広田弘毅-東京裁判で死刑判決を受けたA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外務大臣。その生き様を、戦争に突入する世相の中で描く城山三郎の小説。
広田は軍部の台頭による戦争の拡大を阻止しようと外務大臣として努めたが、結果は、その首謀者たる軍人たちと共に絞首刑となった。
広田の実直な生き様には、自然と襟を正す思いであった。吉田茂、幣原喜重郎、松岡洋右など、他の外相の姿勢も興味深い。
何より巣鴨拘置所での広田の様子と東京裁判の進行が交互に描かれる終盤は、胸に迫るものがあった。史実を積み重ねる淡々とした筆致だが、それゆえにこそ、作者の思いがじっくりと伝わってくる。静かな感銘が、読後も長く続いている。
落日燃ゆ (新潮文庫)
城山 三郎
2005年の5月4日に、群馬県立自然史博物館の特別展「アフリカの風~小倉寛太郎サファリ3000日」を見に行く。小倉寛太郎氏は、山崎豊子の小説「沈まぬ太陽」のモデルになった人である。氏がアフリカでハンティングをした剥製や、アフリカの動物や自然を写した雄大な写真が多く展示されていた。
印象的だったのは、小倉氏の自宅に集う人々の写真で、中には渥美清や八千草薫なども写っていた。氏を通してアフリカの魅力にとりつかれた著名人は多いようだ。
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