シャイロックの子供たち
「下町ロケット」で直木賞を受賞した池井戸潤の経済小説「シャイロックの子供たち」。東京下町の銀行を舞台に繰り広げられる群像劇で、10の短編からなるが、それぞれの話が関連を持ち、全体としてもひとつのミステリーとして構成されている。
各短編で一人一人の銀行での生き方が素描され、働くことの苦悩や意義が問いかけられている。ミステリーの手法をとるが、それが各人の生き様をあぶり出し、読む者に迫る。
「下町ロケット」で直木賞を受賞した池井戸潤の経済小説「シャイロックの子供たち」。東京下町の銀行を舞台に繰り広げられる群像劇で、10の短編からなるが、それぞれの話が関連を持ち、全体としてもひとつのミステリーとして構成されている。
各短編で一人一人の銀行での生き方が素描され、働くことの苦悩や意義が問いかけられている。ミステリーの手法をとるが、それが各人の生き様をあぶり出し、読む者に迫る。
松本清張の『或る「小倉日記」伝』を湯浅実が朗読したCDを聴く。自らの一生をかけて森鴎外の小倉での足跡を調べる男の姿を描く、芥川賞受賞作。淡々とした語りで、歴史をひもとくミステリーを軸に、独特の叙情を持った世界が浮かび上がる。
或る「小倉日記」伝 新潮CD
松本 清張
芥川隆行の語りによる「姿三四郎」のCDを聴く。何人もの柔術家の声色を語り分け、勝負に挑む男たちの物語を格調高く描く。紅一点の小夜を、平榮子が涼やかな声で語り華を添える。
若かりし頃の石ノ森章太郎が書いた「マンガ家入門」。この分かりやすさと内容の濃さに、作者の才能がきらめいている。
特に、短編「龍神沼」の解説が素晴らしい。実際に少女漫画誌に掲載した作品を基にしているが、丁寧にプロットの作り方、キャラクターの造形、コマ割り、心理描写などが語られ、あたかも漫画の解説のためにあらかじめ書かれたかのようである。その完成度の高さ、表現技法の巧みさには感嘆を禁じ得ない。
巻末の膨大な作品リストを見ると、あらためて石ノ森章太郎の仕事の偉大さを思い知らされる。紛れもない天才であった。
石ノ森章太郎のマンガ家入門 (秋田文庫)
石ノ森 章太郎
戦後の漫画界をリードしてきた手塚治虫が、漫画創作のコツを語った著作「マンガの描き方」。絵を描くポイントから、アイデアの考え方、物語の構成まで、基本をあますところなく示している。
この著作で、どんどん漫画を書きなさいと言っているが、プロを目指すことに関しては、覚悟をしなさいと相当牽制をしている。手塚は何歳になっても若い漫画家をライバル視しており、強烈な敵愾心をもっていたことを思わせ興味深い。
伸びやかに書かれている感じがとても良く、手塚漫画の理解を深める読み物としてもたいへん楽しめる一冊。漫画クラブに入った小学5年生の次男が最後まで読んでくれることを期待している。
中村元による講演のCD「ブッダの言葉」を聴く。最古の仏典のひとつである「スッタニパータ」から重要な部分を解説する。たいへん分かりやすい言葉で、噛んで含めるような説明がなされている。紀元前数百年の昔に、現代でもそのまま通用する話が高い視座で記されていることに驚く。
一流の学者は、平易な言葉で本質を多くの人に伝える力があることを、まざまざと感じさせてくれる。
ブッダの言葉 (新潮CD 講演)
中村 元
鬼平犯科帳シリーズ 『密偵たちの宴』を野間脩平が朗読したCDを聴く。個性豊かな鬼平の手兵たちは複数の俳優さんが受け持ち声の競演をしており、こちらも楽しめる。
江戸の風物を巧に織り込みながら、部下の側から鬼平の酸いも甘いも噛み分ける人柄を浮き上がらせた名編。
「初心者のための授業におけるICT活用研修」が群馬県総合教育センターで6月22日に行われた。250名以上が参加。
最初に7つの実践発表がビデオなどの映像を映しながら行われた。
小学校国語における、辞書の引き方を拡大して示しながら行う授業、小学校理科における、根・茎・葉に色のついた水が通っている様子を実物を拡大して見せる授業など、各10分の実践発表であった。
音楽での器楽で、手元を大きく映して模範演奏を見せ、また生徒に演奏させるなど、学級経営がしっかりとした中でのICT活用は効果があることがよく示されていた。
中学校国語では、一部を映すことにより、古典への関心を惹き教材世界に繋げていた。中学校数学では、生徒の考え方をスクリーンに投影し、黒板でまとめをするスタイル。
高等学校国語では、源氏物語の文章を暗唱させる活動にICTがうまく使われていた。受講者に参加させる模擬授業形式で、良さが実感できた。定着を図ることに有効である点が示され、しかも高等学校の教材である点が新鮮であった。
高等学校理科では、携帯端末を使って金属結合の様子をアニメーションで示していた。必要なところを必要な場面だけで使うというコンセプトであり、投入場面が適していれば理解度は格段に高まると感じられた。
実践発表の後、富山大学準教授の高橋純先生から講義をいただいた。
実践発表の様子をカメラで撮った映像を基に、ポイントとなる箇所を示してコメントをいただいた。先ほど行ったばかりの実践発表がプレゼン資料にもう盛り込まれていた点には感動した。それぞれの実践の良さをコメントいただき、日常的な活用で用いられた事例で好感がもてたと評価いただけた。
その後、普通教室でのICT活用の事例と留意点を示された。これまでの学習指導の流れはくずさずに活用すればいいということに、受講者は安心したようであった。
「情報提示」「焦点化」「発話」の3つのポイントを押さえて行うことの重要性が語られた。
受講者のアンケートは極めて好評であり、今後の活用の広がりにつながる研修となった。
すべての子どもがわかる授業づくり―教室でICTを使おう
高橋 純 堀田 龍也
フラッシュ型教材のススメ CD-ROM付
高橋純 堀田龍也
トルストイの「戦争と平和」を原作とする1956年、キング・ヴィダー監督による映画。 ナポレオン軍が迫る帝政ロシアを舞台とし、オードリー・ヘプバーン、ヘンリー・フォンダ、メル・ファーラーが主演。ヘプバーンの生き生きとした姿が輝いている。
3時間を超す大作であるが、最後まで飽きることなく見た。戦闘シーンも見事であるが、娯楽色が強いためか、テーマの大きさがいまひとつ伝わってこない感があった。映画「ドクトル・ジバゴ」の印象があまりに強く残っており、その圧倒的な力とつい比べてしまうせいかもしれない。
戦争と平和 [DVD]
レオ・トルストイ
パリ・コレクション、「パリ・コレ」ならぬ「虫・コレ」。蝶の羽、昆虫の体の繊細な色彩、アーティスティックな模様には、思わず感嘆する。虫たちの華麗なファッションショーからは、創造主の人智を越えたデザイン・センスを感じる。
虫・コレ 自然がつくりだした色とデザイン
海野 和男
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