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志ん朝 柳田格之進 干物箱

 志ん朝の「柳田格之進」は、まさに話芸の粋。謹厳実直な主人公、柳田格之進をめぐる人情ばなしだが、その格調高い語り口にぐっと引き込まれる。
 「干物箱」は、一転、明るい落語。テンポ良い噺に快く笑える。

柳田格之進/干物箱
古今亭志ん朝
B00005G6TJ

アンサンブル・プラネタ エトワール

 クラシックをアカペラで歌うグループ、アンサンブル・プラネタのアルバム「エトワール」。「アヴェ・マリア」「グリーンスリーヴス」「シシリエンヌ」などの名曲が、澄んだ声でしなやかに歌われる。7曲30分と、収録時間は短いが、美しいハーモニーに癒される1枚。

エトワール (CCCD)
アンサンブル・プラネタ 書上奈朋子 池城淑子
B0000C9VIN

ブラスの祭典

 シエナ・ウインド・オーケストラ演奏の「ブラスの祭典」を聴く。佐渡裕の指揮によって、旋律が息づく。どんなに大きく鳴らしても響きに透明感があり、アンサンブルの見事さを誇っている。

ブラスの祭典
シエナ・ウインド・オーケストラ 佐渡裕
B00005HI6Q

圓生 質屋庫 弥次郎

 「質屋庫」は、怨念うずまく質屋の庫に出る幽霊の話。質屋の旦那と熊とのやりとりが楽しい。質屋の旦那というとケチだという印象があるが、この旦那は、が盗みを働いたことをそれほど咎め立てず、寛やかさが感じられる。オチもなかなか高尚。
 「弥次郎」は、次々と繰り出されるほら話と聴き手のご隠居のつっこみでテンポよく進む。このテンポに圓生の芸の粋を感じる。

六代目 三遊亭圓生(14)質屋倉/弥次郎
三遊亭圓生(六代目)B000LE1K9U

篤姫 1

 NHKの大河ドラマ「篤姫」第1回が1月6日に放送された。薩摩から徳川家に嫁ぎ、幕末の混乱の中、大奥を束ねる「天璋院篤姫」の物語。
 主役の於一、後の篤姫を演じる宮崎あおいの伸びやかな演技が、脇を支える高橋英樹(島津斉彬役)、平幹二朗(調所広郷)の重厚さとコントラストをなし、物語にリズムを与えている。
 莫大な借金をかかえる藩財政、困窮する農民、苛酷な政策と農民の窮状との間で苦しむ心ある武士、外国からの圧力など、厳しい環境の中で生きる人々がクローズアップされる。
 そんな中で、自らの役割を見つめ、一途に行動する於一の姿は、鹿児島の寛やかな自然とあいまって、爽やかさを感じる。小松帯刀など、これまであまり取り上げられなかった人々の活躍も楽しみ。
 薩摩を舞台にした大河ドラマでは、1990年に放送された小山内美江子脚本による「翔ぶが如く」がある。自分の中ではこの作品が大河ではベスト・ワンの名作と思う。「篤姫」も魅力のあるドラマとなることを期待したい。

NHK大河ドラマ「篤姫」

少林山だるま市

Daruma01  高崎市、少林山のだるま市は、1月6日の正午から翌7日の午後1時まで、夜を徹して開催される。
 昨年は風が強くてたいへん寒かったが、今年はおだやかなので、6日正午少し過ぎに家族で自宅から歩いて行く。碓氷川の堤防から見える、快晴に白く映える浅間山が美しい。

Daruma02  国道18号側から、碓氷川にかかった鼻高橋を渡り、達磨寺に向かう。
 石段を上がり、境内でお参りをする。帰りの順路には、だるまを売る店や屋台がずらりと並び、独特の風情がある。

Daruma03  「縁起だるまの少林山」と上毛カルタに歌われるだるま、マユは鶴、鼻から口ヒゲは亀をあらわし、福を呼び込むとされる。少林山周辺では、70軒ほどの家で年間150万個のだるまが生産され、全国の8割を占めるとのこと。

Daruma04  子どもたちは、行きだけでも結構歩いたので空腹。からあげやたこ焼きを買って食べ、りんご飴をなめながら歩き満足していた。
 ちょっと歩けばすぐに「だっこして」と言っていた次男が、いつの間にこれほど長く歩けるようになったのかと、子どもたちの成長ぶりにあらためて気づいた。今日もひたすら食べ歩いている長男は、もう石臼のようで抱き上げることすらできない。

のだめカンタービレ in ヨーロッパ 2

「君はここに何をしに来たの?」

 「のだめカンタービレ in ヨーロッパ」第2話は、上野樹里演じるヒロインの成長物語。日本でのコンサートでヒロインの才能を見いだしたコンセルヴァトワールのオクレール教授と、のだめとのやりとりが素晴しい。
「君がそうやって言いたいこといっぱいあるみたいに、他の作曲家だって言いたいこといっぱいあるのに。君はその声を本能的に感覚的にしかとらえない。」
 明るく色彩豊かな物語の中に、音楽の本質をきちんと据えたドラマになっている点が、大きな魅力。

 地元のオーケストラ奏者からいただいた年賀状に、昨年は定期演奏会で満席の状態が続いたと記されていた。「のだめカンタービレ」は、日本のクラシック文化に確実に貢献している。

フジテレビ 「のだめカンタービレ in ヨーロッパ」

のだめカンタービレ in ヨーロッパ 1

 ドラマ「のだめカンタービレ」のヨーロッパを舞台としたスペシャル番組が放送される。クラシックの本場で繰り広げられるドラマは、充実した2時間半であった。ギャグとアクションを交えながらも、音楽の良さを伝える筋の通った原作が、ドラマを支えていた。伝統の重みがあるヨーロッパのホールで行われる指揮者コンクールのシーンは、華やかさと緊迫感があり、見事に第1話を締めくくった。

フジテレビ 「のだめカンタービレ in ヨーロッパ」

夢をかなえるゾウ

 ひとり暮らしのサラリーマンの前に突然現れた関西弁のゾウ。タバコは吸うわ、ゲームはするわ、食い物に意地汚いわと、とんでもない居候になるが、このゾウは一応神様で、自分を変えたいと願うサラリーマンにいろいろと課題を出していく。それは、「靴をみがく」などの簡単な課題だが、実行をしていくうちに…。
 「自己実現」をテーマとした軽妙な小説。主人公と同じように「行動」を起こすことで、変化が現れるかもしれない。新しいタイプの啓蒙書

夢をかなえるゾウ
水野敬也
4870318059

話の話

 「ノルシュテインの作品はすべて、いわば夢のフィルターをとおして世界をみているような気分にぼくらを誘い込む魔力をもっている。」

 1982年1月23日、日仏会館で「セロ弾きのゴーシュ」の完成試写会が行われた折りに、高畑勲監督、美術担当の椋尾篁氏などから挨拶があった。仕事の合間に、コツコツと作ってきたアニメーションへの思いが語られた。
 その試写会で併映された「霧につつまれたはりねずみ」は、「ゴーシュ」の高畑勲監督にとっても、ノルシュテイン作品との最初の出会いだった。

 ノルシュテインの作品である「話の話」は、古今のアニメーションの中でも抜きん出て芸術性が高く、難解な作品。赤ん坊を見つめる狼、ミノタウルスと少女の縄跳び、もの悲しいタンゴの調べで踊る男女から、ひと組ひと組パートナーが消え残される女性たち。繰返し現れるリンゴ。それらのシークエンスから、作者は何を語ろうとしているのか。
 高畑勲氏は、アニメージュ文庫「話の話」の中で、この作品を詳細に解説している。その文学的香気に満ちた解説から、「話の話」の意味と価値が見事に浮き上がる。
 「話の話」をさらに鑑賞したいと思うと同時に、一つの映像から、これだけ多くのことを読み取り、思索し、語ることができるのかと、アニメーション作家の想像力と表現力に脱帽した。

話の話 (アニメージュ文庫 (F‐006))
高畑 勲 アニメージュ編集部

ユーリー・ノルシュテイン作品集

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