国際諜報局
英国のスパイ・スリラー。マイケル・ケインが、黒縁眼鏡にネクタイを締めたブリティッシュなスパイを演じている。007シリーズのような超人的な活躍はなく、淡々と描かれるが、リアルな雰囲気で味わいがある。1965年の作品。
国際諜報局
マイケル・ケイン シドニー・J・フューリー
英国のスパイ・スリラー。マイケル・ケインが、黒縁眼鏡にネクタイを締めたブリティッシュなスパイを演じている。007シリーズのような超人的な活躍はなく、淡々と描かれるが、リアルな雰囲気で味わいがある。1965年の作品。
国際諜報局
マイケル・ケイン シドニー・J・フューリー
ラヴェルの2つのピアノ曲集「鏡」「夜のガスパール」が収録されている。野島稔の知的で精緻な演奏による研ぎ澄まされた芸術。
プレイズ・ラヴェル
野島稔
「クライマーズ・ハイ」の横山秀夫の短編集。警察を舞台にした名作「動機」、刑期を終えた犯罪者をめぐる「逆転の夏」、女性記者の悲哀を描く「ネタ元」、裁判官を主人公にした「密室の人」の4編を収める。
動機
横山 秀夫
古いしきたりに縛られた村に訪れた母と娘が、チョコレートの店を開いたことから繰り広げられる物語。脚本が素晴らしい。店に並べられるチョコレートが、実においしそう。ジュリエット・ビノシュ主演。チャーリーとチョコレート工場のジョニー・デップも出演している。
幸せを運ぶチョコの味はいかが。
ショコラ
ジュリエット・ビノシュ ジョニー・デップ ジュディ・デンチ
1989(平成元)年、NHKスペシャルで、「太郎の国の物語」が放映された。司馬遼太郎の語りで、幕末から明治にかけてを綴ったドキュメンタリーであった。司馬遼太郎の味わいのある語りと、日本の原風景を思わせる映像で、静謐の中にも心の深奥に迫る貴重な作品であった。
1996年2月12日、司馬遼太郎が死去した。享年72歳。忌日は、生前好きだった菜の花にちなみ、「菜の花忌」と呼ばれる。今年は、没後10年にあたる。
司馬遼太郎の膨大な作品群で、あえてひとつあげるとすれば、生きていれば最も会いたかったという高田屋嘉兵衛を描いた「菜の花の沖」が第一に思い浮かぶ。あまりに素晴しい作品なので、後でゆっくり語りたい。
菜の花の沖〈1〉
司馬 遼太郎
「マリン・エクスプレス」は、手塚治虫のアニメーションの中で、最も楽しめた作品。1979年の日本テレビ系24時間テレビ「愛は地球を救う」のスペシャルアニメ第2回として放映された。
アトム、ブラックジャック、ヒゲオヤジ、サファイヤ、ロック、シャラク、お茶の水博士、アセチレンランプ、ドン・ドラキュラなど、手塚作品のキャラクターが総出演する。テンポよく進むストーリー、アイディア満載の演出など、ノリにノッている。背景には水彩画を採用するなど、美術にも意欲的な面がみられる。
大野雄二の軽快な音楽も魅力的。このアニメのために、50曲も作ったという。
原作・演出・絵コンテのすべてを手塚治虫自らが手がけた。手塚アニメの総決算というべき最も充実したアニメーション。
海底超特急マリン・エクスプレス
手塚治虫 富田耕生 小山芙美
手塚治虫が原案、構成、総監督をつとめたアニメーション「火の鳥」。オリジナルの脚本で、ヒゲオヤジ、ブラックジャックなどのキャラクターも活躍する。しかし、内容はなかなか重い。
ロックが車を運転するシーンでの斬新なカメラワークなど、「ジャンピング」に通じる実験的な試みが多くなされているのも特徴。
文芸座オールナイトでの挨拶で、手塚治虫はこの作品について失敗だったとハッキリ言っていた。強い自負心の裏返しかもしれない。しかし、宇宙船で動物のキャラクターを出したのは、良かったのではないかと言っていた。確かに、軽いキャラクターがいないと底なしに重くなってしまう話ではある。だが、動物のキャラクターが活躍しすぎると、「ワンダー3」や「ブレーメン4」と同じ路線になってしまい、「火の鳥」の雰囲気が壊れてしまう。漫画があまりに偉大なため、アニメーションにするには原作者自身もかなり苦労したのではないか
「漫画は本妻、アニメーションは愛人」と手塚治虫は言っている。愛人とは、得てして御し難いという意味も含まれているのだろうか。
火の鳥2772 愛のコスモゾーン
手塚治虫 杉山卓 塩沢兼人
手塚治虫の生きている姿を、一度だけ直接目にしたことがある。自分が大学生の頃、池袋の文芸座で、手塚治虫のアニメーションがオールナイトで上映される際、挨拶された姿である。
上映されたのは、「ある街角の物語」「展覧会の絵」「千夜一夜物語」「クレオパトラ」「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」の5作品である。
手塚治虫は、それぞれの作品について、簡単なコメントをしていた。どれもあまり肯定的ではなく、失敗作だったというような話であった。
このオールナイトを見る前、東京工業大学の長津田にあるキャンパスに、研究室の公開があるというので出かけた。森の中にそびえ立つ研究棟に圧倒された。興味のあったコンピュータ・グラフィックスを研究している展示を見た。研究そのものの中身は忘れてしまったが、展示されていたフランスのコンピュータ・グラフィックスが印象深く、いまでも覚えている。飢餓や欲望をモチーフにした作品で、口がどんどん増殖していくアニメーションであった。今思うと、コンピュータで描く必然性は全くない気がするのだが、そのグロテスクな表現は強烈であった。
その後、手塚作品のオールナイトを見るわけだが、「ある街角の物語」には、ほっとさせられた。CGとは対極の、人肌のぬくもりを感じるアニメーションに、心底やすらぎを覚えたのだ。
20年ほど前、山懐に抱かれた町にある職場には有線放送が常時流れていた。電話機から放送される、文字通りの有線である。それは地域の貴重な情報源でもあった。突然鳴り響くツィゴイネルワイゼンの曲は、町の人が亡くなったことの知らせであった。
「美しい緑と澄んだ空気に包まれた○○町、その町を支えてこられた方のお一人、○○さんが亡くなられました…」
放送された次の日には、多くの場合、複数の生徒が忌引となった。
平成元年2月9日のことであった。夜中一人で職場で仕事をしていた時、有線放送でのニュースを聞き愕然とした。手塚治虫が亡くなったというのだ。町の人とはゆかりがないので、ツィゴイネルワイゼンは響かなかったが、自分の胸の内には、クラシック好きの手塚治虫を偲び、自然とツィゴイネルワイゼンが流れていた。
ツィゴイネルワイゼン~ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン
ハイフェッツ(ヤッシャ) RCA交響楽団 サラサーテ
最近のコメント