小澤征爾 ガーシュイン・ナイト
小澤征爾とベルリン・フィルとの野外コンサート、ヴァルトビューネ2003のDVDは、実に感動的であった。全盲のピアニスト、マーカス・ロバーツのピアノによる「ラプソディ・イン・ブルー」は、特に素晴らしい。ロバーツの深みと広がりのあるピアノに、ベルリン・フィルのメンバーも触発され、熱気のあるサウンドを繰り広げる。小澤もいつになくステップを踏んで踊り、聴衆も興奮し、会場全体が盛り上がった。クラシックとジャズがまさに一体となった稀有の演奏であった。
ヴァルトビューネは、広大な森の中にある野外音楽堂で毎年6月終わりの日曜日に行われるベルリン・フィルのコンサート。小澤は、1993年、2003年の2回指揮をしている。2度目の公演は、ジョージ・ガーシュインの曲で構成された。
自然に囲まれた開放的な会場で、聴衆はラフな格好で楽しんでいる。それだけに、演奏への共感が直に伝わってくる。ガーシュインの曲はこの雰囲気にぴったりであった。徐々に日が暮れ、夜を迎えるとキャンドルが灯される情景も音楽に彩りを与えていた。
森に響くスインギーなクラシックは、最高の一夜を贈ってくれた。
ヴァルトビューネ2003 ガーシュイン・ナイト
小澤征爾 マーカス・ロバーツ・トリオ ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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