情報化時代の学校変革力

 教育における情報化について、各分野での第一人者が語るインタビュー集。新学習指導要領の策定で中心的な役割を果たした梶田叡一氏を始め、研究の第一線で活躍する清水康敬、陰山英男、堀田龍也、石原一彦、坂元章各氏、学校現場や教育委員会の井上志朗、岩谷誠、玉置崇、五十嵐俊子、副島孝、大西貞憲各氏の密度の濃い語りがなされている。
 授業名人、野口芳宏氏に、堀田龍也氏、玉置崇氏が行った特別インタビューは、子ども、教師の学びと情報化との関わりに、本質的に切り込んだ深い内容。
 実践に裏打ちされた、極めて示唆に富む書。 

情報化時代の学校変革力 —オピニオンリーダーからの提言—
堀田 龍也 玉置 崇 大西 貞憲 後藤 真一
4771108684

高野聖

 泉鏡花の「高野聖」を、佐藤慶が朗読したCDを聴く。山道に迷い込んだ旅の僧の物語。近代の文学は、声で発することによって味わいが出る。引き込まれる巧みなストーリーと、余韻の残るラスト。妖しく美しい文体が、佐藤慶の見事な語りで香り立つ。

高野聖 (新潮CD)
泉 鏡花
4108310020

ソフィーの世界[CD]

 ヨースタイン・ゴルデル原作の「ソフィーの世界」をNHKがラジオドラマ化したCD。島本須美、鈴木瑞穂、津嘉山正種、毬谷友子などの声で、哲学と物語の豊穣な森に聴者を誘う。蓬莱泰三の詞で、毬谷友子が歌うテーマ曲も、印象に残る。4枚組の大作だが、物語に引き込まれ、あっという間に聞き終えてしまった。

ソフィーの世界[CD]
4140392843

ソフィーの世界

 「あなたはだれ?」

 14歳の少女に届く手紙から始まるファンタジー。哲学をできるだけ分りやすい言葉と巧みなたとえとで解説しながら、ミステリーの手法を用いて進んでゆく物語。
 「生きてあることの新鮮な感覚」を見事に描いた、中身の濃いベストセラー。

ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙
ヨースタイン ゴルデル Jostein Gaarder
4140802235

繊維の数学

 一本の繊維が集まることで、布になったり、服になったりする。では、繊維は何次元なのだろうか?
 「繊維の数学」は、繊維の歴史から始まり、数学との関わりが様々な観点から述べられた書。繊維は、単に服の原料ではなく、極細電線、カーボン・ナノチューブ、DNA解析など、様々な分野に応用される対象である。また、繊維に関する考察は、数学に関してもフラクタル幾何学やコンピュータ・アルゴリズム、グラフ理論、ひも理論など、多くの分野に発展する素地を持っている。
 繊維が宇宙や生命をひもとく鍵になっていることを示した、興味尽きない本。

繊維の数学―未来科学の扉を開く
井上 清博 相宅 省吾
4484022060

わたしのグランパ

 刑務所帰りの祖父と中学生の孫娘との交流を描く筒井康隆の「わたしのグランパ」。人々のこころの襞を、さらりとした言葉で見事に表現する。おじいちゃんのまっすぐな侠気あふれる生き方に魅力的を感じる。

わたしのグランパ (文春文庫)
筒井 康隆
4167181118

マンガでわかる小説入門

 すがやみつるの「マンガでわかる小説入門。」図書館の入り口付近の棚に置いてあったので、何気なく目を通す。「視点」について指摘する箇所などはなるほどと思う。出版業界の厳しい現実も書かれている。小説を書こうとする人にとって、巻末の膨大な新人賞リストや入門書ガイドなどは参考になるのでは。

マンガでわかる小説入門
すがや みつる 横山 えいじ
4478930724

梶井基次郎 檸檬

 梶井基次郎の「檸檬」「交尾」「ある崖上の感情」を寺田農が朗読したCDを聴く。魂を観察した清澄な文章が、寺田農の暖かみをたたえた語りで、ほのかな灯のように浮かび上がり、静謐な空間を作る。

檸檬 (新潮CD)
梶井 基次郎
4108300890

檸檬 (新潮文庫)
梶井 基次郎
4101096015

すべての子どもがわかる授業づくり

 「ICT活用授業の正否は、ICTの技術レベルではなく、教員の授業技術によって左右されるのです。」

 実物投影機で、教科書をスクリーンに大きく映すだけでも、生徒たちの様子は変わってくる。高橋純、堀田龍也両氏の編著による「すべての子どもがわかる授業づくり」では、普段の授業におけるICT活用の方法と実践事例が豊富に示されている。

 教育でICT機器を使うと言うと、従来、コンピュータ室で生徒に操作させたり、膨大な時間をかけて準備したプレゼン資料や、ソフトウェアを用いた提示というイメージが強かった。しかし、それでは、パソコンが苦手という先生方には活用されないし、また、本来使うべき教材研究の時間もそがれることになる。
 普段の授業の中で、子どもたちに分かったと実感させられる使い方が正しいICT機器の使い方である。難しい操作を必要とせず、従来の授業の流れを生かす機器の活用を考えるべきである。そのことを、本書は多くの写真を用いて様々な事例でビジュアルに示している。
 ICT機器の利用方法を示すと同時に、授業技術の大切さを改めて実感させてくれる書。

すべての子どもがわかる授業づくり―教室でICTを使おう
高橋 純 堀田 龍也
4771109729

石の扉

 「陰に陽に世界のあらゆるものに影響を及ぼしている」秘密結社フリーメーソン。「石の扉」は、広範な取材と資料により、世界中に四百万人の会員がいるという巨大な結社の実像に迫るノンフィクション。
 古代の巨大建築を生業とする石工の組織として発足し、十字軍のテンプル騎士団を経て現在に至る歴史はたいへん興味深い。
 また、著者は、多くの事実を挙げて明治維新の立役者がフリーメーソンであったことを力説している。この部分は、やや強引な感もあるが、グラバー等の熱意は伝わってくる。
 「兄弟愛・救済・真実」の章は、共感できる点が多かった。

石の扉―フリーメーソンで読み解く世界 (新潮文庫)
4101266417

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