銀の匙 Silver Spoon 秋の巻

「肉になるのに、みんな素直だな。」
「駒場さんとこは、仔牛の頃から一頭一頭丁寧に面倒みてるから、人間を信用しているんだよ。」

 離農した酪農家が、多くの牛を他に引き渡すときに主人公が見送るときの会話。
 アニメ「銀の匙」は、農業の現実を描き、単なる青春グラフィティに終わらない深いテーマを提示している。制作スタッフも、その思いを大事にして作っていることが伝わってくる。
 農業と食に携わる人々の思いと現実を、軽妙さを失わずにかつ真剣に描いたアニメーション。日本が誇るアニメの本質がこの作品に結実している。

銀の匙 Silver Spoon 秋の巻 Special BOX(完全生産限定版) [DVD]

ルパン三世 カリオストロの城

 ルパン三世「カリオストロの城」は、宮崎駿の映画初監督作品。湖に屹立する城を舞台に、大冒険活劇が繰り広げられる。
 寸分の隙もない練り込まれた脚本、心に迫る美術、個性豊かなキャラクターと繊細な心理描写、一人一人の動きを丁寧に描き分ける群衆シーン、遊び心に満ちた演出、どれもが見事ですべてのシーンが印象に残る。
 何度見ても素晴らしい長編アニメーション映画の大傑作。

ルパン三世 カリオストロの城 [DVD]
宮崎駿 山田康雄

ベイマックス

 「ベイマックス」はディズニー映画だが、子ども向けとあなどることなかれ。オタッキーの心をくすぐる、かなりマニアックなCGアニメーションである。日本の特撮やアニメへのオマージュも至る所に散りばめられている。
 美術的には、都市の情景が素晴らしい。東京とサンフランシスコを混ぜ合わせたような描写には、相当力が入っている。
 何より、科学技術への明るい志向がいい。未来を切り開くのは科学だという、素直な割り切りが良い。
 とことん作り込まれた動きと、マニアックな設定、ちょっぴりハート・ウォーミングなディズニーの野心作。

ベイマックス (字幕版)

マッドマックス 怒りのデス・ロード

「希望はもたぬことだ。心が壊れたら 残るのは狂気だけだ。」

 砂漠化し、荒廃した世界で、主人公マックスは巨大な砦に連行される。そこは、潤沢な水をもつ好戦的な集団が支配する城であった。
 逃亡を企てた女性たちを、軍団が追跡するが…
 一見、アウトローが跋扈するヒャッハーなノリに終始するかと思ったが、意外にヒューマンな面をもったストーリーであった。
 ひたすら圧巻のスペクタクルに身を委ねられるアクション映画。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

マスカレード・ホテル

 東野圭吾の小説「マスカレード・ホテル」を原作とする映画。高級ホテルを舞台に、予告殺人に立ち向かう人々を描く。
 フロントスタッフとしてホテルで潜入捜査にあたる刑事を木村拓哉が演じる。刑事を指導するベテランスタッフに長澤まさみ。この二人のかけあいが、緊迫感のあるドラマに絶妙の味を与えてくれる。
 舞台はほとんどホテル内部であるが、大胆なカメラワークを駆使し単調さを感じさせない。
 ホテルに集う様々な人々を多彩な俳優陣が演じる、華やかなエンターテイメント作品。  

マスカレード・ホテル

映画 クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~

 クレヨンしんちゃん映画第23作「オラの引越し物語」。ひろしの異動により、メキシコに引っ越すことになった野原一家を巻き込む事件を描く。
 メキシコの街並みがよく描かれ、現地のキャラクターもよく立っている。
 海外を舞台としながらも、しんちゃんはマイペース。「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」のフーテンの寅さんを思わせる。
 いろいろな要素がつまっており、最初から最後まで楽しませてくれる快作。

映画 クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~ [DVD]

映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん

 しんちゃんのとーちゃん、ひろしがギックリ腰になってしまう。治療を受けて帰ると、ロボットになっていたことに気付く。
 クレしん映画22作目であり、初めてひろしが主役となった。父親の存在を問う感動作。

映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん

映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード

 クレヨンしんちゃんの劇場版第11作「嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード」。
 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」で、富岡製糸場から前橋まで3人の女の子が主人公楫取素彦に会いに来るシーンを見て、この映画を思い出したことがある。「こんにちは」といって登場するのはよいのだが、富岡製糸場から前橋までは25km以上ある。馬車でいける身分でもなく、鉄道もまだ開通していない時代、徒歩では5時間以上かかる。往復10時間。すごいなあ。
 「嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード」では、しんちゃんがいつの間にか自転車で箱根や熱海にいる。時間と空間を超越しているのだが、こちらはギャグまたギャグの楽しい作品で、そんなことは全く気にならない爽快さがある。
 焼肉が必ず食べたくなる、ぶっとびクレしん映画。

映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード

ペット2

 ペットたちの活躍を描くCGアニメ「ペット2」。「ペット」の続編で、動物の描写や表情がより細やかになっている。桜が咲き誇るニューヨークから始まる。背景描写が素晴らしい。
 気軽に家族で見られる映画。

ペット2 (吹替版)

ポセイドン・アドベンチャー

 岩手県出身の友人と話していて、懐かしい映画が話題になった。
 『子どもの時に映画館で見た、「ポセイドン・アドベンチャー」は、今でも鮮明に印象に残っているね。実家の前が海だったから、巨大な津波が船を襲うシーンは人ごとではなく、ホント身震いがきたよ。』
 大津波で真っ逆さまになった船内から脱出する人々を描く1972年の映画「ポセイドン・アドベンチャー」は、その濃密な人間ドラマゆえに、名作の地位を不動のものとしている。パニック映画は、極限状況で人々が見せる赤裸々な姿や彼らがとる行動を描くことに意味がある。それをはき違えて、単なるアクションに終始する作品のいかに多いことか。
 余韻の残るこの映画の緊迫感は、一級の人間描写に支えられている。 

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ロナルド・ニーム ジーン・ハックマン アーネスト・ボーグナイン

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