司馬遼太郎が語る 第6集

 司馬遼太郎が亜細亜大学で1991年に行った講演会のCDを聴く。静かに語られているのだが、その内容は極めて濃く、目から鱗がおちる思いだった。
 鉄の伝来が日本にもたらした影響が語られたが、それは日本の成り立ちすら変える出来事であった。他のアジア諸国との比較もたいへん興味深い。新たな視点を与えてくれる、含蓄のある語りに心底引き込まれる。

司馬遼太郎が語る 6 私ども人類 [新潮CD]

太陽の黙示録 建国編 2

 南北に分断された日本の緩衝地帯に、新たな国を築く「太陽の黙示録 建国編」第2巻。三国志の天下三分の計をモチーフに、壮大なスケールの物語が展開する。智恵を結集し、民を思う政治を形にしたドラマでもある。日本の政治はますます混迷の度を深め、未曾有の経済危機の中と言いつつ何も決まらない状況が続いている。志と信義、決断と実行に満ちた物語は、フィクションとはいえ力強いメッセージを放っている。

太陽の黙示録 建国編 2 (2) (ビッグコミックス)
かわぐち かいじ
4091822096

ドラマ 神の雫

 ワインをモチーフにしたドラマ「神の雫」。原作・亜樹直、作画・オキモト・シュウによる漫画を基に、亀梨和也が主演している。ワインの味を独特な表現で映像化している。見ると無性にワインが飲みたくなるドラマ。

「神の雫」公式サイト

神の雫 (亀梨和也 出演) [DVD]
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神の雫 (1) (モーニングKC (1422))
亜樹 直
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香乱記 四

 燎原の火の如く中国全土に広がった戦は、国土と人心を荒廃させた。斉の国も奔流にのまれ、蹂躙されていく。この混乱の中で、義を貫き、不撓不屈の精神を示した武将田横の生き様が鮮やかに描かれる。
 清澄な境地へと読者を導く最終巻。

香乱記〈4〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光

香乱記 三

 中国の統一をはたした秦も、苛烈な政治への反発が全土に広がり、終焉を迎える。名将が綺羅星のごとく生まれ、武力と智力の限りを尽くした戦が繰り広げられる。歴史の変わり目を怒濤の勢いで活写する第三巻。

香乱記〈3〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光

香乱記 二

 秦の末期、陳勝・呉広が反乱を起こし、その波は中国全土に拡大する。項羽・劉邦も頭角を現す。大きなうねりを記す第二巻。

香乱記〈2〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光

香乱記 一

 秦の始皇帝の圧政下、人々は苦しみ、反乱の胎動が中国全土で起こり始めた。斉王の末裔である田横は、様々な試練に合い、故郷斉の地を後にして幾多の人々と運命の出会いをする。
 項羽・劉邦の争いを主軸とした動乱の中で、信義を貫いた武人の姿を描く歴史大作。波乱に満ちた第一巻。

香乱記〈1〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光

直江兼続

 平成21年1月4日、NHKの大河ドラマ「天地人」の放送が始まった。上杉景勝の家臣、直江兼続を主人公とした戦国ドラマ。第1回は、幼年時代の兼続と、上杉謙信、少年時代の景勝との出会いが描かれていた。

 童門冬二の小説「直江兼続」は、兼続と主君景勝との深い絆を軸に、織田信長や豊臣秀吉などの天下人をも魅了しながら、北の大地に根ざした政を志す凛然とした姿を描く。北国の清澄な地に吹く薫風を思わせる作品。

全一冊 小説直江兼続―北の王国 (集英社文庫)
童門 冬二
4087470873

世界の発明・発見事典

 「文字」「暦」「地図」など、古代からの発明から、「米」「アイスクリーム」などの食べ物、「鍵」「傘」などの身の回りのもの、「化学元素」「超伝導」など科学上の発明・発見まで300項目以上を漫画やイラスト、文章で解説した集英社版「世界の発明・発見事典」。
 子どもに買ったのだが、大人が読んでも面白い。たゆまぬ向上心と探求心が生み出した、多様な人類の英知を感じ取ることができる。

世界の発明・発見事典 (学習漫画 世界の伝記)
岩田 一彦
4082401016

自助論

 「天は自ら助くる者を助く」

 サミュエル・スマイルズの世界的ロングセラー「自助論」。努力・勤勉・忍耐・独立・誠実の重要性を、膨大な例で語る著作。1858年、イギリスが世界最強の国であった時に書かれた本であり、文章に勢いを感じる。
 日本では明治4年に中村正直の訳により「西国立志編」として出版され、100万部の超ベストセラーとなった。その独立と向上をうたった文章は明治の青年たちを奮い立たせ、近代化を推進する精神的な支柱のひとつとなった。
 2008年、アメリカではサブプライム・ローンの破綻を切っ掛けとして金融システムが混乱をきたし、経済は下落の一途を辿った。日本でも過度な外需依存の弊が現れ、企業はことごとく業績の下方修正をし、経営の見直しを余儀なくされた。金融至上主義のヴァーチャルな部分がはがれ落ちた1年であった。マネーゲームの一時的な成功者の陰で、努力・勤勉・忍耐という言葉は軽んぜられていた風潮も一部にあったが、今年は、地道な努力で経済の混乱を修復しなければならない。
 2009年は、真の実力が試される年になろう。日本においては、長い間地道に培ってきた高い技術力に、より目が向けられ評価される年になるのではないか。それはもとより、努力・勤勉・忍耐のたまものである。
 自助論は、150年の時を経てなお多くの人に読まれている。この本を「古い」とか、「あたりまえ」と一蹴するのは簡単である。しかし、本気で向き合って初めて見えるものが世の中にはたくさんある。
 年頭にあたり、古典的名著を掲げたい。

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