町田洋二展

 高崎市美術館町田洋二展に行く。世界各地をまわって描いた風景画は、その土地の空気が独特の色彩で感じられ、心和む印象を受けた。特に、「寒村」には惹かれるものがあり、長く見入った。

白馬幻想

 「緑響く」-鮮やかな緑の森に囲まれた湖のほとりを、一頭の白馬が歩む絵。この絵と初めて出会った感銘は、今でも色あせることはない。
 東山魁夷が64歳、1972年に描いた18枚の連作「白い馬の見える風景」。清澄な風景と白馬が詩情を奏で、深く心にしみ入る作品。

白馬幻想―心の風景より
東山 魁夷
4938249707

コンコルド広場の椅子

 美術館で初めて涙を流したのは、東山魁夷館で「コンコルド広場の椅子」の一連の絵を目にした時であった。なんて詩情あふれる絵なんだろうと。

コンコルド広場の椅子
東山 魁夷
4763006029

東山魁夷館

 長野市の善光寺から少し歩いたところに、長野県信濃美術館、東山魁夷館がある。
 東山魁夷 - その祈りにも似た風景画を直接目にしたとき、込み上げてくる感動があった。「静唱」をしばらく見入っていた覚えがある。気持ちが透明になってくるようであり、その絵の前にずっと佇んでいたいと思える絵であった。

長野県信濃美術館・東山魁夷館

フェルメールの眼

 17世紀オランダを代表するフェルメールの絵画。その36作品の魅力を、赤瀬川原平が語る画文集。読むと、本物のフェルメールの絵を無性に見たくなる。

赤瀬川原平の名画探検 フェルメールの眼
Johanes Vermeer
4062090120

ある街角の物語

 手塚治虫の生きている姿を、一度だけ直接目にしたことがある。自分が大学生の頃、池袋の文芸座で、手塚治虫のアニメーションがオールナイトで上映される際、挨拶された姿である。
 上映されたのは、「ある街角の物語」「展覧会の絵」「千夜一夜物語」「クレオパトラ」「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」の5作品である。
 手塚治虫は、それぞれの作品について、簡単なコメントをしていた。どれもあまり肯定的ではなく、失敗作だったというような話であった。

 このオールナイトを見る前、東京工業大学の長津田にあるキャンパスに、研究室の公開があるというので出かけた。森の中にそびえ立つ研究棟に圧倒された。興味のあったコンピュータ・グラフィックスを研究している展示を見た。研究そのものの中身は忘れてしまったが、展示されていたフランスのコンピュータ・グラフィックスが印象深く、いまでも覚えている。飢餓や欲望をモチーフにした作品で、口がどんどん増殖していくアニメーションであった。今思うと、コンピュータで描く必然性は全くない気がするのだが、そのグロテスクな表現は強烈であった。
 その後、手塚作品のオールナイトを見るわけだが、「ある街角の物語」には、ほっとさせられた。CGとは対極の、人肌のぬくもりを感じるアニメーションに、心底やすらぎを覚えたのだ。
 

手塚治虫 実験アニメーション作品 [DVD]

虫プロ・アニメラマDVD 千夜一夜物語/クレオパトラ/哀しみのベラドンナ

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