蜘蛛巣城

 黒澤明監督による、1957年公開の映画「蜘蛛巣城」。霧の中から現れる城の存在感が凄い。シェークスピアの「マクベス」を下敷きにし、能の表現を取り入れた重厚な作品。
 三船敏郎が矢を射かけられるシーンの表情は本当の恐怖が現れており、鬼気迫る。

蜘蛛巣城[DVD]
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ペリーヌ物語

 「ペリーヌ物語」。この作品をまだ見ていない人は幸せである。最初から通して見られる楽しみがあるのだから。
 最初は、母子の旅するゆったりとした物語に、ひたすらつきあってほしい。徐々に愛着がわき、その後の運命にひしと心を寄せて見ることができるであろう。
 背景の美術も回を増すごとに洗練され、ドラマの展開に呼応して温かくもしずかな凄みを帯びてくる。
 渡辺岳夫の多彩な音楽はどれも素晴らしく、物語を高揚させる。
 家族で見られるアニメーションのひとつの到達点ともいえる、愛すべき名作。

ペリーヌ物語 ファミリーセレクションDVDボックス
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ペリーヌ物語 13

 ペリーヌ物語、第50話「初雪の降った日」、第51話「おじいさんの目」、第52話「忘れられないクリスマス」、第53話「春の訪れ」。
 クライマックスを経て、後日談のようなエピソードが4話もある。しかし、それは幸福につつまれた4話であり、心地良い。
 大学生の頃、朝の時間に放送されていた「ペリーヌ物語」を見て、毎回心洗われ、涙を流し、元気をもらって大学に向かった。まさしく、カタルシスを与えてくれる物語であった。
 数十年の時を経ても、この作品に対する愛着は変わらない。むしろ、こういったアニメーションが作られなくなった昨今、無性に見たくなる作品である。実直さの価値をストレートに伝え、安らぎを与えてくれる作品。

ペリーヌ物語(13) [DVD]
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ペリーヌ物語 12

 ペリーヌ物語、第46話「ビルフランの悲しみ」、第47話「オーレリィの顔」、第48話「火事」、第49話「幸せの涙が流れる時」。
 アニメーションで、これほど臆面もなく泣いたのはこの作品が初めてである。言葉にならない感動を与えてくれた。長い長い物語は、この場面のためにあったのかと思う。
 ここに収斂させる過程の見事さ、スタッフの熱意と技術のたまものである。このアニメーションが永く忘れ得ぬ作品になっているのは、すべてが浄化されるかのようなこのシーンを現出したことに尽きる。

ペリーヌ物語(12) [DVD]
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ペリーヌ物語 11

 ペリーヌ物語、第42話「ロザリーの悲しみ」、第43話「日曜日。ペリーヌは…」、第44話「いじわるな夫人」、第45話「ボスニアからの知らせ」、第46話「ビルフランの悲しみ」。  同じ屋敷に住みながら、自らが孫であることを告げられず苦悩するペリーヌ。終盤近くの繊細な心理描写はこのアニメーションの白眉であり、文学的香気が横溢する。

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ペリーヌ物語 10

 ペリーヌ物語、第38話「すてきなワンピース」、第39話「インドからきた手紙」、第40話「バロンの災難」、第41話「お城のような家」。
 ドラマチックな展開で、作品世界にぐんぐん引き込まれる。後半の物語の力強さには、ただただ感服する。

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ペリーヌ物語 9

 ペリーヌ物語、第34話「忘れられない一日」、第35話「英語の手紙」、第36話「よろこびと不安」、第37話「おじいさんの大きな手」。
 前半のゆったりとしたロード・ムービー風のペースから一転、マロクールの工場を舞台とした物語は、濃密な人間ドラマになっていく。このチェインジ・オブ・ペースが、通してみた者にとって、この物語を忘れ得ない作品として深く印象づける一因となっている。
 リクツ抜きでここからはぐっと物語に引き込まれる。

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ペリーヌ物語 8

 ペリーヌ物語、第30話「自分の力で」、第31話「お客様を迎えて」、第32話「名前の秘密」、第33話「テオドールの財布」。
 池のほとりの小屋で、必要なものを自分で作っていくペリーヌ。そのけなげさに涙する。

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ペリーヌ物語 7

 ペリーヌ物語、第26話「親切なルクリおばさん」、第27話「おじいさんの冷たい顔」、第28話「パンダボアヌ工場」、第29話「池のほとりの小屋」。
 ペリーヌは祖父の経営する紡績工場にたどり着き、物語もいよいよ後半となる。目の見えぬ祖父に自分が孫であることを伝えられず、ペリーヌは祖父の工場で働くことを決意する。
 池のほとりの小屋で自活をするペリーヌ。小屋周辺を描く美術の美しさに感動する。

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ペリーヌ物語 6

 ペリーヌ物語、第22話「忘れられない人々」、第23話「ひとりぽっちの旅」、第24話「美しい虹」、第25話「パリカール!私のパリカール!」。  ペリーヌは祖父のいるマロクールへとひとり旅立つが、過酷な運命が待ち構えていた。一文無しになりながら歩くが、ついに倒れてしまう。
 ペリーヌの最も悲惨な時期を描く回であり、アニメーションとはいえ無慈悲な人々に憤りを禁じ得ない。それだけ、旅を重ねてきた主人公に感情移入してしまう。スタッフが丁寧に創り続け、それをずっと見続けててきた作品だからこそ感じられる重みがある。

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