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長岡輝子 セロ弾きのゴーシュ

 息子に「セロ弾きのゴーシュ」を朗読させる。聞いていて楽しくなる。その後、長岡輝子の朗読を聴かせる。豊かで味わいのある表現に、自然と引き込まれる。

長岡輝子、宮沢賢治を読む〈3〉セロ弾きのゴーシュ
宮沢 賢治
4794203934

宮沢賢治

 『その一生はみじかくても、賢治のいのちは、自分の理想にむかって火のようにはげしくもえ、きえていきました。…』

 息子が、西本鶏介著の宮沢賢治の伝記を読み終わる。小学生でも読めるよう書いてあるが、内容は深い。最後の章である「理想にもえた人」には、賢治の文学と生き方が慈しみのこもった名文でまとめられている。息子の朗読を聞きながら、胸に熱いものがこみ上げてきた。ほんとうに良い本だ。
 息子と共に賢治の生涯を辿れ、満ち足りた気持ちである。

アルゲリッチ:リスト&ラヴェル ピアノ協奏曲集

 アルゲリッチの華麗かつ繊細なピアノが堪能できるCD。次の3曲が収められている。
リスト ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調
コンチェルト・パテティク(悲愴協奏曲) ホ短調(2台ピアノ版)
ラヴェル ピアノ協奏曲 ト長調

 リストのピアノ協奏曲は、スケールの大きな演奏で傑作の魅力がよく伝わってくる。シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団も品性のある響きで息のぴったり合ったサポートをしている。
 コンチェルト・パテティクは、アルゲリッチの盟友ネルソン・フレイとの共演。ピアノの表現の豊かさに安心して心を預けられる。
 一転して雰囲気の変わる、ラヴェルのピアノ協奏曲はエスプリに富んだ作品。第1楽章は「パゴタの女王レドロネット」のような東洋的な趣と、「ラプソディ・イン・ブルー」のようなジャズやブルースの雰囲気を併せ持っている。静謐な第2楽章がことのほか素晴しい。第3楽章はゴジラやサスケのテーマを彷彿とさせる。短い曲だが、おもちゃ箱のように多くの楽しみが詰め込まれている。
 ピアノ曲の魅力をたっぷり味わえる、お薦めの1枚。

リスト:ピアノ協奏曲第1番
アルゲリッチ(マルタ) モントリオール交響楽団
B00016ZPN0

GRAPES

 “GRAPES” 、一粒一粒がつややかに実った葡萄のように、作者が慈しみながら育てあげてきた思いが伝わるソフトである。インターネットに公開されているフリーソフトで、容量は本体とサンプルで1枚のフロッピィデスクに収まる大きさ。実際に操作し、サンプルを見ることで、サイズは小粒ながら意外な広がりを持ったソフトだと納得できるだろう。

X2bx  例えば、「陽関数」の「作成」ボタンを押し,x^2+bx と入力するだけで、パラメータbを表す欄が自動的に作成される。このbの値はマウスでクリックして増減させることができ、それに伴ってx^2+bxのグラフも移動していく。式を入れるだけでパラメータをすぐに操作でき、グラフがすっと動く軽快さが心地よい。

Trochoid  描いたグラフの拡大・縮小・移動なども任意の範囲を指定して手軽にできる。陽関数以外にも陰関数や、極座標関数、図形など、様々な対象を描画できる。また、簡単なプログラミングができ、関数を用いたアニメーションを効果的に見せる表現力も豊かである。これだけの機能を持ったソフトを無償で提供している友田勝久氏に敬意を表したい。

 昨日、パイオニアのプラズマ電子情報ボードを使って、GRAPESを利用した数学の模擬授業を行った。指で画面をなぞるだけで、座標の移動や拡大・縮小がいとも手軽にできることを生かし、2次関数と微分について動的に提示した。
 GRAPES+電子情報ボードが、数学の授業を柔軟かつダイナミックに展開する優れた組合せであることを実感した。

GRAPES

おろしや国酔夢譚

 鎖国下の江戸時代、ロシア女帝、エカテリーナ二世に謁見した日本人がいた。大黒屋光太夫その人である。
 1782年、船で遭難した大黒屋光太夫らはおよそ9ヶ月の漂流の末にカムチャッカ半島に漂着。光太夫ら生き残った6人の日本人たちは日本へ帰る日を夢見ながら極寒のロシア・シベリア地方を転々としていく。
 過酷な運命の中ゆえに、光太夫の優れた人品が輝いている。その凛とした姿勢に自然と胸を打たれる。
 佐藤純彌監督の映画では、緒形拳が光太夫を好演している。

おろしや国酔夢譚
井上 靖
4167104016

おろしや国酔夢譚
緒形拳 佐藤純彌
B0006SLCL2

チャイコフスキー 交響曲第1番

 チャイコフスキーの交響曲は、後期の第4番から第6番が有名で、それ以前の交響曲はあまり話題にされない。チャイコフスキーの交響曲第1番を期待しないで聴いたのだが、なかなかよい曲ではないか。
 ロシアの風土を思わせる交響詩。抒情あふれる第2楽章がとりわけ美しい。

チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」
スヴェトラーノフ(エフゲニ) ロシア国立交響楽団
B00006AM33

ドラマ 白夜行(4)

 TBSのドラマ「白夜行」第4話を見る。原作と違う視点で割り切って描くことで、かえって成功している。読者に想像力を委ねる原作の文章の力はすごいが、緊迫感をもった密度の濃いラブストーリーに仕上げたスタッフの力量もさすがだと思う。

TBS「白夜行」

セロ弾きのゴーシュ

 「アルプスの少女ハイジ」「火垂るの墓」など数々の名作を監督した高畑勲が演出したアニメーション。
 ゴーシュの小屋に訪れるネコやタヌキなどの動物たちがとても愛らしい。また、ゴーシュの所属する楽団のメンバーも、魅力的。
 田園交響曲をバックにした映像が素晴らしい。宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりのうた」がしみじみとよい。音楽は間宮芳生が担当している。ゴーシュがネコに聴かせる「インドの虎狩り」は見事な効果をあげている。
 日本を代表するアニメーターが集い、商業主義ではなく時間をかけてじっくりと形にしたアニメーションであり、何度見ても味わいがある。
 1982年、大学生の時に御茶ノ水の小さなホールでこの作品を初めて見た。とても清々しい気持ちでホールを出たことを今でも覚えている。

オープロダクション(セロ弾きのゴーシュを制作)

セロ弾きのゴーシュ
宮沢賢治 高畑勲 佐々木秀樹
B0000V4O3I

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