亜玖夢博士の経済入門

 長編を得意とする作家が、肩の力を抜いて短編アンソロジーを書くと、意外に面白い作品ができる。例えば、東野圭吾の「名探偵の掟」がその好例である。
 「マネーロンダリング」の橘玲による連作短編「亜玖夢博士の経済入門」も、たいへん面白い。新宿歌舞伎町裏にある亜玖夢博士の研究所に、多重債務者、ヤクの売人、マルチ商法、いじめの被害者など、様々な人物が相談に訪れる。該博な知識を元に、博士は解決法を提示する。それを忠実に実行すると…。
 「行動経済学」「囚人のジレンマ」「ネットワーク社会学」など、経済学の知見を分かりやすく紹介しながら、独特のユーモアを含んだ奇抜なストーリーに仕上げた、ブラック・コメディの快作。

亜玖夢博士の経済入門 (文春文庫)
橘 玲

幸福になる「脳の使い方」

 茂木健一郎の幸福になる「脳の使い方」は、ストレスから解放され、幸福に生きる方法を記述した本。
 筆者自身の体験として、潔癖性、人見知り、注意欠陥多動性障害などの性格からトラブルを抱えてきたことが語られる。
 脳科学を背景にしながら、具体的に幸福へのアプローチを示唆した書。

幸福になる「脳の使い方」 (PHP新書)
茂木 健一郎
4569809456

ホーキング

 車椅子の物理学者、ホーキング博士の若き日を描いたテレビ映画「ホーキング」。ベネディクト・カンバーバッチが、筋肉が弱まっていく病を宣告されたホーキングの姿を見事に演じる。
 物理学者ロジャー・ペンローズとの出会い、伴侶となるジェーンとの交流などをからめ、ホーキングの苦悩と研究への情熱を描く、学問への敬意を感じる作品。

ベネディクト・カンバーバッチ ホーキング [DVD]

オッド・ジョン

 高度な知能を持った子どもとその運命を描く、オラフ・ステープルドンのSF「オッド・ジョン」。1967年の小説であるが、ミュータントを扱ったそのテーマは、現在も様々な作品で繰り返しモチーフとされている。
 人類の未来に対する深い洞察に基づく古典的名作。

オッド・ジョン (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)

人間の建設

 評論家、小林秀雄と数学者、岡潔の対談「人間の建設」。芸術や文学、数学と幅広い分野に話は及ぶ。知性と知性の出会いが、雑談に普遍的な精神のダイナミズムを与える。
 「素読教育の必要性」の中で、丸暗記の重要性、「すがた」に親しませることが必要と語っているが、この部分は現在の教育にとって重要な提言と感じられた。
 知的なことにふれる醍醐味を与えてくれる希有の対談。

人間の建設 (新潮文庫)
小林 秀雄 岡 潔

スーパージェッター

 科学的な発想がいろいろと盛り込まれていた1965年のアニメ「スーパージェッター」。腕の送信機で「流星号、流星号、応答せよ」と話すシーンは、当時は完全なSFであったが、通信端末の発達や自動運転技術の開発により徐々に現実になりつつある。
 未来の明るさをイメージさせる音楽は今聴いてもわくわくする。今聴くからだろうか。

スーパージェッター Vol.1 [DVD]
久松文雄
B0002I85HK

玄侑宗久「般若の知」

 臨済宗の僧侶、玄侑宗久が2007年慶應丸の内キャンパス定例講演会で語った記録。最初は、科学的な話かと思たっが、哲学の深みに徐々に導びかれていった。
 明晰な口調で論理的に語られる話は、中国哲学をベースにして極めて説得力がある。たいへん面白いと思ったのだが、客席からは笑い声も出ずひたすら深閑とした中に、講師の淡々とした声が響く。聴衆はみな涅槃の境地に入ってしまったのだろうか。
 不思議な魅力をもった講演で、繰り返し2回も聴いてしまった。

般若の知

宇宙兄弟

 2012年4月から放送されているアニメ「宇宙兄弟」が、2014年3月で終了した。毎回楽しみに見ていただけに、残念。ストーリーが素晴らしく、特に感情の機微が絶妙に表現され、毎回感心させられた。
 作画のクオリティも極めて高く、特に背景が美しい。丁寧な作りのアニメーションで、見る時間はいつも充実していた。宇宙への夢を追い続け、熱い思いを持ち続ける人々の姿には勇気づけられた。エピソードひとつひとつに温かみと前向きさがあり、安心して子どもたちと見ることができた。
 素晴らしい作品を生み出したスタッフに感謝したい。

宇宙兄弟 1 [DVD]
B0080JKCSI



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サンダーバード 1

 時折サンダーバードが無性に見たくなる。メカデザインの美しさ、音楽の勇壮さが素晴らしい。
 特に、第1話は力が入っており、ファイヤーフラッシュ号の勇姿と飛翔する前の曲の高揚感が並外れて見事である。また、着陸時は希有の緊迫感があり、特撮史上に残る場面となっている。

サンダーバード 1 [DVD]
B000244QEU



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下町ロケット

 下町の中小企業が困難に立ち向かう姿を描く池井戸潤の小説「下町ロケット」。エンジン部品を作る町工場に、大手企業からの取引停止、資金繰りの悪化、特許侵害の訴訟など、次々と危機が訪れる。
 「半沢直樹」シリーズの作者が、圧巻のリアリティと巧みなストーリーテリングで一気呵成に読ませる。高い技術力を武器に、自らの夢と矜持をかけて問題に向き合う人々の姿に励まされ、読後感もたいへんによい。直木賞受賞作品。

下町ロケット (小学館文庫)
池井戸 潤
4094088962

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