孟嘗君 4

 治乱興亡が激しい中国戦国時代、田文、後の孟嘗君は、諸国を巡りながら様々な人との出会い、体験を積み重ね資質を高めていく。そして、人の長所を認め、活かしていく凛質が随所に現れていく。動乱の世、人々の生き様が田文を軸にくっきりとした輪郭で浮かび上がる。

孟嘗君(4) (講談社文庫)
宮城谷 昌光

孟嘗君 3

 中国の戦国時代を舞台にした、宮城谷昌光の「孟嘗君」第3巻を読む。各国の動きが活発になり、登場人物が歴史のうねりの中でそれぞれの美質を発揮していく。知力のせめぎ合いが国を変えていく激動の巻。

孟嘗君(3) (講談社文庫)
宮城谷 昌光

孟嘗君 2

 宮城谷昌光の「孟嘗君」第2巻では、快男子、風洪が自らにふさわしい学問を求めて中国の大地を巡る。行く先々で出会う多くの人物が幾筋もの運命を紡ぎ始める。

孟嘗君(2) (講談社文庫)
宮城谷 昌光

孟嘗君 1

 中国の戦国時代を舞台に、数奇な運命をたどる孟嘗君をめぐる宮城谷昌光の小説。簡明な筆致で、スピード感のある物語が展開される。主人公の育ての親、風洪など、魅力的な人物が多数登場し、知略渦巻く戦乱の世を駆けめぐる。そこでは、人々の真の生き様が浮き彫りになる。
 一陣の爽風を浴びたような、清冽な気を感じた第1巻。 

孟嘗君(1) (講談社文庫)
宮城谷 昌光

晏子 4

 宮城谷昌光の歴史長編「晏子」では、晏弱の凛質が晏嬰に受け継がれる様が見事に描かれている。
 晏弱・晏嬰父子を光とすれば、全巻を通して登場し節目節目で重要な役割を果たす崔杼は、影として対比できる。国家を支え万人から喝采を受けるような晏弱・晏嬰父子の活躍の裏で、崔杼はまた違った形で国造りに情熱を注ぐ。この崔杼をはじめ、晏子を取り巻く多くの人々の巧みな人物描写により、奥行きがあり陰影に富んだ物語となっている。
 激動の時代を懸命に生きる人々の姿を通し、真の宰相の在り方を浮き上がらせた名作。

晏子(四) (新潮文庫)

晏子 3

 中国の春秋時代、斉は晋を中心とする連合軍に都まで攻め込まれた。その戦火の最中でも、晏嬰は、古礼に則った喪中を貫く。戦乱、政変が絶えない斉の国において、一途に人の道を示す晏嬰の凛乎とした姿勢は変わることがなかった。転変と普遍の対比が鮮やかな第3巻。

晏子(三) (新潮文庫)

晏子 2

 戦雲渦巻く中国の春秋時代を描く「晏子」第2巻では、智将、晏弱が目の覚めるような活躍をする。特に、兵五千で、敵将王湫の束ねる一万の精兵と激突する莱での攻防戦が実におもしろい。虚々実々の駆け引き、遠大な戦略が、第2巻の半分にわたって繰り広げられる。しかし、長さは感じず、次々とページをめくらずにはいられない。
 清新な文章と心地よいリズムのある展開で、爽風を受けるがごとく読む喜びを感じる。

晏子(二) (新潮文庫)

晏子 1

 紀元前6世紀、中国の春秋時代、斉の国を支えた晏弱・安嬰父子の生涯を描く宮城谷昌光の小説「晏子」。大小の国々が乱立し、兵馬が行き交い、中国の版図は刻々と変化していた。大国斉も、晋との関係が悪化し、激突がさけられない状況にあった。
 この不安定な政情下、晏弱の知謀と凛質がひときわ輝く。読み進むうちに、晏弱の言動に引き込まれていく。
 多士済々な人物の登場と起伏に富んだ物語により、否応なく春秋の世界にいざなわれる第1巻。

晏子(一) (新潮文庫)

天空の舟〈下〉

 古代中国、夏王朝の傑王と、商の湯王との激突を軸に、時代を懸命に生きる人々を描く宮城谷昌光の小説「天空の城」。下巻では、湯王は伊尹を三顧の礼をもって迎え、伊尹は臣として縦横の活躍をする。
 宮城谷昌光の小説の凄いところは、物語がいよいよ終わりに近づくに従い、主人公が著者に乗り移ったかのような清澄な境地に達していくところである。終章「桑林の雨」は、淡々とした筆運びでありながら、真に充足した読後感を与えてくれた。

小説 伊尹伝 天空の舟 下 (文春文庫)

天空の舟〈上〉

 「天空の舟」は、古代中国の王朝夏と、新興勢力商の攻防を描く宮城谷昌光の小説。主人公伊尹(いいん)は、夏と商の両王と関わりを持ち、数奇な転変を遂げ、王朝の興亡に影響を与える。
 文字すらない時代の歴史を掘り起こし、鮮明に活写される物語には感嘆する。巧みな伏線を持ち、人々の情感を豊かに描写する、まさしく一級の歴史小説。

小説 伊尹伝 天空の舟 上 (文春文庫)

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