風立ちぬ [新潮CD]
堀辰雄の小説「風立ちぬ」を、加藤健一が朗読したCDを聴く。やや早口であるが、幾分切迫した主人公の心情が伝わってくる。女性の台詞も自然と聞こえるのは、さすが演劇人。
自然描写の美しさ、詩情溢れる名編の透明感にひたることができる。
風立ちぬ [新潮CD]
堀 辰雄
堀辰雄の小説「風立ちぬ」を、加藤健一が朗読したCDを聴く。やや早口であるが、幾分切迫した主人公の心情が伝わってくる。女性の台詞も自然と聞こえるのは、さすが演劇人。
自然描写の美しさ、詩情溢れる名編の透明感にひたることができる。
風立ちぬ [新潮CD]
堀 辰雄
堀辰雄の小説「風立ちぬ」「美しい村」。 「美しい村」は、軽井沢の情景描写を通して若き小説家の心情を音楽的構成で綴る。
「風立ちぬ」は、信州の繊細に息づく自然を背景とした、生と死が織りなす清冽な物語。
風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)
堀 辰雄
「ああ、我々は、自分をこの音楽家に託してよいのだ。」
久しぶりに、読み進むのがもったいない、読み終わりたくないと思える小説に出会えた。ピアノコンクールを舞台に、人間模様と音楽を描いた恩田陸の小説「蜜蜂と遠雷」である。
養蜂家の少年、元プロであった少女、アメリカで実力を磨いた多国籍の系譜をもつ青年、音楽家への夢が捨てられない会社員など、参加者が織りなす演奏を軸に、それらを取り巻く人々や審査員など様々な視点でコンクールの進行を紡いでゆく。
ピアノ演奏の魅力をここまで具体的に表現した作品があっただろうか。登場人物それぞれが、曲から受ける心象を記していく。それにより、ピアノが奏でる音楽が表現するものを豊かに描き出していく。
音楽への深い愛情が、繊細な言葉によって伝わってくる。同時に、人々の生き様が、音楽によって見事に浮き彫りにされていくのだ。登場人物に共感し、何度涙を溢れさせたことだろうか。
音楽の素晴らしさを人々のハーモニーで奏で、いつまでもその調べに浸っていたいと感じさせる素敵な小説。
恩田陸の小説「チョコレートコスモス」は、演劇に関わる人々を描いた作品。
強烈に面白い。演じる人々の心理描写が実に見事。ときおり鳥肌が立つほど、煌めく場面がある。
500ページ以上ある本であるが、本を読んでいることすら忘れてしまうほど、魅力にあふれている。
舞台の上の小宇宙を圧巻の筆力で活写する傑作ロマン。
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第8回は、「赤ちゃんはまだか」。井伊家の跡継ぎ直親の妻しのは、懐妊の兆しがなく気に病んでいた。直親の幼なじみである次郎法師は子が授かるよう妙薬を手に入れようとするが、直親が次郎に頻繁に会うため、しのに逆恨みをされてしまう。
一見、女性のどろどろした争いになる昼ドラ的な内容かと思ったが、その実、跡継ぎ問題を通して戦国時代をリアルに描こうとした回であった。
次回は、歴史の荒波を小国が直にかぶることを予見させるタイトルである。期待したい。
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第7回は、「検地がやってきた」。今川家の検地に対応する井伊家の人々を描く。
「検地」という地味なテーマで、これだけの心理劇を作る手腕はなかなかのもの。検分役の岩松を木村祐一が演じ、良い味を出していた。
手塚治虫の「来るべき世界」をアニメ化した「フウムーン」。日本テレビの24時間テレビ 「愛は地球を救う」のスペシャルアニメとして、1980年に放送された。
東西冷戦のさなか、人類滅亡の危機が迫る中での群像劇。古典的なSFの香りをもった作品。
フウムーン [DVD]
手塚治虫
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第6回は、「初恋の別れ道」。出家した井伊家領主の娘、次郎法師は、幼き頃の許嫁、井伊直親に還俗をして妻になることを願い出るが…
小国ゆえの悲哀が登場人物の立場と感情によりで自然な形で表現されており、まったりとした中に安心して見ていられる脚本の落ち着きがある。
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第5回は、「亀之丞帰る」。出家した井伊家領主の娘の前に、幼き頃の許嫁、亀之丞が現れる。
「真田丸」は、台詞一言一言に含蓄があり聞き漏らせなかったが、今回はまったりとしており、気楽に見ていられる。柴咲コウが、子役であった新井美羽の身振りや台詞回しをなぞる演技をし、統一感を出そうと頑張っていた。
コミカルな演技をはさみつつも、小国の悲哀を自然と感じさせる独特の路線。今後の展開に期待。
石原慎太郎の「天才」は、田中角栄を一人称で描いた著作。
日本全体を高速道路の整備、新幹線の配備で結び、情報通信ネットワークをはりめぐらせて地方を活性化させる「日本列島改造論」。その提唱者であり総理として強力に社会基盤整備を推し進めた政治家の生涯を、本人の独白という形で巧みに描写している。
文章での一人称の効果は抜群で、明瞭簡潔でリズムをもちつつ、さながら前進する蒸気機関車のような力強さを持っている。
日中国交正常化で中国要人と会見した際の含みと深みのある邂逅、多様な政治家との力関係、ロッキード疑惑など、興味深い内容が次々と語られていく。
金、女性、家族と自らの関わりがそれらの事象を綾なすかのように綴られ、人間「田中角栄」を陰影豊かに浮き上がらせていく。
天才
石原 慎太郎
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