天空の舟〈下〉
古代中国、夏王朝の傑王と、商の湯王との激突を軸に、時代を懸命に生きる人々を描く宮城谷昌光の小説「天空の城」。下巻では、湯王は伊尹を三顧の礼をもって迎え、伊尹は臣として縦横の活躍をする。
宮城谷昌光の小説の凄いところは、物語がいよいよ終わりに近づくに従い、主人公が著者に乗り移ったかのような清澄な境地に達していくところである。終章「桑林の雨」は、淡々とした筆運びでありながら、真に充足した読後感を与えてくれた。
2012年最後の日に、この小説が読了できたことを喜ばしく思う。
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古代中国、夏王朝の傑王と、商の湯王との激突を軸に、時代を懸命に生きる人々を描く宮城谷昌光の小説「天空の城」。下巻では、湯王は伊尹を三顧の礼をもって迎え、伊尹は臣として縦横の活躍をする。
宮城谷昌光の小説の凄いところは、物語がいよいよ終わりに近づくに従い、主人公が著者に乗り移ったかのような清澄な境地に達していくところである。終章「桑林の雨」は、淡々とした筆運びでありながら、真に充足した読後感を与えてくれた。
2012年最後の日に、この小説が読了できたことを喜ばしく思う。
「天空の舟」は、古代中国の王朝夏と、新興勢力商の攻防を描く宮城谷昌光の小説。主人公伊尹(いいん)は、夏と商の両王と関わりを持ち、数奇な転変を遂げ、王朝の興亡に影響を与える。
文字すらない時代の歴史を掘り起こし、鮮明に活写される物語には感嘆する。巧みな伏線を持ち、人々の情感を豊かに描写する、まさしく一級の歴史小説。
NHK100分de名著 アインシュタイン『相対性理論』は、「動いているものは時間の進み方が遅くなる」などの、相対性理論から得られる現象を、分かりやすく解説している。
テレビでは映像を用いて、親しみやすい工夫がなされていた。テキストも、図や写真を併用しながら、なるべく数式を使わずに説明がなされている。
GPSの人工衛星では、秒速4kmで地球を周回しているため、時間が1日にほんの少し遅れる。また、重力が弱いので時間がわずかに進む。それらを加減した値を補正して、GPSの時刻は運用されている。つまり、相対性理論の一見信じがたい結論は、実際に応用されているのだ。
宇宙規模で物事を捉え、原子レベルの正確さで時間が計測できるまで、科学がマクロとミクロの両面で進化を遂げたことにより、相対性理論の実証がなされ、実生活でも応用されている。その事実を多くの人に的確に伝えるだけでも、このテキストの意義は大きい。
ギタリスト鈴木大介が、映画音楽を編曲し演奏するソロ・アルバム。
「愛の讃歌」「ある愛の詩」「魅惑のワルツ」「ムーンライト・セレナーデ」「慕情」など、映画音楽の名曲の数々が、洗練されたアレンジで奏でられる。
一音一音がとても美しい。ギターという楽器が、これほどの表現力を持っているのかと驚かされる。澄んだ音色で奏でられる名曲には、清冽さと暖かさが共に感じられる。
武満徹作曲の「めぐりあい」は、ことに胸にしみた。
ブロードウェイ・ミュージカルのオーディションに挑む若者を描いた映画「ブロードウェイ♪ブロードウェイ~コーラスラインにかける夢」のサウンドトラック。解説書には全ての歌詞と対訳がついており、充実している。
高揚感溢れる「ワン」は、何度聴いても素晴らしい。
コーラスライン-ニュー・ブロードウェイ・キャスト・レコーディング/映画「ブロードウェイ(音符記号)ブロードウェイ~コーラスラインにかける夢」サウンドトラック
サントラ 高良結香
「半落ち」は、妻を殺害した元警察官をめぐる小説。警察、検察、裁判官と、それぞれの眼から事件が描かれる。映画では、寺尾聰の陰のある演技が印象に残る。
半落ち (講談社文庫)
横山 秀夫
ミステリーの女王、アガサ・クリスティによる、中近東を舞台にした作品のひとつ。登場人物の心理描写が巧みで、トリックのみによりかかるミステリーとは一線を画す。
ポアロが登場する作品であり、お約束の関係者一同を集めての謎解きも見事な展開である。
名作「ABC殺人事件」と同時期に書かれた傑作。
メソポタミヤの殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ クリスティー Agatha Christie
次男へのクリスマス・プレゼントとして、 Apple TV を買う。i Pod touch や i Pad などの携帯端末の画像を大画面テレビに映すことができるアイテム。次男は、i Pod touch で撮った写真や、動画編集をした作品をテレビに出してくれたが、大きな画面で見るとたいへんに映える。端末のネットで検索した結果も表示できるので、家族で見るにはたいへんに便利だ。
また、 Apple TV 自体にも、ネットに接続して映画やYou Tube の映像を映す機能がある。ハイビジョン対応で、意外にきれいに映る。
本体は小さく、リモコンのデザインも究極のシンプルさで洗練されている。エンターテイメント性と美的センスを兼ね備えた、クールなアイテム。
前半の勢いに比して、終盤の情けなさは、いったいどうしてしまったのだろうと思う。これほど尻つぼみな大河ドラマは初めてだ。
源平合戦が台詞だけで説明され、まったく合戦シーンがないというには驚いた。源頼朝や弁慶もほとんど説明がないまま最期をとげ、あまりにあっけない。序盤の兎丸との船上戦闘で予算を使い果たしてしまったのではと思われるほど。
いい感じの始まりだっただけに、残念。勢いや成り行き任せ、俳優の演技のみに頼ったドラマではなく、緻密な脚本に基づいた、最期までしっかりと足が地に着いたドラマになってほしい。
「大河ドラマ」と名が付くからには、滔々とした流れが大海に注ぐような寛やかなラストに繋がるよう願っている。
横山光輝による潮漫画文庫版「三国志」第4巻。孫堅、董卓、呂布、曹操それぞれの戦いが描かれる。
なんと言っても、この巻の白眉は、貂蝉の描写にある。絶世の美女と謳われた貂蝉を、清楚な女性として描き、読み手の心をくすぐる。
三国志 (4) (潮漫画文庫)
横山 光輝
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