菊池寛の名作「藤十郎の恋」「恩讐の彼方に」を林隆三が朗読したCDを聴く。「藤十郎の恋」では、芸の道に心をくだく主人公の心理描写が実に見事に語られている。春の京都の華やいだ明るい冒頭から、後半の仄暗い中での葛藤のシーンへとつらなる変化が作品の深みを増している。
「恩讐の彼方に」は、菊池寛の巧みな文章の妙を、林隆三の語りがじっくりと伝えてくれる。
中島敦の小説「李陵」を、日下武史が朗読したCDを聴く。漢の武帝の時代、北方の匈奴と戦い、捕らえられた李陵を中心に、その行いを弁護して武帝の怒りにふれ宦官にされた司馬遷、北方の地で孤高を保つ蘇武の姿を描く名作。
その格調高い文が、日下武史の深みのある朗読でいっそう際だつ。その韻律にずっと浸っていたいと感じる。まさに、聞き惚れるとはこのことか。李陵、司馬遷の生き様に、普遍的な人間の価値を見る思いであった。
李陵 (新潮CD)
中島 敦
家族をモチーフにした谷川俊太郎の詩と、谷川賢作の音楽によるコラボレートCD。しなやかな言葉と、優しさにあふれた音楽が心の水面を波立たせる。
家族の肖像
谷川俊太郎 吉岡アカリ 谷川賢作
おしぼりによる「ヒヨコ」「イチゴ」「人形」などの作り方を示した本。「外科医の顔」「土下座する人」「出っ歯のウサギとタラコ唇のウサギ」など、ページをめくるごとに、ユニークなおしぼりアートの数々がユーモラスな解説と共に繰り広げられる。
こどもたちも、おしぼりを使ってトライをしていた。凹凸の微妙な表現で雰囲気が変わり、思い通りの形にするのは意外と難しいが、それだけに想像の余地があって楽しめる。
あったかいおしぼりのように、心に潤いを与えてくれる一冊。
「ヒカルの碁」で子どもたちが囲碁に関心を示したので、まんがで分かる囲碁の本を買う。ページ数の割に、内容はルールを示す程度であったが、子どもたちにとっても分かりやすかったようで、すぐに読み終え、実際に囲碁を打っていた。
草野大悟の朗読による、「走れメロス」のCDを聴く。太宰治の躍動感とリズムのある文章が、草野大悟のメリハリのある畳みかけるような語りで、くっきりと浮き上がる。小学生の子どもたちも引き込まれていた。
「駈け込み訴え」は、キリストとその弟子の愛憎のアンビバランスが、抑揚に富んだ語りで見事に表現されている。名作の名作たる所以を伝えてくれるCD。
走れメロス (新潮CD)
太宰 治
高校生に、5年ぶりに授業をする。関数描画ソフトGRAPESを生徒が実際に操作しながら、2次関数と2次方程式の関係を学ぶ内容。
2次関数とx軸との交点に2次方程式の解が現れることを復習した後、2次関数y=x^2-4x+kがx軸と「2点で交わる」「接する」「共有点を持たない」の各条件を求めさせる。続いて、2次関数y=x^2と直線y=2x+kと同様の条件を求めさせる。瀬戸大橋の写真を示し、一様の重さを支える吊橋の形状は理論的には放物線になり、構造計算には、ケーブルの接線方向にかかる力を考えることが必要であることを伝え、接線の重要性を示す。
次に、2次関数y=x^2の(t,t^2)における接線の方程式y=2tx-t^2を求めさせ、それをもとにGRAPESの残像機能を用いて包絡線を描かせる。y=2tx-t^2 をtの2次方程式として捉えさせ、t^2-2tx+y=0 から接する条件D=0を用い、包絡線y=x^2 を求めさせる。「接線の直線群」と、「包絡線」が、2次方程式の判別式を軸として、「双対性」をなすことを伝える。演習として、t^2-xt+y=0 , yt^2-2t+x=0 の包絡線を求めさせる。
最後に、真っ直ぐな道が地平線に向かって伸び、地平線で交わる情景から、平行線が無限の彼方で交わる「無限遠点」と、地平線上に示される「無限遠直線」を考えることで、新たな数学「射影幾何学」が生まれることを示す。3D-GRAPESで放物線が無限遠直線に接することを示し、2次曲線「双曲線」「放物線」「円・楕円」が無限遠直線と「2点で交わる」「接する」「共有点をもたない」の関係で分類できることを伝え、「判別」の役割の重要性を伝える。
この内容を扱うのに、45分という時間はあまりに短かったが、生徒たちに数学の広がりの一端が伝われば、本時の役割は果たせたと考える。
射影幾何学入門―生物の形態と数学
丹羽 敏雄
「たくさんのゴミをありがとう!」
空き缶、タイヤ、長靴、石灯籠など、海に棄てられたゴミをマイホームや遊び場とする魚たちの姿をとらえた写真集。美しくもたくましく生きる海の生物たち。とりわけ、ゴミの中から顔をのぞかせるウツボがいい味を出している。
うみのいえ
大塚 幸彦
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