天皇の料理番 10
ドラマ「天皇の料理番」第十話は「皇居編~関東大震災と家族の決意」。関東大震災での宮中料理人の対応を、篤蔵と息子との確執をからめて描く。
秋山徳蔵氏(篤蔵のモデル)の三男、蜂谷三郎さんの話では、小学生の頃、父親が料理人であることが恥ずかしく、「質屋」といってごまかしていたらしい。それほど当時料理人の地位は低いものであった。そのことが、今回表現されている。
歴史の一断片を描いた回。
ドラマ「天皇の料理番」第十話は「皇居編~関東大震災と家族の決意」。関東大震災での宮中料理人の対応を、篤蔵と息子との確執をからめて描く。
秋山徳蔵氏(篤蔵のモデル)の三男、蜂谷三郎さんの話では、小学生の頃、父親が料理人であることが恥ずかしく、「質屋」といってごまかしていたらしい。それほど当時料理人の地位は低いものであった。そのことが、今回表現されている。
歴史の一断片を描いた回。
ドラマ「天皇の料理番」第九話は「皇居編~ザリガニと御即位の御大礼」。
皇居に趣いた篤蔵をまっていたのは、しきたりに縛られた厨房であった。篤蔵に与えられた任は、即位の御大礼で二千人に及ぶ人々に振る舞う料理の献立であった。それは、日本の文化程度を示す料理を作り出すことでもあった。
パリから帰国して様々な人々との再会シーンがよい。皇居では、篤蔵の上司である農学博士の福羽 逸人が存在感を示す。
そして、クライマックスでの御大礼の料理。念入りな考証の基、再現された料理が素晴らしい。本作の愁眉となる回。
ドラマ「天皇の料理番」第八話は「パリでの卒業式」。パリに来て3年がたち、篤蔵はオテル・リッツの料理人として腕を上げていた。そんな折、大使館からお呼びがかかる。外交官粟野から、「天皇陛下の料理番」となる要請が告げられる。
ベル・エポックのパリ、日露戦争に勝利し一等国として西洋に認められるため欧化政策を強化する日本。それを背景として、篤蔵は料理の腕を認められ宮中に趣くことになる。
歴史のうねりにチャンスを得た時代の子を描いた作品でもある。
ドラマ「天皇の料理番」第七話は「パリと差別と結婚」。明治42年、篤蔵はついにパリに到着する。日本大使館の粟野に、オテル・マジェスティックという一流ホテルを紹介され働き始めるが、同僚から東洋人として蔑視される。
パリの風光明媚な街を背景に、篤蔵は一本気に突き進む。日本で磨いた技量は、ホテルでも高く評価されるが、時代を背景とした人種の壁が描かれる。
外交官粟野役の郷ひろみは、スタイリッシュな演技で存在感を発揮する。フランソワーズを演じるサフィラ・ヴァン・ドーンのチャーミングさが印象に残る。
パリを舞台に、主人公がひた駆ける濃密な回。
ドラマ「天皇の料理番」第六話は「愛と命の果てパリ」。バンザイ軒での篤蔵のカレーは評判となり、長蛇の列ができる。しかし、やがて客足は遠のいていき、篤蔵の気持ちも漠然と流れていく。そんな中、ある人物がバンザイ軒を訪れ、篤蔵の料理を注文する。
主人公を支える人々の気持ちが、痛いほど伝わる。感動の嵐をよぶ、前半部のクライマックス。
ドラマ「天皇の料理番」第五話は「おさな夫婦の結末」。
町場の食堂「バンザイ軒」で働くことになった篤蔵。そんなある日、同僚から故郷からの手紙の束を渡される。そこにある事実を知り、愕然とした篤蔵は福井に戻るが…。
今回も、黒木華と鈴木亮平の演技に感銘を受ける。道筋が定まらず彷徨する篤蔵を陰に陽に支える姿は、それだけで感動を禁じ得ない。
ドラマ「天皇の料理番」第四話は「愛し君よサラバ」。
料理を覚えるため華族会館の他に、密かに英国公使館の厨房に出入りする篤蔵。しかし、その行為は料理人の世界では義理を欠く行為であった。
篤蔵の兄周太郎は体をこわしつつあった。篤蔵にあてた夢を託す手紙が胸を打つ。 様々な料理と人間関係が交錯する、濃密な回。
ドラマ「天皇の料理番」第三話は、「あいしてるの決断」。篤蔵は上京してきた俊子に料理を振る舞うことになる。
黒木華の演技に終始ひきつけられる。たおやかで芯のとおった楚々とした女性。篤蔵の煮え切らない態度に見ている側もイライラが募る。しかし、だからこそ最後の感動に繋がる巧みな脚本。
篤蔵の料理への情熱が徐々に開花していく回。
ドラマ「天皇の料理番」第二話は、「料理はまごころ」。明治37年、華族会館の厨房で働くことになった。しかし、現実は厳しく、食器や鍋を洗うだけの毎日でやる気をなくしていく篤蔵であった。
コック長を演じる小林薫がすばらしい。料理へのひたむきさを背中で伝える演技に感動。
下積み時代の苦労と転機を描く回。
宮内庁で料理長を務めた秋山篤蔵を描いた「天皇の料理番」。TBSテレビ60周年特別企画として、2015年に放送された、佐藤健主演のドラマ。
幼い頃からやんちゃで寺も破門された篤蔵の扱いに困った両親は、昆布問屋の婿養子にさせる。ある日、鯖江連隊に配達に出かけた篤蔵は、匂いにひかれ厨房に行き、料理をしている田辺と出会う。その味に感動し、ひそかに料理を習うことになる篤蔵であったが…。
一途に突き進むが、何をやっても身につかない若き篤蔵を、佐藤健が好演している。その人生を変える厨房でのカツレツとの出会いのシーンがことによい。
篤蔵を支える兄周太郎役の鈴木亮平、妻俊子役の黒木華、このお二人の空気感がすばらしく、ドラマに優しさと温かみを与えている。
背景や小道具に至るまで、実に丁寧に作られていることが伝わってくる。
作り手の熱意とこだわりに溢れた、極上のドラマ。
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