震災の群衆シーンは、宮崎駿監督がこだわりを見せるモブシーンの集大成的な出来映え。
飛翔するものへのあこがれを前景とし、ナイーブな恋愛を織り込んだ作品。そよぐ風が実感され、心の深奥にそのざわめきが残る映画。
恩田陸の小説「ドミノ」は、東京駅を舞台とした群像劇。
幾多の人物の過去をさりげなく描写しながら、巧みに物語が織りなされ、ラストに向かって突き進む。
スピーディーな展開で一気に読ませるブリコラージュ・ノベル。
ドミノ (角川文庫)
恩田 陸
恩田陸の小説、「私の家では何も起こらない」。古い屋敷を舞台とした短編集で、どの話もさりげなく優しい文章でさりげなくコワイことが語られる。
背筋をざわっとなぜられる感覚をどうぞ。
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第3回は、「おとわ危機一髪」。今回も子役が活躍。今川義元のお膝元、駿府城下の街並みに力が入っていた。今川家の軍師・雪斎や、今川義元の母で影響力のあった寿桂尼も登場し、話が動き出す。
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第2回は、「崖っぷちの姫」。今回も子役が頑張る。井伊家の狭い土地での人間関係が丁寧に描かれる。朝ドラを45分間見た印象。
2017年のNHK大河ドラマは、「おんな城主 直虎」。遠江の一部を治める井伊家の人々を中心に描かれる。
第1回は、領主の娘おとわと2人と幼なじみの様子を映しながら、今川義元の強い支配下にある井伊谷の人々が描かれる。
美しい映像の中、個性的な俳優陣の顔ぶれに恵まれ、子役が生き生きと演じている。単なるファミリー・ヒストリーに終わらず、歴史のダイナミズムを感じさせてくれる作品にしてほしいと切に願う。
対話型ロボット、自動運転、医療診断など、人工知能のトピックスが随分とニュース等を賑わせている。囲碁や将棋で人間に勝つなど、フレームの決まった問題に対して、人工知能は人間の能力を超える力を発揮している。
ネット上の情報を収集・分析するビッグ・データ解析の性能も恐るべき勢いで向上している。人工知能は今後、産業・社会に大きな影響を与えていくことは間違いない。発展する人工知能はどこに向かおうとしているのか。人類に脅威を与える存在になりうるのだろうか。
本書は、人工知能研究の歴史と今を語り、今後の方向と可能性を記している。人工知能研究者によって著された本であり、特徴表現学習、ディープラーニングについては詳細に書かれている。
人工知能研究の「知の格闘」の軌跡が興味深い。冬の時代を生き抜いた研究者の不屈の精神も感じられる。また、人工知能の方向についても冷静に分析され、見通しを持つことができる。丁寧な記述からは、人工知能について分かりやすく伝えたいという思いがひしひしと感じられる。
人工知能の過去・現在とこれからの展望を示した良書。
幕末、隠岐の島に15歳の少年が流刑囚として送られてきた。大塩平八郎の乱における首謀者の一人、西村履三郎の息子であり、父親の咎を受けての島流しあった。
少年は村人たちに温かく迎えられ、成長していく。しかし、隠岐の島も幕末の動乱とは無関係ではなかった…。
主人公と島の人々との交流を軸にしながら、幕末の日本を重層的に描く飯嶋和一の歴史小説「狗賓童子の島」。
押し寄せる波のように、静かな島は幕府の圧政や迫り来る病、海外からの干渉にさらされる。著者は弱者の立場に視線をおき、島民の様子をつまびらかに描写する。淡々とした筆致であるが、主人公の体験に身をおき独特の感慨が味わえた。
格別の読書体験ができる重厚な歴史小説。
狗賓童子の島 (小学館文庫)
飯嶋 和一
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