黒革の手帖(上)
松本清張の「黒革の手帖」は、元銀行員が銀座のママに転身し、地位のある男たちを手玉にとる小説。
銀行業務や経理に通じた女性が銀座のママとして客につけいるという設定が巧みで、裏事情を明るみに出す舞台装置が見事に構築されている。
上巻では、主人公と病院長とが対峙するシーンが圧巻。リアリティが実に周到なタイミングで炸裂する。
読み進むほどに凄みが増していく傑作サスペンス。
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松本清張の「黒革の手帖」は、元銀行員が銀座のママに転身し、地位のある男たちを手玉にとる小説。
銀行業務や経理に通じた女性が銀座のママとして客につけいるという設定が巧みで、裏事情を明るみに出す舞台装置が見事に構築されている。
上巻では、主人公と病院長とが対峙するシーンが圧巻。リアリティが実に周到なタイミングで炸裂する。
読み進むほどに凄みが増していく傑作サスペンス。
NHK大河ドラマ「いだてん」第3話は「冒険世界」。上京した金栗四三を描く。金栗は東京高等師範学校で三島弥彦ら天狗倶楽部による奇妙な運動会を目にし、マラソンと出会う。
人々の息吹が感じられる東京の状況が素晴らしい。上京する金栗を支える家族の姿も良い。徳冨蘆花の「不如帰」の流行なども描かれ、様々な文化をからめておりたいへん興味深い。
時代の雰囲気を群像劇で熱く伝える好感がもてる大河。
NHKで放送されたアニメ「雪の女王」のオリジナルサウンドトラック。オープニング「スノーダイヤモンド」があまりに素晴らしい。千住明の名曲中の名曲。
美しく清澄なアニメに寄り添う透明感のあるアルバム。
小沢昭一と立川談志の唯一のコラボレーション作品。
区議会議員選挙の応援演説、自宅での落語論など、素の立川談志の声が録音されている。
また、弟子に「野ざらし」の稽古をつける貴重な音源も収録。
最後の「居残り佐平次」は、圧巻の勢いをもった談志話芸の粋。
2019年を舞台にしたSF映画「ブレードランナー」の続編。前作の世界観を継承しつつ、より大きなテーマを内包して物語は進む。
荒廃した世界であり、映像は終始暗い。その中での造形美を追究している。
詩情のある重厚なSF映画。
「ジョニイへの伝言」鈴木雅之、「白い蝶のサンバ」一青窈、「思秋期」森山直太朗など、阿久悠作詞の名曲を豪華なメンバーが歌うトリビュート。「たそがれマイ・ラブ」はジャズ風、「時の過ぎゆくままに」は工藤静香が押尾コータローのギターで歌うなど、小粋なアレンジが光る。
名曲にあらたな魅力を感じさせてくれるアルバム。
エリアフ・インバル指揮、フランクフルト放送交響楽団によるマーラー交響曲第7番のCDを聴く。5楽章構成で、第2楽章と第4楽章に「夜曲」を配する独特の雰囲気をもった作品。
エルサレム生まれのインバルが、同じくユダヤの血を引くマーラーの曲を指揮する。様々な対立する要素を含んだマーラーの複雑なスコアを、直感的な理解と明晰な分析により、巧みにまとめあげている。
多彩な音響が紡ぐ相克を、共感に基づく見通しの良い演奏に仕上げたアルバム。
桂歌丸の落語「万金丹」「夢金」のCDを聴く。
「万金丹」は、食い詰め者が坊主と名僧になりすまし、戒名をでっちあげる噺。昔の言葉が多いが、歌丸はそれらを説明しすぎずに現代にも通じる落語として残す噺家のプロ意識を見せる。
「夢金」は、雪の夜更けに船頭が訳あり男女を屋根船で送る噺。滑稽味、サスペンス、人情譚と様々な要素がからんだ贅沢な落語であるが、これを緩急自在に演じるには相当な力量がいる。歌丸の絶妙な語り口がぐいぐいと物語に引き込んでいき、あっぱれな一席。
NHK大河ドラマ「いだてん」第2話は「坊ちゃん」。金栗四三の少年時代を描く。
素朴な子役がいい。あまり喋らず、不安げな雰囲気がその後の愚直な四三によく繋がっている。中村獅童演じる兄に勉強部屋でしかられたときの涙顔は、本当にこわかったんだろうと感じさせる。
NHKの番組「100分de名著」で夏目漱石の「坊ちゃん」を解説した姜尚中が、四三の通う玉名中学校の教諭を演じている。
にくい演出を積み重ね、ワンシーン・ワンシーンを楽しませてくれた。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』4部作の第2作にあたる映画。TVアニメからのテイク・オフを遂げた作品。新たな設定とストーリー展開がなされ、迫力の映像とともに見応えのあるアニメとなっている。
未知の世界へと誘う、庵野秀明監督の真骨頂。
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