アニメ「Dr.STONE」第3話は「科学の武器」。人であった石像を壊す獅子王と袂を分かち、千空たちは西を目指す。
鎌倉の大仏の青銅、箱根の硫黄など、ロールプレイング的な趣をもたせながら科学の要素を盛り込む秀逸な設定。
スピーディーな展開で片時も目が離せない回。
「このストーン・ワールドじゃ食物連鎖の頂点は、もう人間サマじゃねえってことだ。」
「炭酸カルシウムほどそそるもんはねえ。4つも死ぬほど重要な使い道がある。」
アニメ「Dr.STONE」第2話は「KING OF THE STONE WORLD」。大地と千空を、闊歩していた猛獣が襲う。霊長類最強の高校生の石化を解いて難を逃れようとするが…。
第2話にして、科学と武力の問題が現れる。この物語の奥深さが伝わってくる回。
「人類が石の時代から近代文明まで200万年。そこを一気に駆け上がる。」
「偶然には必ず合理的な理由がある。」
「だから仮説と実験繰り返してんだろうが。地道なもんだ科学は。」
「科学では分からないこともある、じゃねえ。分からねえことにルールを探す。そのクッソ地道な努力を科学って呼んでるだけだ。」
全人類が石化した後の世界を描くアニメ「Dr.STONE」。稲垣理一郎原作、Boichi作画によるコミックを基にしている。
第1話は「STONE WORLD」。突然人類が石化してから3700万年後、目覚めた高校生、大樹は原始の大地をさまよい、親友の千空に出会う。千空は科学の知識により石化を解く実験を繰り返していた。
科学を駆使して一から生活基盤を作り上げていく様は圧巻。科学に対する姿勢を述べる千空の台詞が端的で本質を突いている。地道な営みが科学の歴史を作り上げ、生活を豊かにしていったことを改めて実感させてくれる。
科学の素晴らしさを巧みなストーリーで見事に表現した、SFアニメの大傑作。
豊富な具体例で学べるJavaScript入門書。「Web上でこんなことをしてみたい」という部分から入る動機付けがよい。
オールカラーで図も多く、見やすく分かりやすいレイアウトも好感が持てる。
自ら試行錯誤をして身につけるための最初のステップを与えてくれる良書。
コンピュータ、量子力学、ゲーム理論、天気予報など、現代社会を支える理論を数多く構築した天才フォン・ノイマン。本書は、その生涯と関わった人々を描きながら、ノイマンの思想の根底に迫っている。
ノイマンの圧巻の才能に驚かされるが、関わった数学者や物理学者の略歴も紹介され、実に興味深い。ノイマンは多くの分野に関わったため、現代数学や科学を概観する内容にもなっている。
特に、第二次世界大戦と科学者たちとの関わりは、原子爆弾開発の史実とあいまって重みをもって読み手にせまってくる。
1900年代にいかに科学が多様な広がりをもち、実社会への応用がなされた時代であるかを如実に伝えるとともに、私生活が絶妙のタイミングで記載され独特のユーモアをも放ち読み手を飽きさせない。
真の天才の生涯を通し、現代科学の礎を俯瞰する密度の濃い良書。
「蕎麦ときしめん」など、ユーモア溢れる小説を手がける清水義範が、子どもたちの作文を豊かなものにするためのヒントを記した作品。自ら行った小学生への作文教室での作品を示しながら、親がどのように声かけをしたら子どもたちが楽しく書くようになるか、表現が豊かになるのかを語っている。
素直に気持ちの動きが感じられる作文は、読んでいて気持ちがいい。そんな自然な作文や、読む人へのちょっとした配慮など、書き手のその後に繋がるような文章にする工夫が暖かく述べられ、読後感も良い。
また、運動会での心の動きがほとんど書けない子が、「タイタニック」など船の事故についての作文をし、調査報告などに優れた力を見いだした点にはたいへん興味をひかれた。文学的な作文のみでなく、論述的な作文に才能を発揮する子もいるなど、作文においても個性を見いだすことが教育の役割であることを感じさせられる。
すらすらと楽しく読める本であるが、中身はしっかりとしている。子どもを寛やかに見てゆっくりと伸ばしていく姿勢には教えられるところがある。
中国戦国時代、民から慕われた宰相として名高い孟嘗君を描く宮城谷昌光の小説は、文庫本5巻で完結する。
この長大な小説で、孟嘗君が宰相として活躍する部分は意外に短い。しかし、その前の分量の多さが、この小説の真価でもある。名宰相が生まれるまでの、人々との出会い、様々な人物の生き様が、変化に富んだストーリーの中で見事に編み上げられているからである。
特に、孟嘗君の育ての親、白圭の行動は、「義人」という現代では忘れ去られた感のある生き方を示している。それも、爽やかな風にふれるような心持ちで読ませてくれる。
国同士が互いに知力と武力を駆使してせめぎ合う戦乱の世に、凛とした生き方を貫いた孟嘗君の生涯は、一つの理想像と言える。
国を統べる人格を、波瀾に満ちた物語の中に練達の筆で活写した歴史ロマン。
孟嘗君(5) (講談社文庫)
宮城谷 昌光
「悩み」を克服する方法を具体的に述べたロング・セラー。たいへん分かりやすく書かれているが、背景には豊富な経験と人脈があり、哲学や科学の知見に裏打ちされている。
その説得力のある文章にふれるだけでも価値があるだろう。悩みを抱く人だけでなく、より良く生きることを見据えたい人にもすすめられる名著。
2021年、学校教育においてプログラミングの学習をどう進めるか、問われる年になるだろう。
文部科学省のGIGAスクール構想の一環として、一人一台のノートパソコンやタブレット端末が配備された。これをどう生かすか、その活用の方向を見定めていく年にもなる。
手元にパソコンがあるため、プログラミングを学ぶことで児童・生徒自身も活用の幅が広がってくるはずである。プログラミング教育の意味合いはより大きくなっていくであろう。
現在、デスクトップパソコンで初学者はスクラッチなど「ヴィジュアル系」の言語で学ぶケースが増えている。しかし、本来は「言語」であるため、テキストベースのプログラミングをどこかで学ぶ必要があるだろう。どの言語で何を学ぶか、選択肢はあまりに多い。
Python は、多くの言語の中でも書法がシンプルで、科学技術計算との親和性もよく、学習に適した言語のひとつと思われる。人工知能の開発に使われることもあり、応用にもつながる言語である。
数学・理科との連携を見据えた点においても、たいへん優れた学習用プログラミング言語である。今後、教育における活用の幅が広がっていくと思われる。
Python に関する書籍は様々あるが、「わかるPython」は、初心者にとって学びやすい本のひとつである。まず、レイアウトが工夫されており、見やすい。シンプルな例題をもとに文法が丁寧に説明されている。
オブジェクト指向、ライブラリの活用までふれられ、実践の方向が見えてくる構成になっている。教育的配慮のよくなされた良書と感じた。
ソフトウェアやネットワークの重要性が増していく現在、日本が国際社会に伍していくためにも、理数教育の充実は急務である。プログラミング学習は、その鍵を握っている。
一人一台が実現するとき、いかに質の高い教育につなげていくか。本年はその可能性を追究し、教育の充実を図る正念場になるであろう。
最近のコメント